原状回復とは、借り手側が物件を退去する際に次の入居者が入居できる状態に戻すことを指し、アパートやマンションの退去の際だけでなく、オフィスや飲食店などの商用物件の場合にも実施する必要があるものです。
2023年から続いている物価高の影響は、我々の日常生活だけでなく、原状回復工事をはじめとした工事にも影響しています。今回は、アパートやマンションの原状回復費用について2024年の最新情報を紹介します。
目次
賃貸物件の原状回復費用の相場
アパートやマンションなど居住用物件の場合には、退去する時に借り手側が入居してから発生したキズなどを、元の入居した状態に戻して退去しなければならないとされています。原状回復の範囲については後述しますが、ここでは費用相場について紹介します。
原状回復費用相場
マンションやアパートなどの原状回復の場合、ほとんどの場合がハウスクリーニング費用であり、部屋の規模や汚れ具合にもよりますが、一般的な1Kの部屋の場合には約2万円前後となることが多いです。ハウスクリーニングの費用の目安としては以下のようになります。
間取り/広さ | ハウスクリーニング費用相場 |
1R、1K | 15,000円~30,000円 |
1(L)DK | 25,000円~40,000円 |
2(L)DK | 35,000円~50,000円 |
3(L)DK | 40,000円~80,000円 |
4(L)DK | 70,000円~ |
アパートやマンションの原状回復の場合、不動産会社や管理会社が業者を手配することになりますので、契約時の賃貸借契約書に値段が記載されていることもありますので、確認してみてください。
タバコによるヤニ汚れがひどい場合や引っ越しの際に壁やドアなどを傷つけてしまった場合には別途費用が発生します。こちらに関しての費用は後ほど説明します。
工事・部位別費用相場
マンションやアパートの原状回復の内容は様々ですが、その中でも実施されることが多い工事とその費用相場は以下のようになります。
実施内容 | 費用相場 |
クロスの張り替え | 1,200~2,000円(1㎡あたり) |
床の張り替え | 15,000円~60,000円(フローリング、1畳あたり)
8,000円~15,000円(カーペット、1畳あたり) |
水垢カビのクリーニング | 8,000円~30,000円(1回あたり) |
網戸の張り替え | 1,000円~5,000円(1枚あたり) |
畳の表替え | 5,000円~35,000円(1畳あたり) |
ドアの鍵交換 | 15,000円(1回あたり) |
キッチン汚れのクリーニング | 5,000円~60,000円(1回あたり) |
こちらで記載した費用に関しては、実施に際して発生した廃棄物の処理費用は含まれておりませんので、実際の原状回復に関しては500円~30,000円ほどの廃棄物処理費用が加算された費用がかかることになります。
原状回復費用の相場を知る方法
上記で原状回復費用の相場について紹介してきましたが、実際にいくらかかるのかは部屋の広さや実施する作業の内容、依頼する業者など複数の要因によって変動します。
実際に自分が退去する物件の原状回復がいくらになるのかの相場を知りたい場合には、複数の業者に見積もりを依頼してみてください。そうすることで、実際の費用相場を知ることができます。
もちろん、私たちウラシコにもお気軽にご相談ください。現地調査の上、適正価格でお見積りをご提出いたします。
居住用物件の原状回復について覚えておきたいこと
アパートやマンションなど居住用物件の場合、原状回復に関するトラブルが多数発生しており、これをうけ国土交通省が過去の裁判例などを参考にして、原状回復ガイドラインを策定しています。
ガイドラインには法的拘束力はありませんが、トラブルを事前に防ぐためには有用です。今回はこのガイドラインの内容を元に説明します。
全文参照
原状回復の定義
原状回復とは、ガイドラインでは以下のように定義されています。
「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」
※善管注意義務:借りているものを適切に保管して貸主に返す義務のこと
一部聞きなじみのない用語があると思いますが、賃貸借物件を退去する際には、借り手側が意図的にまたはうっかり発生させてしまったキズや汚損、通常とは異なる使用で発生させた機器の故障などを復旧する(元の使える状態に戻す)ことが原状回復であるとされています。
原状回復の範囲
