オフィスの解約は賃貸住宅とは違い、手続きが複雑です。内容を把握しておかなければ、希望通りに解約できないこともあります。
一見すると簡単そうに見える解約ですが、じつは落とし穴がたくさん。意外と知られていないオフィスの解約手続きについて紹介しますので、今後の参考にしてみてください。
目次
オフィスの解約手続きを進める前に知っておくこと
オフィスの解約を検討する前に、知っておかなければいけないことが2つあります。急な解約は受け付けられないことが多いため、オフィスを契約するときにしっかり確認しておきましょう。
賃貸オフィスには解約予告期間がある
賃貸オフィスには『解約予告期間』というものが設けられています。解約予告とは、入居者あるいはオーナーのどちらかが契約解消の意思表示を示すことです。この意思表示は事前に申告する必要があり、その期間が定められています。
多くの場合6ヵ月と定められていますが、中には3ヵ月という物件もあります。この解約予告期間は賃貸借契約書に書かれているので、契約時にチェックしておきましょう。この期間を過ぎて申告すると、希望する日時に解約できない可能性があります。
また注意したいのが、解約する目的です。オフィスを解約するためには『なぜ解約しなければいけないのか』明確な理由が求められます。
オフィス解約時に必要な費用
解約時に必要な費用も念頭に入れなければいけません。退去時に必ずかかるのが、原状回復工事費です。
原状回復とはオフィスの入居前の状態に戻すことで、物件の契約期間内に工事を終わらせなければいけません。多くの場合、敷金からまかなわれますが、足りない場合は追加費用が求められます。またオフィス退去の理由が移転だったときは、以下のような費用も掛かります。
- 引っ越し費用
- 移転先の敷金や保証金
- 内装工事費
オフィスの解約手続きの流れを紹介
それではオフィスの解約手続きの流れを一緒に見ていきましょう。今回例に挙げているのは、オフィスの解約予告期間でもっとも多い6ヵ月を想定しています。どの時期に何をしなければいけないのか、流れを確認してみてください。
【6ヵ月以上前】移転を伴う場合は新しい物件を決めておく
オフィスの解約は思い立ってすぐできるものではありません。先ほども紹介したように『解約予告期間』が設定されているため、解約希望日から逆算してスケジュールを組んでいきます。まず6ヵ月以上前にしなければいけないことは以下の通りです。
- 賃貸借契約書の内容チェック
- 原状回復の内容
- 敷金や補償金の流れ
賃貸借契約書には、解約に関することや退去時に行われる原状回復について細かく書かれています。契約時に確認している内容であっても、今一度復習しておきましょう。
またオフィス退去の理由として多いのが移転です。解約予告で義務とされている退去時の理由を明確にしなければいけません。
なぜ移転が必要なのか、オーナーが納得いく理由を集めておきましょう。合わせて移転スケジュールを立てるのもこの時期です。新オフィスで必要な費用も含めて契約を立てていきます。
【6ヵ月前】オフィスの解約予告手続きを開始
6ヵ月前になったら解約予告として通知を出しましょう。この通知を出さなければ、希望する日に解約ができない可能性があります。
先ほどの工程で原状回復の内容を復習していると思いますが、オフィスをチェックしどこまでが原状回復の範囲内か自ら確認してください。
オフィスの原状回復は、基本的にオーナーが指定する業者が行います。その内容は賃貸借契約書にも依頼業者と必要工事日数の目安が書かれているため、いつまでに依頼が必要かも把握しておきましょう。
【4ヵ月前】原状回復業者へ見積もり依頼
約4ヵ月前には、原状回復の見積もり依頼をお願いします。見積もりは必ず立ち会ってください。中には現場を見ずに見積もりを作成する業者もいます。不当な請求をされないためにも、立ち会うことは大切です。
【2ヵ月前】原状回復工事の依頼
原状回復の見積もりが終了すると、いよいよ工事依頼に入ります。原状回復工事は、契約期間内に終わらすことが大前提。そのため、早めに動くといいでしょう。オフィスの規模にもよりますが、工事期間は3週間~2ヵ月かかるといわれています。
また退去に伴って廃棄物が出る可能性もあります。その場合は許可を得ている産業廃棄物業者への依頼も忘れずにしてください。さらに移転を伴う退去の際は、新オフィスの内装工事も一緒に進めていきます。
廃棄物の処分はとても複雑です。産業廃棄物についてとマニフェストの関係は、こちらの記事でより詳しく解説しています。解体工事を依頼される際は、必ず理解しておきましょう。
【1ヵ月前】取引先や官公庁などへの各種届出
退去の1ヵ月前になると、取引先への連絡や官公庁への届け出の提出作業があります。連絡や届け出は想像以上に多いため、あらかじめチェックリストを作成しておくと漏れがありません。提出し忘れがないよう、十分注意してください。
オフィス退去の際の注意点
郵便物の転送手続きを行っておく
オフィスを移転する場合は、郵便局で郵便物の転送手続きを行っておきましょう。うまく出来ていなければ重要な書類が届かなくなってしまいます。
その他にも電話や公官庁への届け出など、引っ越し手続きは間違いのないように何度も確認しましょう。
信頼できる原状回復業者に依頼する
オフィスの退去・移転は様々な工程があります。原状回復工事のて行為が遅れてしまえば、それだけ他方に迷惑がかかったり、余計な費用がかかってしまいます。スムーズにオフィスを移転するためにも、工期を守ってくれる信頼できる業者に依頼することが重要です。
まとめ
賃貸住宅とは違い、オフィスの解約手続きは少し複雑です。とくに解約予告期間は十分把握しておきましょう。万が一解約できなかったときは、すべての工程がずれ込んでしまいます。漏れを防ぐために、契約時に解約スケジュールを立てておくのもいいでしょう。
また中には悪質業者もおり、巧妙な手口を使ってくる事があります。それを防ぐためにもこちらの記事を見て悪質業者の手口を知っておきましょう。