オフィスや店舗のテナントとして入居する際、あるいは退去時の原状回復工事を行う場合、「工事区分」という言葉を耳にすることがあるのではないでしょうか。
この工事区分は、誰がどの業者に発注し、工事費用を負担するかを決める重要な要素です。A工事、B工事、C工事の違いをわかりやすく解説し、工事費用を抑えるコツもご紹介します。
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目次
工事区分とは?
工事区分とは、入居工事や原状回復工事の際に、どの工事を誰がどの業者に発注し、費用を負担するかを決めるための基準です。一般的に、工事区分はA工事、B工事、C工事の3つに分類されます。
工事区分を決定する4つの項目は以下の通りです。
1.工事会社の指定
2.工事会社への発注
3.費用の負担
4.対象工事
これらの項目によって、各工事がどの区分に該当するかが決まります。
A工事、B工事、C工事の違い
A工事、B工事、C工事には、以下のような違いがあります。
工事会社の指定 | 工事会社の発注 | 工事費用の負担 | 対象工事 | |
A工事 | オーナー | オーナー | オーナー | 建物全体に関わる工事
例:エレベーター・共有通路・共有トイレなど |
B工事 | オーナー | 借主・テナント | 借主・テナント | 工事場所が専用部分だが建物全体に影響がでる工事
例:分電盤・給排水・空調設備など |
C工事 | 借主・テナント | 借主・テナント | 借主・テナント | 専用部分の工事
例:内装工事・電話工事・インターネット工事など |
各工事区分の特徴を詳しく見ていきましょう。
A工事とは
A工事は、建物本体に関わる工事で、オーナーの負担で行われます。
外装、共有トイレ、共有通路、エレベーター、階段、排水設備などが対象です。
これらの工事は建物全体の資産価値を保つために重要であり、オーナーが責任を持って管理します。テナントにとっては直接関係のない工事が多いですが、共有部分で気になる点があれば、早めにオーナーに申し入れましょう。
また、一般的にB工事として判断されるものでも、オーナーがA工事として認めれば、テナントの費用負担なしで工事ができる可能性もあります。
B工事とは
B工事は、借主やテナントが業者の発注や費用を負担しますが、工事の権限はオーナーにあります。
対象工事は、空調設備、排水・排気設備、防水設備、分電盤などです。
専有部分の設備でも、ビル全体に影響が出る工事をB工事として区分されるのが一般的です。オフィス区画内の工事ですが、ビル全体の安全性に関わるため、オーナーの責任で業者指定が行われます。
B工事は、テナントが費用を負担するため、工事費用を気にせず業者を指定するオーナーも少なくありません。そのため、A工事にできないか交渉したり、C工事業者に見積もりを出してもらい比較したりするなど、コスト削減の工夫が必要です。
C工事とは
C工事は、店舗やオフィスの内装工事で、借主・テナントが全ての責任を負います。
クロスの張替え、インターネット配線工事、照明器具の取り付け、電話工事など、基本的に原状回復可能な部分が対象です。
C工事の最大のメリットは、借主・テナントが複数の業者から相見積もりを取り、金額を比較できることです。また、オーナーを介さず業者と直接交渉できるため、スムーズに工事を進められます。借主・テナントの意向を反映しやすいのがC工事の特徴です。
オーナーによってA工事、B工事、C工事の区分が変わる
A工事、B工事、C工事の区分方法は大まかに決まっているものの、絶対的な決定事項ではありません。区分はオーナーが決められるため、物件によって工事区分は異なる可能性があります。
C工事をA工事として取り扱うことは基本的にありませんが、B工事がA工事へ区分されることはあります。B工事の費用があまりにも高額な場合や、区分に納得がいかない場合は、オーナーへ交渉や相談をしてみましょう。
B工事の費用を削減するコツ
B工事は、オーナーが業者を指定するにもかかわらず、費用を負担するのは、基本的に借主であるため、費用が高額になりやすい傾向があります。
さらに、他の業者と相見積もりを取れないため、コスト管理が難しくなります。しかし、次のような方法を実践することで、工事費用を抑えることが可能です。
スケジュールに余裕を持たせる
見積もりを取ったり、工事内容を確認したりするには時間がかかります。さらに、価格交渉をするとなると余計に時間が必要です。
スケジュールが詰まっている状態で価格の交渉や施工内容の相談をしていると、施工期間が伸びることや、値下げ対応が難しくなることがあります。退去や移転を考えている場合は、早めに行動をしましょう。
工事内容、契約内容を精査する
A工事と聞いていたものが書面ではB工事区分になっているなど、予想外の事態が起こることがあります。
また、不要な工事が含まれていることもあるため、工事区分や工事内容、契約書類は慎重に精査することが重要です。聞いていた内容と違う場合や、不明点、疑問点がある場合は遠慮なく問い合わせをしましょう。
価格交渉をする
オーナーが指定する業者だからといって、価格交渉をしてはいけないという決まりはありません。あまりにも高額な場合は、工事業者に値下げの交渉をしたり、オーナーに一部をA区分にできないか相談したりすることも検討しましょう。
価格の判断ができない場合は、C工事を依頼する業者に見積もりを出してもらうのも1つの手段です。
まとめ
A工事、B工事、C工事の違いについて理解し、適切に対応することで、テナントとしての権利を守りつつ、効率的に工事を進めることができます。特にB工事については、費用負担が発生するため、十分な注意が必要です。
工事区分について不明な点がある場合は、オーナーや不動産管理会社に相談し、明確な説明を求めることが大切です。また、コスト削減のために早めの準備と交渉を心がけましょう。
適切な工事区分の理解と対応が、経費削減につながります。店舗開業や店舗移転などでの工事区分や費用に関するお悩みやご相談は、ウラシコにお任せください。原状回復や内装解体の経験と実績が10年以上あるプロ集団が、丁寧にご対応いたします。
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