店舗やオフィスを撤退する際に「解体工事ってどのくらいの期間がかかるんだろう?」といった疑問を持たれる方も多いでしょう。店舗撤退においては、短い期間で様々な作業を終わらせる必要があります。そこで今回の記事では店舗解体工事の工期や工程についてわかりやすくご紹介します。
私達にご依頼いただいた場合のお問い合わせから工事完了までの一連の流れについてはこちらのページで詳しく解説しています。ぜひこちらも合わせてご参照ください。
目次
解体工事の種類
解体工事の期間を把握する前に、基本的な解体工事の種類を理解しておきましょう。一口に解体工事といってもその種類は待機に渡り、複雑な行程に枝分かれてしています。すべてを把握することは難しいですが、ご自身が依頼される工事の大まかな種類だけでも把握しておきましょう。
解体工事
解体工事とは、建物本体を取り壊す工事です。ただし、一口に解体工事いっても、手壊し解体、重機併用解体などその手法は様々です。また、木造解体、RC解体、鉄骨解体などその建物の躯体によって工事内容が大きく変わります。さらに、近隣へ影響が出ないようにする足場(養生)工事、解体後に発生するがれき(産業廃棄物)の処理、建物が建っていた土地の原状回復など幅広いジャンルの工事が複合した工事になります。
内装解体
内装解体とは、その名の通り内装のみの解体を指します。建物本体や構造物の撤去ではなく、内部の内装物だけを撤去して、中身をからっぽの状態にすることです。内装解体においては内装全てを解体して撤去することもありますが、内装の一部を撤去し残りの部分はそのままにしておく工事も内装解体に含まれます。この内装解体は大まかに「スケルトン解体」と「原状回復」の2つに分類されます。
内装解体の種類①スケルトン解体
スケルトンとは、建物を支える柱や梁、床といった構造躯体のことを指し、その構造躯体だけを残してそれ以外の全ての内装物を撤去することをいいます。コンクリート打ちっぱなしの状態にするので、内装解体工事よりもさらに踏み込んだ工事を行います。天井や壁、床や配管、廃棄設備、テーブルや椅子などは残らず撤去し、構造体だけを残して余計なものは何もない状態にします。
内装解体の種類②原状回復
原状回復工事とは、一般的に物件の状態を「入居時の状態」まで戻すことを指します。契約内容にもよりますが、一般的には借主の都合で設置した間仕切りや諸々の設備を取り外したうえで貸主に返すように定められていることが多いです。ただし、スケルトン状態で借りた場合は、スケルトン解体も原状回復工事として扱われます。少々ややこしいですが、物件を退去した時などに聞く「原状回復」とは一体何か?こちらの記事で詳しく解説しています。ぜひ合わせてご参照ください。
解体工事の作業工程
1.見積り~契約
まずは解体工事専門業者に見積り依頼をし、約1週間後に見積り書が提出されます。届いた見積書の内容を検討して、ご希望に沿う専門業者に工事を依頼します。契約書をよく読んで工事内容について気になる所があれば積極的に質問して不明点を残さないようにしましょう。
2.近隣住民への挨拶
解体工事の際には、騒音や振動、埃など近隣に住んでいる人に迷惑がかかります。不要なトラブルやクレームを避けるために、事前に近隣への挨拶をして、工事内容についてしっかり理解してもらうことが大切です。
3.残置物の処分やライフラインの停止
残置物とは、物件の借主が残した不用品(廃棄物)のことです。こうした残置物はできるだけ解体工事が始まる前に借主が自分で処分されることをおすすめします。
また電気・ガス・ケーブルテレビ・セキュリティーサービスなどを契約している場合は、解約する必要があります。工事の1週間前までには契約会社へ連絡しておきましょう。ただし水道については、解体時に出る埃が飛散しないよう水をかけて工事を行うため、残しておくようにしましょう。
4.外構の解体
ここから実際の解体工事へと移っていきます。工事の工程で最初に取り掛かるのが、外構の解体です。外構解体とは、最初に門や塀、柵といった建物の周囲を囲っている構造物を撤去することにより、重機やトラックの搬入経路を確保するために行う工事です。この時、カーポートや樹木、ブロック塀などがあればそれらも解体・撤去します。
5.足場や養生の設置
