解体工事と聞くと、重機を入れて建物を豪快に解体していくイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか?しかし実際の現場では「手壊し(てこわし)解体」という工法が用いられる場合がほとんどです。
今回の記事ではそんな「手壊し解体」の言葉の意味やメリットやデメリットなどについて詳しく解説していきます!
目次
手壊し解体とは?
手壊し解体とは、重機などの大型の機械を用いることなく、工具を用いて人力で建物を解体する工法です。
以前は重機のみで建物を取り壊していくことが横行しており「ミンチ解体」と呼ばれていました。しかし、建設リサイクル法が2002年に施行されたことによりミンチ解体は禁止となりました。
そのため現在では、必要に応じて重機を使用しながら、基本的には人力で解体する「重機併用手壊し工法」が現在の工事のほとんどを占めることになっています。
建物の内部を人の手で解体した後、重機を使って土台となっている構造部分を撤去する工法のため、以前より時間は必要としますが、廃棄物の分別がしやすく環境に負担をかけずに進められるといった社会的なメリットがあります。
産業廃棄物に関してはこちらの記事で詳しくまとめています。こちらも合わせてご参照ください。
手壊し解体が必要な現場
解体現場が高低差のある所にある場合
解体現場が隣接する道路よりも高い/低い位置にある場合は、重機の乗り入れが難しく、手壊しという選択肢を取らざるを得なくなります。
重機が通れないほど狭い道路の前に解体現場がある場合
解体する建物の規模によりますが、解体現場で使われる重機は、一般的に2m以上のものが多いです。そのため、解体物件の前の道路が2m以下の狭い道幅である場合も重機を通過させるのが難しく手壊しを選ばざるを得ません。
解体物件への道が階段になっている場合
建物が高い位置に建てられている場合、そこへ至るまでの道路が階段状になっていることがあります。通常はなだらかな斜面に道路を作ることが多いのですが、車両の侵入を想定せずに作られた階段状の道路の場合、重機がはいっていくことは難しくなります。
短い階段であれば、鉄板を敷くことによって侵入できるケースもありますが、長い階段となるとそれは難しくなるため、手壊しするしかなくなります。
手壊し解体のメリット
粉塵の飛散や騒音・振動を抑えることができる
粉塵や騒音・振動を極力抑えることが出来ることは大きなメリットです。その結果、近隣に住む住民の方とのトラブルの可能性をぐっと減らすことができます。
細かな分別解体に対応できる
現在の解体工事で主に採用されているのは、解体工事で出る資材や廃棄物を分別しながら工事を進めていく「分別解体」です。手壊し解体なら重機による解体よりも細かく丁寧な作業が可能になり分別解体への対応も容易になります。
手壊し解体のデメリット
工期が長くなる
手壊し解体は重機で一気に解体するより多くの時間がかかります。一般的に手壊し解体では、重機を使って行う解体作業の2倍以上の時間がかかります。予め、工期が長くなることを想定してスケジュール調整することが大切です。
費用が割高になる
手壊し解体では工事期間が長くなるため、当然ですが人件費が高くなる傾向にあります。手壊し解体の工事費用は重機による工事費用の2倍~3倍になるのが相場となっています。
手壊し解体の工具
手壊しによる解体では、屋根や壁、梁など建物の構造部分は全て人の手で取り壊します。この時に人の手だけでなく、工具も使うのですが、ここでは代表的なものに絞ってご紹介します。
バール
解体業者のほとんどが所有している棒状の工具で、片側にくぎ抜き用の割り込みがあり、釘を抜くためにつくられたものが多いです。てこの原理を用いて、物体同士の分離に活用します。
ネイルハンマー
解体現場でよく使用されるネイルハンマーは、打ち面の逆側に釘抜きがついているのが特長です。バールやバチと組み合わせて建材を叩き壊すときなどに使います。和風ハンマーよりも安定感があり使いやすいといわれています。
インパクトドライバー(インパクト)
電動ドライバーの一種であるインパクトドライバーの特徴は、ハンマーが内蔵されていることです。硬い素材へのネジ留めの他、腐食して固まったネジや過度に締められたネジを外すのに有効です。インパクトと略されたりもします。
サンダー
切断や研磨に使われる電動工具です。グラインダーやディスクグラインダーとも呼ばれます。円盤状の研磨剤を高速回転させることで、解体材の切断や研磨を行います。内装解体工事においては斫り工事やスケルトン工事などで使用されることが多いです。
レシプロソー
レシプロソーは電動のノコギリの一種です。刃を交換することで、木材だけでなく、塩ビ管などのプラスチックからステンレスなどの金属を切断することも可能です。チェーンソーとは違い、1枚のブレード(鋸刃)を往復振動させることで物体を切断します。
タガネ(チゼル)
タガネとはヘラの様な金属製の工具です。刃先を解体物にあててハンマーで柄を叩くことで対象を削る、断ち切るために用います。レンガや古いコンクリートを割ったり、下地を傷つけることなく砂壁等を削ることができます。チゼルとも呼ばれます。スクレイバーと呼ばれるタイル剥がしに特化した計上もあります。
ネコ(一輪車)
手押し車のことで、トラックが入ってこられないほど狭いスペースで出た廃材をいったんネコで運び出し、トラックに積み込むために使います。ネコという名称は、ネコが一匹しか通れないほど狭い道(キャットウォーク)を通るのにこの一輪車が使われていたことに由来しているそうです。
ブルーシート
あらかじめブルーシートで施工箇所の周囲を覆っておくことで、粉塵を飛散させることを防ぐ事ができます。床や壁などを工事の汚れから保護するためにも使用されます。
まとめ
手壊し解体には熟練した技術や配慮が必要になるので、解体業者選びにも慎重さが求められます。適切な業者に依頼し、工事を無事完了するために本記事が参考になれば嬉しいです。
もちろん、愛知県内の手壊し解体は、株式会社ウラシコにおまかせください!内装解体の専門業者として、原状回復、スケルトン工事などあらゆる内装解体業務を承っております。まずはお気軽にお問い合わせいただけますと幸いです。
また、優良な解体業者に見分け方に関しましては、こちらの記事一覧ページにてまとめております。こちらも合わせてご参照ください。