今回の記事では、店舗テナントのオーナー様に向けた「立退き交渉」について説明いたします。例えば建物などが老朽化したためテナントを建て直す必要があるとします。
その時に入居している店舗があると、そのまま取り壊してリフォームを行うといったことは出来ません。まずその店舗の賃借人に立退きを依頼する必要があります。そんな立退きにおけるコツや交渉の方法をポイントに分けて説明していきます。
物件を退去した時などに聞く「原状回復」とは一体何か?こちらの記事で詳しく解説しています。ぜひ合わせてご参照ください。
目次
立退き交渉の進め方
①立退きの説明文書を書面で賃借人に提示する
口頭で説明するとその場の勢いで怒りを示してしまう借主もいます。そのため、まずは正式に不動産会社や弁護士に作成を依頼した立退きをすることになった旨を文書化して、借主に示しましょう。
②立退きの説明を口頭で行う
文書でしっかりと示した後に、口頭で交渉を行ってください。双方の合意を得た上でないと立退きは成立しません。
③賃借人側の事情を聞く
こちらから一方的な説明で簡単に合意してくれればそれでいいですが、簡単にはいきません。そこで賃借人に対して、立退きをすることになった場合の懸念点や店舗が飲食店だった場合の損失などを丁寧に聞いてください。移転先の予め情報収集を行っておくとスムーズに進みやすくなるでしょう。
④立退料の交渉を行う
次に必要なステップは、退去予定者にいくらの立退料を支払うのかということです。立退料を高額に請求してくる借主もいれば、すんなりと受け容れてくれる借主もいて様々です。立退料の相場については後述いたします。
立退き交渉をする前に確認しておくこと3ポイント
①賃借人の店舗テナントの用途目的は何か
居住用の賃貸の場合は、そのアパートやマンションが何部屋あるのかといったことを把握しておく必要があります。つまりその部屋が埋まっている分だけ、立退き交渉をすることになります。
営業用の店舗や事務所などオフィス賃貸の場合は、飲食店などの営業が一旦止まることによる損失や常連客を失ってしまう可能性がある損害によって、店が受けるダメージをしっかりと考慮する必要があります。一方で、倉庫などは移転による支障が比較的小さいといえます。
②立退き後の移転先となる同等の物件を探す
立退き後は、移転をしなくてはいけません。そこで近所の同等の店舗テナントが賃料をいくらで借りれそうなのか交渉をする前に把握しておきましょう。
③入居時に支払われた敷金を返還する必要があるか
入居の契約時に賃借人から敷金を預かっている場合は、立退き時に返還しなければなりません。そのため未納の家賃などがないかを確認して敷金を返済できる状況であれば借主に返してください。
原状回復における行政手続きを詳しく解説している記事をまとめてあります。こちらも合わせてご参照ください。
立退き交渉におけるコツ3ポイント
①立退き理由は正当なものを賃借人に話す
立退きは、オーナーの個人的な要求によるものであり、賃借人にとっては不満なく暮らしていた家を出ていかなくてはいけなくなることは、心地よいものではありません。
そのためしっかりと立退き理由を正当な理由を正直に話すべきです。例えば建物の老朽化が進んでいてテナントにこのままいると安全ではない。もしくは、その店舗テナントを別の用途で利用したいなどです。
ここで嘘などついてしまうと、後々トラブルで裁判などになってしまった場合に不利になったりしてしまうので、しっかりと入居者が納得できる理由を伝えましょう。
②立退き後の引っ越し先の店舗テナントの情報を提供する
近所で同等の条件である物件に入居できるかが重要になります。入居者は立退きしたあとに、また利用する店舗が見つかるのかが不安に感じるはずです。オーナーは不動産業者に協力を依頼して、賃借人の移転先を斡旋してもらいましょう。
③立退きの準備期間を長めに設ける
立退きをしてほしい場合に、前もって交渉を始める理想は立退きの6か月前です。飲食店などの店舗をもつ場合、お客様に認知してもらうための準備期間ももちろんのこと、次の店舗を探して様々な契約を終わらせるのに半年は最低必要です。借主の負担を少しでも減らし互いのストレスをうみださないように、なるべく早めの準備を行いましょう。
立退料の相場はいくらくらいが妥当?
結論、立退料の相場は賃料6か月分くらいだと言われています。
具体的に立退料に含まれる内訳としては、時期物件の引っ越し費用や、新店舗物件の敷金・礼金・仲介手数料、さらには美容室や飲食店などの店舗である場合、店舗が営業できなくなる期間に発生する収益の損失分なども立退料に上乗せする必要があります。
また気持ちの謝罪金などもあると誠意が伝わり、借主もすんなり受けて居れてくれる可能性は高まります。
オーナー様としては安く抑えたい気持ちがあるかもしれませんが、反発を買って裁判にっなってしまうとさらに時間が取られて気持ちのストレスも互いに増えてしまいます。立退料については不動産などにも相談してみてください。
立退料が不要な特例もある
立退料は必ずしも支払わなければならないわけではありません。支払いをしなくていい例としては、賃貸人側に落ち度があるケースです。例えば家賃の未納がしばらく続いていて契約違反がある場合。または、定期建物賃貸借契約の場合などは、契約期間がきたら契約終了なので更新をしないでおけば立退料は不要なのです。
まとめ
これまで立退き交渉の進め方について説明してきましたがご不明な点はありませんでしたか?
立退き交渉は、トラブルにつながりやすく、中々スムーズに終わるものではありません。そのため前もって周りの代替物件を探したり、店舗テナントが移転することによる損失を調査するなどして、借主の怒りを買わないような交渉を考えておく必要があります。
今回ご紹介した立退き前に確認すべきことや、立退き交渉のコツなどをしっかりと踏まえた上で、店舗の借主に交渉してみましょう。何かお困りごとがありましたら、いつでも私たちにご相談ください。
また、優良な解体業者に見分け方に関しましては、こちらの記事一覧ページにてまとめております。こちらも合わせてご参照ください。