外構解体が終わったら、次は足場や養生の設置に移っていきます。足場とは、解体工事を行うにあたり、建物の周りに組み立てる仮設の作業床のことです。解体作業員の動線の確保のほか、近隣住民の安全確保や埃の飛散による被害、騒音などを防ぐ役割があります。また、養生とは、安全対策を目的として解体現場周辺をシートで覆い、水や鉄板などを使用して作業で出る粉塵の飛散を防ぐ作業全般を指します。養生作業には養生シートが用いられます。
6.屋根や内装の解体
断熱材、畳、瓦、窓ガラスやサッシ、蛍光灯やガラス、石膏ボードなど屋根と建物内部の解体できるもの全てを解体・撤去していきます。作業は細かく分別することが必要なため手作業で行われます。また高所から低所へと向かって行われるので最初は屋根から取り掛かります。屋根の解体作業は高所での作業となり、一定のリスクがあるのでより慎重に進めることが求められます。
7.建物の構造体の撤去
建物の構造体の撤去とは、内装材が取り払われてむき出しになった柱や梁を解体していく作業を指します。この時粉塵が舞わないように散水をして行います。重機を使って作業することが多く、完了までに複数日かかります。立地条件によっては手作業で行う事もあります。
8.建物基礎の解体
全作業工程の中でも一番騒音や振動の懸念される工程となります。基本的には重機を使ってどんどん取り壊していくことになります。作業日数は建物の構造や面積によっても変わってきます。近隣住民に迷惑がかからないように、早朝や夕方の作業は控えてもらった方がいいでしょう。
9.整地
整地とは、コンクリートやガラス、瓦の破片や木くず、大きな石などを取り除き、重機を使って掘り起こした土地を平らにならしていく作業です。場合によっては、ロープや看板を設置して人が立ち入れないようにすることもあります。以上で解体工事は終了となります。
解体工事の工期ってどのくらいかかるの?
解体工事の工期の日数は、その工事内容によって大幅に変動するため、一概にもお応えすることが難しいです。工事期間は店舗の建物面積・建物構造やスケルトン工事を行う場合によっても違ってきます。
あくまで目安となりますが、一般的な店舗やオフィスの解体期間は、2ヶ月程度を見ておくのが無難です。実際の解体工事に関しては10日から1ヶ月前後で終わりますが、解体工事前の各種行政手続きや、解体工事業者選び、工事完了後の手続きを踏まえるとこれくらいはかかるでしょう。
繁忙期シーズン(1月〜3月)は解体業者も混み合いますので更に余裕を持ったスケジュール管理が必要です。さらに雨・台風・雪などの悪天候の場合は延長されることもあるので、業者からしっかりと説明を聞いておくようにしましょう。
建物面積での違い
工期の目安は、建物面積によっても違ってきます。大きな建物なら工期もその分だけ長くかかり、小さな建物なら比較的短期間で完了できるといった具合です。以下にその目安をまとめておきます。期間はその建物面積において順調に工事が進んだ場合にかかる期間を想定しています。1つの参考としてお控えください。
10坪程度(約33㎡)の小屋・納屋・倉庫など | 2~3日 |
80㎡ほど | 1週間~10日 |
200㎡2ほど | 2週間~20日 |
200㎡以上 | 1ヵ月以上 |
建物構造での違い
建物構造の違いによっても工期は変わってきます。ここでは延床面積80m2程度の建物を解体する場合の構造別の工期の違いをまとめておきます。木造の建物は比較的解体しやすく、短期間で完了できる一方、鉄筋や鉄筋コンクリート造の建物は期間が長くかかる傾向があります。これらは一般的な目安になりますので、解体工事が始まる前に業者の説明をしっかり聞いて具体的なスケジュールを検討していきましょう。
木造の場合 | 3~10日 |
鉄骨造の場合 | 10~20日 |
鉄筋コンクリート造の場合 | 最低でも2週間以上 |
まとめ
解体工事の作業工程や工期についてご紹介させていただきました。解体工事の工期は、建物の構造や天候、業者の繁忙期などいろいろな条件に左右されます。本記事で紹介した工期を目安に余裕を持ったスケジュールを立てて進めていくことが大切です。
また工事を行う際には近隣の店舗や住民への配慮を忘れないようにしましょう。また、解体工事で費用を抑える分離発注についてこちらの記事で詳しく解説しています。ぜひ合わせてご参照ください。