やむを得ない事情から飲食店が閉店へと追い込まれた方も多くいらっしゃると思います。閉店の手続きも大変ですが、それまで支えてくれたお客様や周辺の方への挨拶を忘れてはいけません。
初めて閉店を経験する方のために、この記事では飲食店の閉店までの流れと告知方法を紹介します。また、閉店に伴って必要な書類も挙げていますので、ぜひ参考にしてください。
目次
テナント退去の流れはYouTube動画でも解説しています!
テナント退去の流れとスケジュール感はウラシコのYouTubeチャネル【ウラシコチャンネル】でも解説しています。賃貸テナントの退去の流れは、契約の解除から原状回復工事、引き渡しまで複雑な行程があります。基本の流れとスケジュール感を押さえて、スムーズな退去を実現しましょう!
飲食店を閉店するときの流れ
飲食店の閉店を決めたら、どのような流れで進めばいいのでしょう。実は、店舗を閉めるだけではなく、やることがたくさんあります。
- 貸主へ閉店の意向を伝える(解約通知)
- 仕入れ先や取引先へ閉店の連絡
- 従業員への通達
- 厨房機器や家具などの処分
- お客様への通達
いちばん初めに行うのが、貸主への連絡です。賃貸物件の場合、退去日までに原状回復工事を完了させて引き渡さなければいけません。
飲食店の規模により工期はさまざまですが、一般的に1ヵ月ほどかかります。工事着工までに見積もりを依頼し打ち合わせも入ってくるので、閉店を決めたらすぐに連絡するようにしましょう。
仕入れ先や取引先も、早めに伝えるのがベストです。光熱費の解約も手続きも、何日前までに必要なのか事前に調べておくといいでしょう。従業員への通達も必要ですが、この内容は後述で詳しく説明します。
ほかにも、厨房機器や家具などは処分が必要なこともあります。大型のものは処分代も高くつくので、早めに見積もりを出しておくと出費の目安がつきやすくなります。
最後はお客様への告知です。お客様への告知は次の項で紹介しますが、あらゆる媒体を使ってみるのがおすすめ。最後は賑やかに幕を閉じたいですね。
飲食店の閉店告知方法
飲食店の閉店に伴った告知方法はさまざまありますが、一般的なのは下記が挙げられます。
- 店頭の張り紙
- お店のHP
- SNSでの事前告知
特にお店のHPは、多くの情報を載せられるのでおすすめです。またSNSの告知は、特定のお客様だけでなく広い範囲で目に届くので、連絡先を知らないお客様への告知としても十分メリットがあります。
閉店を告知するタイミング
気になるのが、どのくらい前に告知をしたらいいのか?ということだと思います。お客様への告知は、閉店の1~2ヵ月前に行うのが一般的です。このくらい猶予があれば、ボトルキープしているお客様もお酒を飲みきれるでしょう。また閉店イベントを開催するにも、ベストなタイミングです。
従業員を雇っている場合は、閉店の30日以上前に告知しなければいけません。厳密には、閉店から30日以下の告知だと、解雇予告手当の支給が発生し余分な出費となってしまいます。
ただし、あまりにも告知が早いと従業員が閉店日を待たず、辞めてしまう可能性も。そのため、従業員への告知がいちばん悩みの種となりがちです。退去時のトラブルの相談先についてはこちらの記事で詳しく解説しています。ぜひご参照ください。
飲食店閉店に伴って必要な提出書類
飲食店を閉店するときは、各所にさまざまな書類を提出しなければいけません。従業員の雇用有無によって、提出する書類も異なります。提出期限が短いものもありますので、閉店を決めたら早めに準備しておいてください。
提出先:保健所
保健所へ提出する必要書類は、次の2つです。開業届は、閉店した日から10日以内に提出してください。
- 廃業届
- 飲食営業許可書(返納)
提出先:警察署
警察署への提出は、深夜にお酒提供していた店舗が対象です。
- 廃止届書
提出先:消防署
消防署へ提出書類は1つです。飲食店を開店するときは、防火管理者選任届と防火対象設備使用開始届を提出しています。そのため、閉店では解任届を出さなければいけません。
- 防火管理者解任届
提出先:税務署
提出書類でいちばん書類が多いのは税務署です。これらの書類は、閉店してから1ヵ月以内に提出しなければいけません。また「所得税の青色申告の取りやめ届出書」は、閉店した翌年3月15日までの提出が義務付けられています。
- 個人事業の開業・廃業等届出書
- 事業廃止届出書
- 所得税の青色申告の取りやめ届出書
- 給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届け出
提出先:都道府県税事務所
閉店の届け出を各都道府県税事務所に提出しますが、この名称は各都道府県ごとに異なります。提出期限もそれぞれで決められているので、詳しくは各都道府県税事務所のHPを確認してみてください。
提出先:日本年金機構
ここで提出するのは下記の通りです。しかし、従業員を雇っており、各保険に加入している場合に限ります。提出期限は、閉店から5日以内と他の提出先よりも短いです。
- 健康保険・厚生年金保険適用事務所全喪届
- 雇用保険適用事務所廃止届(事業主控)
提出先:公共職業安定所
いわゆる職安ですが、こちらへの提出も従業員を雇って雇用保険に加入している場合が対象です。提出期限は「雇用保険適用事業所廃止届」のみ5日以内ですが、その他は10日以内となっています。
- 雇用保険適用事業所廃止届
- 雇用保険被保険者資格喪失届
- 雇用保険被保険者離職証明書
提出先:労働基準監督署
こちらも従業員を雇い、かつ労働保険に加入している場合に必要になります。提出期限は閉店から50日以内とかなり猶予があるので、提出はいちばん最後でもいいでしょう。
- 労働保険確定保険料申告書
まとめ:飲食店を閉店するまでには
飲食店を閉店するまでには、各所への連絡が山ほどあります。お店の営業と併用してこれらを行わなければいけませんので、時間に余裕を持って動くようにしてください。取引先や近隣の方への挨拶は失礼のないよう、事前に挨拶文を調べておくといいでしょう。
飲食店を閉店してからも、各所への提出書類が待っています。どの書類も期限が決められていますので、閉店日までに準備してスムーズな提出を心がけてください。
店舗の原状回復の抑える方法につきましてはこちらの記事で詳しくまとめています。是非こちらも合わせてご参照ください。