前述の原状回復の定義とも関わってきますが、原状回復とは、借りた物件を借りたときの状態で返すことが基本とされていますが、部屋は時間の経過とともに劣化・損耗するため、借りたときと全く同じ状態で返却することはほぼ不可能といっていいでしょう。
そこで、常識の範囲内で普通に使っていても発生する損耗(通常損耗)や時間とともに劣化するもの(経年劣化)については、借り手側に退去時の原状回復義務はないとされています。
通常損耗や経年劣化に関しては、その損失分を家賃として定期的に支払っていると考えられており、退去時にこの分を支払わなければならないとなると、借り手側は2重で料金を支払っていることになりますので、退去時には支払わなくてよいということになります。
原状回復費用の減額について
借り手側が原状回復しなければならないとされる場合であっても、その費用が減額されることがあります。
前項で説明したように、通常損耗や経年劣化による損耗分は家賃として支払っており、退去時に改めて支払うことはないとされていますが、借り手側に原状回復義務がある場合でも、この考え方が適用され、居住年数によって原状回復費用が減額されます。
例えば、クロスにキズをつけてしまい借り手側が原状回復義務を負うとします。
この場合の料金が5,000円であった場合、居住年数が1年で引っ越す場合には、費用の9割近くは借り手側が支払うことになりますが、クロスの耐用年数は6年であると考えられていますので、6年以上経過してから退去した場合には、借り手側は費用を負担しなくてよいということになります。
ただし、消耗品としての性格が強いもの(畳など)に関しては、入居年数を考慮せず全額借り手側の負担とする場合もありますので、この辺りはきちんと確認するようにしてください。
借り手側が原状回復義務を負う工事箇所の具体例
借り手側が原状回復義務を負う具体的な事例を紹介していきます。
タバコによるヤニ汚れや臭い、焦げ跡など
居室の中で煙草を吸うと、壁や天井にたばこのヤニによる汚れや臭いが移ってしまったり、たばこの灰を床などに落として焦げ跡をつけてしまったりすることがあります。これらは、借り手側が室内で喫煙したことによる故意や過失が認められるため、借り手側に原状回復義務があるとされます。
たばこの臭いや汚れに関しては、クリーニングで対処できないこともあり、その場合には全面的な取り換えやリフォームを実施しなければならない状況になることも考えられますので、日ごろから気を付けておく必要があります。
ボードの張り替えが必要なほどの釘やネジ穴
帽子や鞄をかけたり、写真や小さな観葉植物を壁に飾るために壁に穴をあけることがあると思います。
この時に画びょうなどであればさほど深くなく、穴も目立たないですが、ねじを使ってしまうとクロスを突き破って下地にあたる石膏ボードまで穴をあけてしまう可能性があります。
この場合、通常の使用を超えた使用と考えられるため、借り手側に原状回復義務があるとされます。今では細い釘のようなものを使用して固定するなどの方法がありますので、検討してみてください。
借り手側の清掃が行き届かず発生した水回りの水垢、カビなど
冬場などに発生する窓の結露を放置したことによるカビやお風呂やトイレ、キッチンなどの清掃を怠ったことによる水垢やカビについては、善管注意義務を怠ったことにより発生したとみなされるため、借り手側に原状回復義務が生じます。
ドアや床、畳、カーペットの汚れやキズ
ドアや床など日常的に使用する箇所のキズや汚れについては、日常の清掃を実施しており、通常の使用を行っていた範囲で発生したものに関しては、借り手側に原状回復義務はありません。
しかし、物を落下させたことによる床のキズや重いものをドアノブに吊り下げたことによる損傷や故障、子どもやペットがつけたキズや汚れなどに関しては、使用者の故意や過失、善管注意義務を問われることになります。
2024年の原状回復まとめ
今回は、アパートやマンションの原状回復費用の最新情報について紹介してきました。
常日頃から使用する居室ですので、ついうっかり傷をつけてしまうこともあるかもしれませんが、大切に使うことで退去時の負担を減らすことができますので、常日頃から気を付けるように心がけましょう。
また、原状回復を実施する場合には、管理会社からの提示をすべて鵜呑みにすることなく自分でも調べたり、見積もりを依頼してみるなどを実施してみてください。
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また、こちらのページでは実際に弊社が作成している見積書を掲載しています。チェックポイントも合わせてご紹介していますので、ぜひこちらも合わせてご参照ください。