
店舗やオフィスの退去に伴う原状回復工事では、壁・天井・床・設備などの内装を撤去する「内装解体」を行うことがあります。
そこで注意したいのが、アスベスト(石綿)を含む建材の存在です。
「解体工事を始めたら、古い建材からアスベストが見つかった」
「原状回復の見積もり後に、アスベスト調査が必要だと言われた」
このようなケースでは、通常の内装解体とは異なる対応が必要になります。
この記事では、内装解体や原状回復工事でアスベストが発覚した場合にどう対応するのか、工事の流れや注意点について解説します。
アスベストとは?
アスベストとは、天然に存在する鉱物繊維の一種で、耐熱性・耐久性・絶縁性などに優れていたことから、過去には建築材料などに広く使用されていました。
しかし、アスベストの繊維を吸い込むことによる健康障害が問題となり、現在では製造・使用などが原則禁止されています。
古い建物では、天井材、壁材、床材、配管などにアスベストが含まれている可能性があります。
そのため、建物の解体・改修工事を行う場合は、工事規模にかかわらず、原則として工事対象部分の建材についてアスベストの事前調査を行う必要があります。
内装解体でアスベストが発覚したら、まず何をする?
内装解体の途中で「アスベストが含まれている可能性がある建材」が見つかった場合、自己判断でそのまま撤去を続けるのは避ける必要があります。
まずは、作業を止め、アスベストの有無や種類を確認することが重要です。
アスベストの事前調査は、設計図書などを確認する「書面調査」、現場を確認する「目視調査」を行い、必要に応じて建材を採取して分析調査を行います。
分析によってアスベストの有無を確認する方法だけでなく、アスベストが含まれているものとみなして法令に基づく措置を講じる方法もあります。
なお、建築物の事前調査は、2023年10月1日以降に着工する工事から、一定の要件を満たした有資格者による実施が必要となっています。
原状回復工事でアスベストが見つかった場合の流れ
アスベストが発覚した場合、一般的には次のような流れで対応します。
1.工事対象と建材を確認する
まず、どの場所にどのような建材が使用されているのかを確認します。店舗やオフィスの場合、天井・壁・床・設備周辺など、複数箇所に異なる建材が使用されていることもあります。
「一部分だけ調査すればよい」と自己判断せず、今回の工事で撤去・改修する範囲を明確にしたうえで調査を行うことが大切です。
2.書面調査・目視調査を行う
設計図書や過去の資料を確認したうえで、実際の現場を調査します。
図面と現場の状態が異なるケースもあるため、書面だけで判断することはできません。厚生労働省も、原則として工事対象箇所のすべての材料について事前調査を行う必要があるとしています。
3.必要に応じて分析調査を行う
書面や目視だけではアスベストの有無を判断できない場合、建材を採取して分析を行います。
分析の結果、アスベストが含まれていることが確認された場合は、その建材の種類や状態などを踏まえて、必要な作業方法を検討します。
4.必要な届出・作業計画を確認する
工事の規模やアスベストの種類などによって、必要となる手続きや作業上の措置が異なります。
例えば、建築物の解体工事では解体部分の床面積が80㎡以上、改修工事では請負金額が100万円以上の場合、事前調査結果の報告が必要となるケースがあります。
また、レベル1・レベル2に該当する石綿含有建材が確認された場合には、工事開始前の届出が必要となる場合があります。
そのため、アスベストが見つかったからといって、すぐに撤去作業を始めるのではなく、対象建材や工事内容に応じた手続きの確認が必要です。
5.法令に沿って除去・改修を行う
アスベストが含まれる建材を撤去する場合には、通常の内装解体とは異なる安全対策が必要になります。
作業内容に応じて、石綿作業主任者の選任、作業従事者への特別教育、適切な保護具の使用、粉じんの飛散防止などの措置が求められます。
アスベストを含む可能性のある建材を、一般的な内装材と同じ感覚で破砕・撤去することは避けなければなりません。
原状回復でアスベスト調査が重要な理由
店舗やオフィスの原状回復では、「退去日までに工事を終わらせたい」という事情があります。
しかし、アスベストの調査を行わずに工事を始め、途中で問題が発覚すると、工事を一時中断しなければならなくなる可能性があります。
その結果、
- ・工事スケジュールが延びる
- ・追加の調査費用が発生する
- ・除去工事が必要になる
- ・廃材処分費などが増える
- ・退去日との調整が必要になる
といった問題につながる可能性があります。
だからこそ、原状回復工事は解体を始める前の事前確認が重要です。
特に築年数の古い建物や、過去の改修履歴が分からない物件では、早めに専門業者へ相談することをおすすめします。
アスベストが見つかった場合、原状回復費用は高くなる?
アスベストが確認された場合、通常の内装解体に加えて調査や除去などの工程が必要になることがあるため、工事費用が増える可能性があります。
ただし、費用は一律ではありません。
例えば、
- ・アスベストが含まれている建材の種類
- ・建材が使用されている面積
- ・建材の状態
- ・作業場所
- ・除去方法
- ・必要な養生・飛散防止対策
- ・廃棄物の処理方法
などによって変わります。
そのため、「アスベストがあるから1㎡あたり○円」と単純に判断するのではなく、現地調査を行ったうえで見積もりを取ることが重要です。
原状回復でアスベスト工事を依頼するときの注意点
アスベストを含む可能性がある建物の内装解体では、価格だけで業者を決めないことも重要です。
確認しておきたいポイントは次のとおりです。
① 有資格者による事前調査に対応しているか
建築物のアスベスト事前調査には、一定の資格要件があります。誰が調査を行うのか、調査結果をどのように記録するのかを確認しましょう。
② 原状回復とアスベスト対応をまとめて相談できるか
原状回復工事とアスベスト調査・除去を別々の業者に依頼すると、業者間の調整が必要になる場合があります。
内装解体からアスベスト対応まで相談できる業者であれば、工事全体のスケジュールを組みやすくなります。
③ 見積書の内容を確認する
「アスベスト工事一式」とだけ書かれている場合は、具体的な作業内容を確認しましょう。調査費、除去費、養生費、運搬費、処分費など、どこまで含まれているのかを確認しておくことが大切です。
まとめ|内装解体はアスベスト調査をしてから
内装解体や原状回復工事では、古い建物ほどアスベストが使用されている可能性があります。
アスベストが発覚した場合は、通常の内装解体をそのまま続けるのではなく、工事対象の建材を確認し、必要な調査・手続き・安全対策を行ったうえで工事を進める必要があります。
特に重要なのは「解体してから考える」のではなく、「解体する前に調べる」ことです。
退去日が決まっている店舗・オフィスの場合、アスベスト調査によって工事スケジュールが変わる可能性もあります。
「この建物はアスベスト調査が必要?」
「原状回復工事と一緒に調査してほしい」
「アスベストが見つかった場合の費用が知りたい」
このような場合は、早めに専門業者へ相談しましょう。
株式会社ウラシコでは、愛知県名古屋市を中心に、原状回復工事・内装解体工事に加えて、アスベストの調査・除去にも対応しています。
原状回復とアスベストについてお困りの方は、お気軽にご相談ください。
