現在利用している建物が不要になった際に、必要になってくるのが「解体工事」です。解体工事を依頼するにしてもどのような手順でどんな手続きが必要かわからなくて困っている方も多いかと思います。
解体工事はただ解体業者に依頼・解体して終了ではなく、それぞれ段階毎に必要な手続きが多くあります。こちらの記事では一般的に解体工事の申請に必要な手続きや申請に加え、解体工事の流れについてわかりやすく解説していきます。
私達にご依頼いただいた場合のお問い合わせから工事完了までの一連の流れについてはこちらのページで詳しく解説しています。ぜひこちらも合わせてご参照ください。
目次
①解体工事業者の選定から契約
解体工事を行う際は、一般的に解体業者に依頼をします。ここでは解体業者を選定して、依頼から契約までの流れをお話していきます。スムーズに進められるように流れを確認しておきましょう。
解体業者の選定
まずは解体業者を選びましょう。基本的にはインターネットを利用し、ホームページなどを調べて、見積もりを依頼して選ぶのが良いと思います。
友人などに関連した知り合いがいるのであれば、その方に相談するのも良いかと思います。なるべく事前情報からサービス内容や費用などを検討し、信頼のできる解体業者を選びましょう。
見積もりを取る際に提示が必要な情報は以下の通りです。
・建物の坪数(延床面積など)
・建物の構造
・建物の住所
・建物周辺の道路の広さ
・建物に隣接する家屋などとの距離
見積もりについては、依頼からおよそ1週間程度で現場確認、その後に見積書が届きます。
見積もりを出してもらったからと言って、必ず解体工事の依頼をしなければいけないわけではありません。
見積書の内容に関しても、細かく丁寧に書かれている解体業者の方がより信用できますので、内訳についてもしっかりと確認しましょう。もしも比較してみて抜けている項目があった場合などは、必ず質問をして明確にしましょう。
そして、いよいよ解体工事業者との「契約」になります。依頼をする解体業者と細部まで細かくやり取りを行いましょう。解体工事の内容や工事費用などに納得をした上で、契約を交わします。
②解体工事前の準備
解体工事に関わるトラブルを事前に回避するためにもいくつかの事前準備は必ず行いましょう。
近隣住民への挨拶
解体工事を行う際、騒音、振動、害虫問題など様々な要因で近隣住民の方へ迷惑をかける可能性があります。そのため、解体工事を行う前に「挨拶と工事の内容説明」などを行う必要があります。
基本事前挨拶は解体業者の担当者の方と一緒に行います。挨拶をせずに解体工事を始めてしまうと、クレームやその後の近隣住民の方との関係性が悪くなる可能性もあります。きちんと挨拶は行いましょう。
ライフラインの停止と解約
解体工事を行う前に、電気・水道・ガス・インターネットなどの「ライフラインの停止・解約手続き」が必要です。それぞれ管轄する会社に解体工事期間中の停止を依頼します。
ライフラインの停止については解体業者に委任することもできますが、1週間ほどかかる場合もあります。施主自身が依頼をすれば1日、2日で完了するので、基本的には解体工事業者ではなく、施主がご自身で依頼することになるため、忘れないようにしましょう。
ただし、水道に関しては工事中に使用する可能性があるため、水道のみ、停止のタイミングを解体業者に確認しましょう。
建設リサイクル法の申請
「建設リサイクル法」とは、解体工事に関連した法律です。特定建設資材やコンクリート、木材などを用いた建物の解体工事の際、解体される資源を再資源化するために定められました。
延床面積が「80平方メートル以上」になる場合は届出が必要となります。
解体する建物が建設リサイクル法の対象となる場合、施主は解体工事を行う1週間前までに工事内容などを細かく記載した書類を都道府県知事に提出することが義務付けられています。
もし届出を行うことを忘れてしまうと、罰金を課せられてしまいますので、解体工事前に確実に提出しましょう。
道路使用許可の申請
解体工事を行う際、作業中に道路へ作業車を配置したり、資材を運搬するために道路を使用する場合、道路交通法に基づいて「道路使用許可」を申請する必要があります。
申請を怠った場合、解体工事を一時中断する場合がありますので、こちらについても忘れないようにしましょう。道路使用許可については一般的に解体業者に依頼をして有償で行ってもらうことになります。
道路使用許可についても申請から許可が出るまでに1週間程度かかりますので、時間に余裕を持って申請しましょう。
廃棄物の処分
解体工事を行う前には器物の処分をしておくことで、スムーズに解体工事を始めることができます。ゴミなどはトラブルにならないように、しっかり分別して処分しましょう。
また家電や家具などの廃棄物によっては、「不用品回収業者」や「リサイクルショップ」を利用することで、運び出しを専門スタッフが行ってくれたり、ものを買い取ってもらえたりする場合もあります。
