皆さまは「ミンチ解体」という言葉をご存知でしょうか。近年ではほとんど行われなくなったため、耳にしたことがない方も多いかもしれませんが、かつては一般的に行われていた解体工事の手法の一つです。
今回はこの「ミンチ解体」とはどのようなものか、その特徴や現在行われなくなった背景について詳しくご紹介いたします。
目次
ミンチ解体とは
「ミンチ解体」とは、廃棄物を分別せずに重機を使って建築物を一気に取り壊す解体工事の工法のことです。
建築物に含まれる建設資材(木材、コンクリ、ガラスや金属などの危険物)をまとめて壊してしまいます。解体した資材の分別が必要ない、足場が必要ない、工期が短く費用が抑えられるなどのメリットが多くあったため、禁止される前までは解体工事では一般的な工法でした。
しかし、「ミンチ解体」は現在、環境保護や危険性などの観点から、「建設工事に係る資源の再資源化等に関する法律」(建設リサイクル法)において禁止されています。
現在では、しっかりと分別解体工事を行わなかった場合、50万円以下の罰金が科されます。この罰則は、解体工事業者だけでなく、解体を依頼した施主にも適用されますので、十分に注意が必要です。
ミンチ解体と分別解体の違い
ミンチ解体と分別解体(建設リサイクル法施行後の一般的な解体工法)の違いを比べていきます。
ミンチ解体 | 分別解体 | |
工事の進め方 | 分別せずに重機で建物を一気に取り壊し、廃材をまとめて運搬し、処分する | 足場を組み立て、断熱材やガラスなどを手作業で撤去した後、重機や工具を利用して建物を取り壊し、コンクリートや金属などに分別し、廃材ごとに運搬し処分する |
工期 | 重機を使い一気に取り壊すため、短い | 分別しながらの取り壊しになるため、ミンチ解体より長い |
費用 | 人件費がかからないため作業費は安いが、処理費用が高くなる | 人件費がかかるためミンチ解体よりも作業費は高いが、処理費用が安い |
ミンチ解体を実施した場合、廃材を処分場に運搬した後に処分業者側で分別を実施することになりますので、その分「混合廃棄物」として処分されます。処分費用に関しては、以下のような目安になります。
棄物の種類 | 1㎡あたりの処理費用 |
混合廃棄物 | 9,000~30,000円 |
木くず | 3,000~9,000円 |
金属くず | 3,000~5,000円 |
ガラスくず | 3,000~18,000円 |
廃プラスチック類 | 8,000~14,000円 |
コンクリート | 5,000~8,000円 |
処分費用の目安単価を見てみると、分別したほうが分別してないのと比べてかなり費用を抑えることができることがわかります。
ミンチ解体は作業費は安価で済みますが、産業廃棄物の処分費用がその分高くなりますので、分別解体を実施した場合と同じ金額になることも多く、場合によっては分別解体の時より高くなるということもあり得ます。
建設リサイクル法
ここで建築リサイクル法に関しても抑えておきましょう。建設リサイクル法は、2000年年5月31日に公布された法律で、正式名称は「建設工事に係る資源の再資源化等に関する法律」です。
建設資材の分別、建設資材廃棄物の再資源化を義務付けるために制定され、以下に挙げる資材が分別解体と再資源化の対象となります。
・コンクリート
・コンクリート及び鉄から成る建設資材(プレキャスト鉄筋コンクリート板など)
・木材
・アスファルト
建設リサイクル法では、解体業者に対して建設業許可の取得と解体工事業登録の義務付けに関しても規定しており、各都道府県知事による解体工事業の登録がない場合は、解体工事を行うことができません。
また、解体工事の依頼を請けた解体業者は、工事の発注者である施主へ再資源化完了を書面で報告し、施主は解体業者からの再資源化の完了報告を各都道府県知事に申告する必要があります。
違法工事を見抜くための確認ポイント
解体工事業者がミンチ解体を実施した場合には、業者だけではなく工事を依頼した施主にもその責任が及び、罰則があることをお伝えしました。
このような事態を避けるためにも、工事業者がミンチ解体を実施しないところかどうかを見抜く、確認する方法を紹介していきます。
詳細な見積書を作成してもらう
解体工事を依頼する工事業者を選定する際に、工事費用の見積を提示してもらうことになりますが、この時にどの作業にいくらかかるのか、項目ごとの数量や単価などが記載された詳細な見積もりを出してもらうようにしてください。
見積書の内容を曖昧にして違法工事していることを隠そうとする業者もいますので、必ず見積額の詳細を確認するようにしてください。この時に工事で排出された廃棄物の処理費用が他よりも高額である場合は、ミンチ解体を実施する可能性が考えられます。
また、廃棄物の処理費用が他よりもかなり安い場合には、不法投棄などミンチ解体以外の違法行為を実施している恐れがありますので、きちんと確認するようにしてください。
工事完了後、産業廃棄物マニフェストのコピーを提示してもらう
マニフェストとは、産業廃棄物が適切に処理されたことを確認するための書類です。廃棄物を適切に処分することは建設リサイクル法で定められている義務であり、最終的には提示も必要になります。この書類を確認することで、廃棄物を適切に処理しているかを確認することができます。
ミンチ解体や不法投棄を実施している業者は、廃棄物の処理方法を知られたくないため、マニフェストの提示を拒否する可能性があります。工事を依頼する前の打ち合わせの段階で、工事完了後にマニフェストのコピーを提示してもらえるかを確認しておきましょう。
マニフェストを確認する際には、「どこの廃棄物処理会社に依頼したのか」、「その会社は許可を取っている処理会社なのか」なども併せて確認しておくと安心です。
必要な行政手続きや資格を持っているか確認する
解体工事を実施する場合には、「建設業許可」の資格取得や「解体工事業登録」を実施しておかなければなりません。
また、一定の条件を満たす解体工事については、事前に各都道府県や地方自治体などに申請を実施しておかなければならないという決まりもあります。
ミンチ解体についてまとめ
今回は、ミンチ解体に関して紹介してきました。現在、ミンチ解体は違法となっています。最悪の場合、解体工事の時に抑えた金額以上の賠償責任が発生することも考えられますので、十分に注意しておいてください。
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