「オフィスの居抜き退去をする予定なんだけど、原状回復はどこまですればいいのかわからない」
「オフィスの居抜き退去の原状回復で確認すべき賃貸契約書の部分を知りたい」
このように、オフィスの移転に伴い居抜き退去を予定しているけど、原状回復をどこまですればいいか悩まれている、オーナーの方は多いのではないでしょうか。
この記事では、オフィスを居抜き退去する際の原状回復の範囲とオフィスの居抜き退去で注目すべき賃貸契約書の内容について、詳しく解説していきます。
オフィスの居抜き退去では、どこまで原状回復をするべきなのか、しなくていいのか悩んでしまいますよね。オフィスの居抜き退去の原状回復を巡るトラブルは頻繁に起こっており、注意が必要です。
自分自身の判断で原状回復をしなかったり原状回復の範囲を決めてしまったりすると、物件のオーナーとトラブルに発展してしまう可能性が。この記事をチェックして、オフィスの居抜き退去の原状回復を巡るトラブルを回避しましょう。
またオフィスの原状回復で必要な工事、手続き、行政処理はこちらの記事でまとめていますので、ぜひ合わせてご参考ください。
目次
オフィスの居抜き退去の原状回復の範囲は入居時の契約で決まる
居抜き退去の原状回復の範囲は、入居する際に交わした賃貸借契約書によって決まるのが基本です。居抜き退去を希望しても、賃貸借契約書に壁や床の張り替えが必要と明記されていれば、壁や床の張り替えの原状回復をしなければなりません。
一方、クリーニングだけで良い明記がある場合は、クリーニングのみをして退去すれば問題ありません。入居時の契約で原状回復の範囲が決まることから、契約時に原状回復の範囲を物件のオーナーまたは管理会社と綿密に話し合っておくことが重要です。
また、契約途中で居抜き退去が決まった場合は、物件のオーナーまたは管理会社の方と話し合いの場を設け、原状回復の範囲についての契約書を作成してもらうと、トラブルを防ぐことができるでしょう。
オフィスの居抜き物件に入居した場合でも原状回復義務が伴う
オフィスの原状回復で特に多いトラブルが、居抜き物件に入居した場合です。居抜き物件に入居したからといって、居抜きで退去できるわけではありません。
オフィスの退去は、スケルトン状態もしくは必要な原状回復を施して、何もない状態で返すのが一般的です。借りる側の方は、居抜き物件に入居したから居抜きで退去できる考えてしまっていると、思いがけない出費が発生する場合があるので注意しましょう。
ここでもやはり、契約時に原状回復の範囲をしっかりと話し合っておくことが大切です。
オフィスの居抜き退去の際に注目すべき賃貸契約書の部分
オフィスの居抜き退去の原状回復で、賃貸契約書の注目すべきポイントは以下3つです。
- 増設した造作の撤去の有無
- 内装の汚れや傷についての記載
- 特約・特記事項の記載
賃貸借契約書の上記3つのポイントを意識して確認することで、オフィスの居抜き退去で必要な原状回復の範囲が明確にわかります。トラブルを防ぐためにも必ずチェックしておきましょう。
増設した造作の撤去の有無
居抜き退去といえども、増設した設備や仕切りなどを残すのか、撤去するのかの記載部分を確認しておきましょう。居抜き退去はあくまでも次の借り手に好まれる内装である必要があります。
使いづらい内装だと、次の借り手が見つからない可能性が大きいため、次の借り手に沿った内装に一部変更を求められる可能性があります。 増設した造作の撤去の費用負担を含め、貸主または借主、次の借り手の誰が原状回復の負担するのかを、ハッキリさせておくことが重要でしょう。
内装の汚れや傷についての記載
内装の汚れや傷の補修についての原状回復の記載も、確認しておく必要があります。一般的に、オフィスとして使用していた事業物件の場合、壁や床の張り替えは原状回復として求められることが多いです。オフィスは人の出入りが多いため、壁や床が痛みやすいためです。