③解体工事本番
ここからいよいよ「解体工事の流れ」についてお話していきます。解体工事については解体業者が行うことではありますが、工事の準備や注意点がありますので、内容は把握しておきましょう。
足場や養生の設置(解体工事の開始)
解体工事を開始するにあたり、高所での作業も伴うため、仮設の足場の設置が必要です。足場を作る際にほこりなどの粉塵が飛散する可能性がありますので、養生シートを使って建物を覆います。
また、騒音や振動、火災などを防止するために「防音シート」や「防炎シート」を取り付け、近隣への影響を最小限に抑えます。
建物内部や周辺の解体・撤去作業
解体工事ではまずは屋根などにある「瓦の撤去」を行います。一般的には1枚ずつ丁寧に、手作業で撤去していきます。分別解体が必要となるため、機械等でまとめて撤去することは難しいです。
そしてスレート瓦が使用されていた場合、アスベストが含まれている場合がありますので、細心の注意が必要です。
また、建物だけではなく、隣の家との境界線となる「木やブロック塀などを撤去」する場合もあります。この時、ブロック塀は昔から設置されているものも多いため、所有者が隣人の方との共有物である可能性があります。
瓦やブロック塀などの解体の他に、建物の「内装材の撤去」も行う必要があります。内部に取り付けられた窓ガラスや土壁などを解体していきます。こちらについても分別をしながら手作業で行っていきます。
建物本体の解体工事
建物内部などの解体が終わりましたら、いよいよ建物本体の解体工事へと入っていきます。
ここからは主に重機を用いて解体していきます。一般的によく見られる工事のイメージはこちらだと思います。
解体自体は建物の上部から順番に解体していく流れとなります。ほこりなどの粉塵が飛散するので、散水しながら解体作業を進めていきます。
その際に騒音や振動も起こりますので、周囲に配慮しながら解体工事を進める必要があります。
④解体工事後の作業
廃棄物の処理と整地
解体工事が完了して工事の工程がすべて終了したわけではありません。細かい木屑やコンクリート片などが発生するため、適切な処分を行います。
小さいものについては手作業で、大きい物は重機を使って処理します。すべてきれいに取り除けたことが確認できたら、地面の整地を行います。
工事現場の清掃作業
細かい木屑やコンクリート片などの処分と整地まで完了しましたら、工事現場をきれいに清掃していきます。
水などを撒いて掃除をしていきますので、この段階までは水道を解約しないように言われる可能性もあるので、事前に確認しておきましょう。
工事現場の清掃が完了し、きれいになりましたら解体工事は完了となります。
解体工事後の近隣への挨拶
解体工事が完了した後も「近隣住民の方への挨拶」は忘れないようにしましょう。挨拶がなく、工事がいつ終わったのか分からなかった結果、クレームへと繋がるケースも少なくありません。
場合によっては粗品を用意することも必要になるので、臨機応変に対応しましょう。
解体工事が完了するまで特にクレームなどがなければ、工事のお詫びと合わせて感謝の気持ちを込めて挨拶をしましょう。
⑤建物滅失登記の申請
解体工事後に絶対に忘れてはいけないのは「建物滅失登記の申請」です。登記されている建物を完全に解体をした場合、建物の所有者は解体を行った日から1か月以内に建物滅失登記を申請しなければなりません。
基本的には、法務局で必要書類をもらい、申請手続きを行います。ご自身で申請をすることもできますが、わからない場合は有償で司法書士などに委任することができます。
もし建物滅失登記の申請を怠ってしまった場合、その後土地を売りたいと思ったときに売却ができなかったり、固定資産税の課税や罰金が発生したりする可能性が高いです。最後まで気を抜かず、絶対に忘れないようにしましょう。
まとめ
解体工事について必要な準備や流れについてお伝えしてきました。解体業者を選ぶところから、悪徳業者などに注意しつつ、ご希望にあったサービスと料金の解体業者を選びましょう。
解体業者は契約をしてしまってからでは対処が難しくなってしまうので、しっかりとサービス内容や費用を見て選択しましょう。
また、解体工事を行うだけでも多くの書類や手続きなどが必要ということがお分かりいただけたかと思います。
手続きを怠ってしまうとマイナスが大きいものもありますので、必要な書類や手続きなどはすべてチェックシートにまとめるなどして、確実にこなせるようにすることをオススメします。
一生に何度もないことではありますが、皆様が優良な解体工事業者を選択いただいて、最後まで安心して解体工事ができるように願っています。
住まいの解体撤去・原状回復に関する記事はこちらのカテゴリーでまとめております。ぜひこちらもご参照ください。