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賃貸物件で火事が起きた場合の修繕費用はどうなる?原状回復業者が解説します

賃貸物件で火事が起きた場合の修繕費用

賃借人の失火や近隣からのもらい火などいつ火事が発生するかわかりません。今回は、火事で賃貸借物件が一部又は全部が焼失した場合の修繕(原状回復)義務とその費用負担について取り上げていきます。なお本記事では、大家、家主などのことを「賃貸人」、入居者のことを「賃借人」と表すことにします。

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火災の原因が賃借人にある場合

責任の所在

賃借人の過失によって火災が発生していることになりますので、この火災で発生した賃貸借物件に対する損傷に関しては賃借人が責任を負うことになります。しかし、失火責任法により火災で発生した第三者への損害に関しては、賠償責任を負いません(詳しくは後述します)

賃貸人の義務

賃借人の過失により火災が発生し第三者に損害が発生した場合、建物の設備などに問題があったなどの特段の自由がない限り賃貸人は何の責任も負いません。

賃借人の義務

火災により賃借人が入居する建物が焼失した場合でも、原状回復義務(民法第601条、第621条)や善良な管理者として賃貸借物件を管理する義務(善管注意義務、民法第400条)は有効であり、修繕が可能な場合には賃借人の負担で原状回復を行う必要があります。

また、全焼したことで修繕が困難な場合には、原状回復義務・善管注意義務を全うすることができなくなりますので、債務不履行に基づく損害賠償義務(民法第415条第1項本文)が発生します。この時の賠償範囲は、賃貸人が被った損害に限定されます。

失火責任法

失火責任法(失火ノ責任ニ関スル法律)では、失火(過失によって発生した火災)により隣家へ損害が発生しても、火災について重大な過失がない限り、損害賠償責任は発生しないと規定されています。

重大な過失に関しては、それぞれのケースで判断されることになりますが、寝タバコを危険と知りながら特に注意もせず喫煙を続けて火災が生じた場合は重大な過失と判断された裁判例があります。(東京地裁平成2年10月29日判決)

このように、失火により第三者に発生した損害は賠償されることがありませんので、アパートやマンションなどの賃貸借物件では火災保険への加入が求められているということになります。

火災が賃借人の過失ではない場合

責任の所在

賃借人の過失ではなく、隣家からの延焼などで賃貸借物件に損傷が発生した場合には、その責任は火災が発生した隣家にあり、賃貸人、賃借人に火災の責任はありません。そのため、例外もありますが、基本的には賃貸人と賃借人の間で賠償問題が発生することはありません。では、火災で損傷した部分の修繕は誰が責任を負うのか説明していきます。

賃貸人の義務

民法606条で、賃貸人は賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負うと定められていますので、賃貸人は賃料を受ける以上は、賃貸借物件を賃借人の使用が可能な状態にしておかなければなりません。

そのため、賃借人の過失ではない火災で発生した賃貸借物件に対する損害に関しては、賃貸人の責任で修繕しなければなりません。この場合、失火責任法により賃貸人は火災の責任がある第三者に損害賠償請求できませんので、自費で修繕を行うことになります。

この場合、火災保険などが適用されなければ、完全に自費でどうにかするしかなくなります。しかし、火災で全焼してしまった場合には賃貸借契約は終了することになります(民法611条第1項)ので、必ずしも修繕する義務はありません。

賃借人の義務

賃貸借物件が火災により全焼した場合には、原状回復を行うことができなくとも、原状回復できないことに対して賃借人には過失がないので、賃貸人に対して債務不履行に基づく損害賠償責任を負うことはありません。(民法第415条第1項但し書き)

火災により一部損傷した場合は、賃貸人の責任でその修繕を行う義務があるとされていますので、賃借人は火災に際して賃借人の責任で何かを行うことは基本的にはありません。また、賃貸借物件の一部が損傷し、使用及び収益に支障をきたす場合には、賃借人は賃貸借契約の解除を申し出ることができます(民法611条1項)。

さらに、賃貸人の責任で修繕が行われるまでの間、賃貸借物件の使用及び収益が十分に機能しないことになりますので、その使用及び収益をすることができなくなった部分の割合に応じて、賃料が減額されるという規定もあります(民法第611条第1項)

火災が賃貸借物件の設備不備起因の場合

土地工作物責任(民法第717条第1項)の適用

土地工作物責任とは、土地に設置されている建物などの設備が通常有すべき品質や安全性を欠いていることで発生した損害に対する責任のことを指します。

基本的には賃借人がその責任を負うことになりますが、賃借人が設備の保守などをきちんと行っていたことを立証できれば、賃借人は責任を逃れ、賃貸人がその責任を負うことになります。

これにより、賃貸借物件の設備が原因で火災が発生した場合は、賃借人、賃貸人ともに第三者に対して損害賠償責任を負う可能性があります。

まとめ

今回は、賃貸借物件で火災が発生した場合の修繕や原状回復の義務について説明してきました。

賃借人の過失で火災が発生した場合にはその損害はすべて賃借人の責任で、修繕や原状回復を行わなければなりません。また、賃貸人、賃借人どちらの責任でもない場合には、基本的には賃貸人の責任で賃貸借物件の修繕を行うことになります。

どちらの場合でも、失火責任法の適用がありますので、第三者に対する損害賠償責任は負いません。しかし、設備不良で発生した火災に関しては、賠償しなければならなくなる可能性があります。

私達にご依頼いただいた場合のお問い合わせから工事完了までの一連の流れについてはこちらのページで詳しく解説しています。ぜひこちらも合わせてご参照ください。

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