特に記載のない場合は、壁や床の張り替えをしなくてもいいのですが、物件のオーナーの考えと相違する可能性があるので、契約時に確認しておくといいでしょう。併せて、どこまでの補修を求めるかを、契約書に記載してもらうようにするとより良いです。
原状回復特約・特記事項の記載
原状回復の記載欄に特約や特記事項が明記されている場合は、必ず確認しておいてください。特約・特記事項には、物件のオーナーが独自で求める原状回復の範囲が記されています。
たとえば、照明器具の取り替えや天井の塗り替え、通常損耗の補修などです。貸主によって求められる原状回復の範囲はさまざまなので、特約・特記事項の記載に従う必要があります。しかし、あからさまに理不尽な内容の場合は、特約・特記事項も無効となる場合があります。
契約を交わす段階で、納得のいかない特約・特記事項がある場合は、貸主または管理会社と話し合い、記載内容の変更を求めるといいでしょう。トラブルを引き起こさないためには、事前のチェックが重要なので必ずおこなってください。
【借主視点】オフィスを確実に居抜き退去をするためには
居抜き退去は、入居の段階の契約で決まっている場合と入居中に決まる場合の2つあります。物件のオーナーの考えが途中で変わってしまい居抜き退去が実現しない、なんてこともあり得るでしょう。
オフィスの居抜き退去を実現するためには、「特記事項に盛り込む」と「オーナーとの関係性をよくする」の2点が重要なポイントです。
特記事項に盛り込む
契約途中で物件のオーナーの考えが変わり、居抜き退去ができなくなるのを防ぐためには、契約の段階で賃貸借契約書に特記事項として「居抜き退去が可能」という旨を記載するのがいいでしょう。
賃貸借契約書の特記事項として記載されている内容は、後から変更することができません。必ず従う必要があるので、確実に居抜き退去ができるようになります。契約時の段階で、貸主または管理会社に「居抜き退去」の特記事項を記載してもらうようにお願いしてみてください。
オーナーとの関係性をよくする
契約後に借主側が居抜き退去をしたいとなった場合、居抜き退去を実現させるためには、物件オーナーの許可が必要です。
居抜き退去の許可は降りにくいため、前々から物件オーナーや管理会社と親密な関係性を築いておく必要があります。相談や提案のしやすい関係性を作っておくことで、いざという時の居抜き退去の提案も通りやすくなるでしょう。
また、居抜き退去の許可を取るためには、提案書を作成し次の借り手の目星をつけることが必要なので、欠かさずに準備をしておいてください。
まとめ
この記事では、オフィスを居抜き退去する際の原状回復の範囲と、賃貸契約書の内容について詳しく解説してきました。この記事の重要なポイントは以下です。
- オフィスの居抜き退去の原状回復範囲は、賃貸借契約者の記載内容に従う必要がある
- 居抜き物件を借りたとしても、スケルトン状態か必要な原状回復を施して退去する場合が一般的
- 増設した設備や仕切り、家具などを撤去するのか残すのか賃貸借契約書で取り決めがある場合は従う
- 居抜き退去の原状回復で壁や床の張り替えなどが必要かどうかを賃貸借契約書で確認する
- 賃貸借契約書の特約・特記事項は、物件のオーナーが独自に決めた原状回復の範囲が記載されているため必ず確認する
- オフィスの居抜き退去を確実に実現するためには、賃貸借契約書の特記事項に「居抜き退去」と記載してもらう
- 契約後の居抜き退去を実現させるためには、物件のオーナーとの関係性を良好にして次の借り手候補を見つける必要がある
オフィスの居抜き退去の原状回復範は、結んだ契約によってさまざまです。契約する際に、どこまでの原状回復が必要なのかを、しっかりと確認しておくことが重要になります。上記のポイントを参考にして、オフィスの居抜き退去でトラブルを引き起こさないようにしましょう。
オフィス解約時の必要手続きに関しましては、こちらの記事でより詳しくご紹介しています。ぜひこちらも合わせてご参照ください。