歯医者やクリニックを移転・閉院する際に避けて通れないのが「原状回復」です。一般的なオフィスや店舗と比較して、医療施設の原状回復は特殊な設備や内装工事の撤去が必要となるため、費用が高額になりがちです。
しかし、事前の適切な準備や交渉、原状回復業者の選定によってコスト削減が可能です。クリニックの原状回復費用の目安や高額になる理由を解説するとともに、実践的なコスト削減方法や原状回復工事をスムーズに進めるコツをご紹介します。
契約前の確認事項から退去時のスケジュール管理まで、計画的に進めるためのポイントを押さえ、原状回復に関する不安や疑問を解消しましょう!
テナントの原状回復費用についてはこちらのYouTube動画でも解説しています!ぜひこちらもご覧ください。
目次
歯医者やクリニックの原状回復は高額?
医療施設の退去時における原状回復工事は、一般的なオフィスや店舗と比較して高額になる傾向があります。その理由は、歯科医院やクリニックには特殊な設備や内装が多く、それらの撤去や原状回復には専門的な知識と技術が必要だからです。
また、医療施設特有の設備撤去や消毒・クリーニングなど追加工程も必要となるため、費用が膨らみやすくなります。
具体的には、一般的なオフィスの原状回復費用が1坪あたり2〜5万円程度であるのに対し、クリニックでは1坪あたり3〜8万円以上かかるケースも珍しくありません。
特に歯科医院では、チェアやバキュームなどの大型設備の撤去や給排水設備の復旧作業が必要となり、さらに高額になることがあります。
クリニックの原状回復費用の目安
クリニックの原状回復費用は、物件の広さや設備の状況、契約内容によって大きく異なりますが、一般的な目安として坪あたり3〜8万円程度と考えられています。例えば、50坪のクリニックであれば、150〜400万円程度の費用がかかる計算です。
特に歯科医院の場合は、診療ユニットごとに給排水・バキューム配管などの設備が必要となるため、それらの撤去と復旧に追加費用がかかります。
また、レントゲン室など放射線防護工事が施されている場合は、その撤去にも特殊な技術と費用が必要です。
クリニックの原状回復費用が高額になる理由
クリニックや歯科医院の原状回復費用が一般的なオフィスや店舗と比較して高額になる理由はいくつか存在します。
第一に、医療用の給排水・電気設備の撤去が必要となる点が挙げられます。歯科医院のユニットやレントゲン装置、クリニックの検査機器などには特殊な配管や電気工事が施されており、これらを完全に撤去して原状回復するには専門的な技術と手間がかかります。
一般的なオフィスでは電源コンセントを外すだけで済むことが、医療施設では壁や床下の配管まで撤去・修復する必要があるのです。
次に、特殊な内装材や設備の撤去も高額化する原因です。
クリニックでは衛生面や安全面を考慮した特殊な内装材(抗菌壁紙、制菌性塗料、特殊フローリングなど)が使用されていることが多く、これらを原状回復する際には通常の内装材以上の費用がかかります。
クリニックの原状回復コストを抑える5つのポイント
クリニックや歯科医院の原状回復費用は高額になりがちですが、適切な対策をすることでコストを抑えることができます。費用削減のための5つのポイントを解説します。
契約前に「原状回復義務の範囲」を確認する
クリニックや歯科医院の原状回復費用を抑える最も効果的な方法は、契約段階で原状回復の範囲を明確にしておくことです。
物件契約時に「どこまで原状回復が必要か」を細かく確認し、契約書に明記してもらいましょう。一般的に原状回復には「スケルトン」と「居抜き」という二つの選択肢があります。
スケルトンは、物件の内装を全て取り払う必要があり、費用が高額になりがちです。一方、居抜き可能であれば、次のテナントが設備をそのまま使える場合もあり、撤去費用を大幅に削減できます。契約時に貸主と交渉し、原状回復の負担を減らすことも重要です。
特に医療テナント向けの物件では、次のテナントも医療関係である可能性が高いため、交渉が成立しやすい傾向にあります。契約前の交渉は、退去時の数十万円〜数百万円の差につながることも大きいことから、やるべきポイントの一つです。
専門業者に相見積もりを取る
原状回復工事を依頼する際は、見積もりを取ることが費用削減の基本です。
見積もりを取り、費用や工事内容を確認しましょう。その際、特にクリニックや歯科医院の原状回復実績がある業者を選ぶことが重要です。
見積もりの内訳を細かく確認し、不必要な工事を省くことも大切です。例えば「全面クロス張替え」となっていても、実際には部分的な張替えで十分な場合もあります。また、防音工事の撤去範囲や医療用配管の処理方法など、専門的な部分こそ具体的に確認しましょう。
設備を残せるか相談する
クリニックや歯科医院の原状回復で大きなコストを占めるのが、医療設備の撤去費用です。この費用を削減するためには、設備をそのまま残せないか検討することが効果的です。
医療系テナントであれば、次のテナントも同業種である可能性が高く、設備をそのまま利用してもらえるケースもあります。
医療機器や内装設備は、中古品でも需要があるため、専門の買い取り業者に相談するのも一つの方法です。こうした対応により、撤去費用を削減できるケースもあります。
必要最低限の工事にとどめる工夫をする
原状回復の範囲を必要最低限にとどめることも、コスト削減の重要なポイントです。
まず、貸主と相談し「現状維持で良い部分」を明確にしましょう。例えば、天井の配管や床下の給排水設備などは、撤去せずに残せる可能性があります。
また、次のテナントが決まっている場合は、その業種や希望に合わせて原状回復の範囲を調整できることもあります。
「壁紙・床材の部分張り替え」など、全面工事を避ける工夫も効果的です。傷や汚れが少ない部分は、全面張替えではなく部分補修で対応できないか交渉しましょう。
早めに準備し、退去スケジュールを計画する
最低でも退去の6ヶ月前には契約解除の申し込みをし、退去準備を計画的に進めましょう。余裕を持ったスケジュールを組むことで、業者選定や見積もり比較に十分な時間をかけられ、より安価な業者を選べる可能性が高まります。
また、繁忙期である1〜4月は業者の料金が高騰するため、可能であればオフシーズンを狙うことも効果的です。
さらに、短期間での原状回復工事は追加料金が発生するため、余裕のあるスケジュールで依頼することも大切です。緊急対応や休日工事などは割増料金の対象となるため、計画的なスケジュールで依頼し、通常料金での施工を目指しましょう。
まとめ
クリニックや歯科医院の原状回復は、一般的なオフィスや店舗と比較して高額になりがちですが、適切な準備や計画、施工内容などによってコストを抑えることは十分可能です。
今回ご紹介したポイントを参考に、クリニックの原状回復工事の準備を進めてみてください!
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