家を解体する時、工事の前後でいくつかの手続きや届け出が必要になります。
本記事では、解体工事の際に必要な手続きや役所への届け出、近隣に住む方々への配慮などについて解説していきます。
2024年の空き家の解体費用の相場は、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひこちらも合わせてご確認ください。
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目次
家の解体前に必要な手続き
解体工事届け出
家を解体するにあたって、最初に確認したいのが解体工事届け出です。床面積が80平方メートル以上の建物を解体する場合、こちらの届け出を提出する義務があります。いわゆる「建設リサイクル法」です。
基本的に依頼主に義務付けられている手続きなので、忘れてはいけません。提出書類は分別解体等の計画、案内図(Googleマップをプリントアウトしたものなど)、設計図または写真、配置図、工程表などです。着工7日前までに、建物がある地域の役所に書類を出しましょう。
届け出を忘れてしまった場合には行政指導が入り、さらに従わなかった場合には最大20万円の罰金が課せられるので注意が必要です。
解体業者によっては、届け出を代行してくれるケースも多くあります。委任という形になるので、その際には依頼主の委任状も必要となります。事前に委任状を用意しておき、スムーズに手続きを進められるようにすると良いでしょう。
道路使用(占用)許可申請
敷地が狭い建物を解体する際、重機や資材を運ぶ車を道路に駐車しなくてはなりません。その際必要となるのが、道路使用(占用)許可申請です。
使用したい道路を管轄する警察署に、道路使用許可申請書及び道路への駐車方法を記した図面を申請します。同時に手数料も徴収されます。
場合によっては所轄の警察署が2か所になることもあるので、その場合は2か所に申請します。こちらの申請は解体業者が行ってくれることが多いです。
しかし依頼主が申請することもできるので、自分で警察署に出向いて申請すれば、費用を抑えることも可能です。
水道以外のライフラインの停止
家の解体の場合、事前にライフラインの停止をする必要があります。主な対象は電気・ガス・電話・ケーブルテレビ・インターネットです。
水道については、解体業者が作業中に使用するので基本的に残しておいて大丈夫です。事前に話し合いをして、停止スケジュールを決めるとなお良いでしょう。
特定粉じん排出等作業の実施の届け出
解体する建物にアスベストが使われている場合は、特定粉じん排出等作業実施届出書の提出が必要です。2006年以前に建てられたものなら、屋根や外壁に使用されている可能性が高いため要注意です。
アスベストの使用が確認された場合、専門の解体業者のみが請け負うことができます。依頼した業者に相談しましょう。
近隣挨拶や説明会
解体工事には振動や騒音が伴います。トラブルになるのを防ぐために、必要に応じて近隣へ挨拶をしましょう。また、近隣説明会の開催を義務付けている自治体もあるので、管轄の自治体に問い合わせると安心です。
家の解体後に必要な手続き
建物滅失登記申請
解体してその土地にあった建物が物理的に消えるので、こちらの申請をしなければなりません。工事終了後1か月以内に、必要書類を管轄の法務局へ提出しましょう。
申請を忘れると10万円以下の罰金が課されることもあるので、注意しなければなりません。
こちらの申請をする際、登記簿謄本に記されている内容が必要になります。法務局で「登記簿謄本・抄本交付申請書」を記入し、収入印紙と一緒に提出すれば取得できます。その際、1,000円ほどの費用がかかります。
提出書類は以下のものです。
・建物滅失登記申請書
・登記簿謄本
・案内図
・取り壊し証明書
・解体業者の登記事項証明書、印鑑証明書
・実印、印鑑証明書(必要に応じて)
取り壊し証明書と登記事項証明書、印鑑証明書は基本的にセットで解体業者から受け取ります。
こちらの申請は3〜5万円ほどで土地家屋調査士に代行してもらうこともできます。依頼する場合は、上記の書類に加えて、委任状も必要になります。
水道の停止
解体工事中は砂ぼこりなどの粉じんが舞い上がりやすいため、水を撒きながら作業します。その際に水道を使うため、工事終了後に停止手続きをしましょう。水道局へ電話などで連絡し、水道を止めたい旨を伝えてください。
固定資産税に関連する手続き
固定資産税は、4月〜翌年3月の1年分が課税されます。その年の途中で建物を解体した場合、法務局や固定資産税担当へ相談・手続きすることで翌年から課税されなくなります。
しかし、解体したことで固定資産税が上がるケースにも注意しなければなりません。
・小規模住宅地用(200平方メートル以下):課税標準×6分の1
・一般住宅地用(200平方メートルを超えた部分):課税標準×3分の1
その土地に住宅が建っていれば、上記の仕組みになります。しかし、建物がなくなると、固定資産税軽減に関する特例措置が適用されなくなり、税率が上がって、結果的に支払う額が上がる可能性もあります。
ただし、前年に支払った税額に応じて負担調整をする、負担調整措置という制度も用意されています。固定資産税については、事前に税理士や税務署へ確認することをおすすめします。
亡くなった人の家屋を解体する場合
亡くなった人の家屋を解体するとなると、建物の名義人についてや抵当権についてなど、どのように手続きを進めればいいか悩む方が多いのではないでしょうか。以下で手順をご紹介します。
①建物の名義人を確認する
まずは建物が誰の名義になっているか調べましょう。法務局で登記簿謄本を取得すれば確認できます。その際に法定相続人についても確認が必要です。複数いる場合、全員の許可が無いと解体ができません。
②建物の抵当権の有無を確認する
住宅ローンが返済中の場合、抵当権がついています。抵当権とは金融機関が家を担保に取る権利のことです。ローンを完済しないと抵当権を外せないため、解体工事は行えません。
ローンの完済後、金融機関に建物滅失に関する同意書を作成してもらって、初めて解体工事の手続きに取り掛かることができます。抵当権がついたまま解体工事を行うと、金融機関から訴訟を起こされる恐れがあります。こちらの確認は忘れないようにしましょう。
③法定相続人で話し合いをする
誰が相続するのか、誰がどれくらい解体費用を負担するのかなどを決めます。また、建物滅失登記申請を行う際に、遺産分割協議書が必要になることもあるので作成しておきましょう。こちらを提出するには法定相続人全員の押印が必要です。
④解体業者に依頼し、建物の取り壊しをする
相続などの話し合いがまとまったら、解体業者に依頼をします。
⑤相続人が建物滅失登記をする
家屋の所有者が亡くなっていて相続人が手続きする場合、以下の書類が必要になります。
・建物滅失登記申請書
・登記簿謄本
・案内図
・取り壊し証明書
・解体業者の登記事項証明書、印鑑証明書
・実印、印鑑証明書(必要に応じて)
・委任状(土地家屋調査士に依頼する場合)
・亡くなられた所有者の戸籍謄本または除籍謄本
・亡くなられた所有者の住民票または戸籍の附表(建物の住所と現住所が異なる場合)
・相続人の戸籍謄本
これらをそろえて、管轄の法務局で申請をしましょう。
まとめ 一番大切なことは解体業者と連携を取ること
建物の解体に必要な手続きや届け出に関して、詳しくご紹介しました。解体業者に手続きを委託する際には、別途費用がかかる可能性があります。少しでも工賃を節約したい場合は、自分でできる手続きは自分で行いましょう。
ただし、万が一必要な手続きを怠ると、最悪の場合、行政処分の対象になることもあります。一番大切なことは解体業者と連携を取ることです。正しい手順を踏んで、1つ1つ手続きを行いましょう。
私達にご依頼いただいた場合のお問い合わせから工事完了までの一連の流れについてはこちらのページで詳しく解説しています。ぜひこちらも合わせてご参照ください。