解体工事をお考えの皆さんに、必ず知っておきたい(知らないと大変なことになる?)法律があるのをご存じですか?
その名も「建設リサイクル法」2002年5月に施行されたこの法律は資源の有効利用や廃棄物の適正処理を推進することを目的としたものです。
今回の記事では、そんな建設リサイクル法の内容や制定された背景、工事発注者が行うべき手続きなどについて解説いたします!
目次
建設リサイクル法って何?
「建設リサイクル法」の正式名称は、「建設工事に係る資材の再資源化などに関する法律」といいます。資源の有効活用や廃棄物の適正処理を促進することを目的として制定されました。
また工事に関わる解体業者の登録制度を創設したことも大きな特徴で、この結果、各都道府県の知事が認可する解体工事業の登録をしていない業者は解体工事を行えないようになりました。
産業廃棄物に関してはこちらの記事で詳しくまとめています。こちらも合わせてご参照ください。
建設リサイクル法が制定された背景
2002年に建設リサイクル法が制定された背景には、1998年(平成10年)に廃棄物の不法投棄の件数がピークを迎えていたことが関係していると考えられます。
法律制定以降不法投棄の件数は減少しましたが、完全になくなることはなく、現在でも不法投棄件数の7割以上を建設系廃棄物が占めているのが実情です。
建設リサイクル法では、資源の有効利用を促す観点からこれらの廃棄物について再資源化を行うことを定めています。
建設リサイクル法の対象となる建設解体工事は?
建設リサイクル法の対象となる建設工事は以下のように定められています。
①特定建設資材を用いていること
特定建設資材の種類は次の通りです。また伐採された木材、梱包材、根っこごと掘り起こされた木の切株などはここには当てはまりませんのでご注意ください。
- 木材
- コンクリート
- アスファルト・コンクリート
- 鉄でできている建設資材
②特定建設資材を用いていること、かつ以下の条件に当てはまるもの
- 床面積80平方メートル以上の建築物の解体工事
- 床面積500平方メートル以上の建築物の新築または増築の工事
- 建築物の修繕や模様替え工事の場合は、工事費用が1億円以上であること
- 工作物の解体・新築工事の場合は、工事費用が500万円以上であること
解体工事業登録の条件とは?
解体工事業者が解体工事を行うためには、以下の要件を満たしている必要があります。
①法で定められた不適格要件には該当しないこと
《不適格要件》
- 登録申請書や添付書類に虚偽の記載があったり、重要な事実の記載がなかったりした場合
- 解体工事業の登録を取り消されてから2年以内である場合
- 暴力団員であるか暴力団員でなくなってから5年以内である場合
- 建設リサイクル法に違反して罰金以上の刑に処されてから2年以内である場合
②適格な技術管理者を選任していること
技術管理者とは、解体工事施工の技術上の管理を司る者で、解体工事業者は一定以上の技術を持つ技術管理者を選任しなければなりません。
主務省令で具体的な基準が定められていますが、例えば、土木工学科等で専門知識を学んだ者や、解体工事現場での実務経験が7年以上の者などがこれに該当します。
建設リサイクル法における分別解体の流れ
建設リサイクル法に則った解体工事の流れは以下の通りです。
1.建設リサイクル法の対象となる工事の発注者は都道府県に分別解体計画表等の書類を提出
2.工事の受注者は分別解体計画表に則り分別解体等を実施
3.受注者が対象となる建設資材の再資源化を実施(処理業者への委託も可)
4.元請け業者から発注者へ再資源化の完了を報告
発注者が行うべき手続きとは?
建設リサイクル法の対象となる工事を施工するにあたり、工事の発注者は、工事着手の7日前までに都道府県知事に対して届出を提出することが義務付けられています。
発注者が提出するべき書類は以下の通りです。
- 届出表
- 付近見取り図
- 工程表
- 分別解体等の計画表
- 建築物全体を写した写真
届出表は各都道府県のホームページ等で確認できるほか市役所などで手に入れることもできます。分別解体計画表も、各都道府県のホームページからのダウンロードが可能です。
計画表の内容は、解体する建築物の事前調査の結果や、工程ごとの作業内容などを記入するようになっており、ほとんどがレ点でチェックを入れる様式になっています。自分では分からない箇所があれば、解体業者に質問するなどして適切に記入を済ませるようにしましょう。
また発注者が万が一、提出を忘れてしまったり怠ったりすると、建設リサイクル法により罰金20万円の罰則を受けることになるので注意しましょう。
届出を提出したとしても、各都道府県から変更することを命じられた場合は、変更したものを提出しなければなりません。この変更命令に従わなかった場合、30万円の罰金が課されることになります。
愛知県名古屋市の届出様式は、名古屋市HPをご参照ください
名古屋市HP「建設リサイクル法(建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律)(届出様式)」
原状回復でトラブルがあった場合は頼れる相談相手に相談しましょう。こちらの記事では名古屋に特化した連絡先を掲載しております。ぜひ合わせてご参照ください。
まとめ
ご紹介した建設リサイクル法は、建設廃棄物のリサイクル促進のために、建設工事において廃棄物の分別や再資源化のルールを定めています。
法律による適正な処理方法の確立や、不法投棄の罰則などを設けたことにより、不法投棄件数は減少しましたが、ゼロにはなっていません。
現在解体工事をお考えの皆様にも、必要書類の提出を忘れず、建設リサイクル法を守ってくれる適切な業者を選ぶことを心に留めながら工事を着工していきましょう!
また、費用を抑える分離発注についてこちらの記事で詳しく解説しています。ぜひ合わせてご参照ください。