
2026年(令和8年)から、石綿障害予防規則(いわゆるアスベスト規制)が改正されます。2026年の法改正は、知らなかったでは済まされない内容が増えています。
今回の改正は、解体工事・原状回復工事・設備撤去工事を行う事業者だけでなく、工事を依頼する側にも大きく関係する内容です。
ウラシコは、名古屋を拠点に解体工事・内装解体・原状回復工事を数多く手掛けてきました。現場の実務を踏まえながら、今回の改正ポイントを分かりやすく解説します。
目次
石綿障害予防規則とは
まず、石綿障害予防規則について簡単におさらいしておきましょう。石綿障害予防規則とは、アスベスト(石綿)による健康被害を防ぐために作業方法を定めた労働安全衛生法に基づく規則です。
解体や改修工事では、建物に古い建材が使われていることも多く、その建材にアスベストが含まれている可能性があります。
そのため、石綿障害予防規則で、工事前にアスベストの有無を調べる「事前調査」が義務付けられています。
石綿障害予防規則の全文は、厚労省の「石綿総合情報ポータルサイト」で体系的にまとめられています。リンクはこちらです。
2026年改正の目玉内容
2026年改正では、この「事前調査」の義務が拡大し、建物だけではなく、建物に付随する「工作物」も対象となりました。
背景には、これまでの制度では、「建築物」は対象でも「建築物以外の設備や構造物(工作物)」は十分にカバーできていなかったことが上げられます。
実際に現場では、工場のボイラーやタンク、発電施設などの電気設備にアスベストが含まれている事が多く、調査が不十分なまま解体されてしまうリスクがありました。
そこで今回、工作物も明確に対象とし、調査の質を上げる制度改正が行われました。
2026年改正の重要ポイント
工作物の解体でも事前調査が必須に
出典:厚生労働省
先程述べた通り、2026年1月1日以降に着工する工事から、建築物だけでなく「工作物」の解体・改修・撤去工事でも、アスベストの事前調査が義務化されました。
工作物の例としては、
- プラント設備
- 配管、ダクト
- ボイラー、圧力容器
- 電気設備
- 大型機械基礎
などが挙げられます。
詳しい内容については、下記の一覧をご確認ください。
工作物は、アスベストが使用されている可能性の高さや届出・報告の要否に応じて、「特定工作物」と「特定工作物以外の工作物」に分類されます。
また、求められる資格者調査の範囲も区分ごとに異なります。設備の種類によっては、従来の「一般建築物」または「特定建築物」を対象とした調査資格で対応可能なものもあります。
| 区分 | 対象工作物 | 事前調査の資格 |
| 特定工作物 | ① 反応槽 ② 加熱炉 ③ ボイラー及び圧力容器 ④ 配管設備(建築物に設ける給水設備、排水設備、換気設備、暖房設備、冷房設備、排煙設備等の建築設備を除く) ⑤ 焼却設備 ⑥ 貯蔵設備(穀物を貯蔵するための設備を除く) ⑦ 発電設備(太陽光発電設備及び風力発電設備を除く) ⑧ 変電設備 ⑨ 配電設備 ⑩ 送電設備(ケーブルを含む) |
工作物石綿事前調査者のみ!! |
| ⑪ 煙突(建築物に設ける排煙設備等の建築設備を除く) ⑫ トンネルの天井板 ⑬ プラットホームの上家 ⑭ 遮音壁 ⑮ 軽量盛土保護パネル ⑯ 鉄道の駅の地下式構造部分の壁及び天井板 ⑰ 観光用エレベーターの昇降路の囲い(建築物であるものを除く) |
・工作物石綿事前調査者 ・一般建築物石綿含有建材調査者 ・特定建築物石綿含有建材調査者 ・2023年9月までに日本アスベスト調査診断協会に登録された者 |
|
| 特定工作物以外 | 上記以外の工作物。ただし、塗料その他の石綿等が使用されているおそれがある材料の除去等の作業に限る |
工作物事の条件は非常に細かいため、厚生労働省のサイトでチェックしておきましょう。以下のページに工作物の一覧と細かい要件資料先へのリンクがまとめられています。
有資格者「工作物石綿事前調査者」による事前調査が必須
出典:厚生労働省
現場の実務レベルでの変化では、ここが今回の改正で最も大きなポイントだと思います。
これまで、アスベストの事前調査資格は「特定建築物石綿含有建材調査者」や「一般建築物石綿含有建材調査者」「一戸建て等石綿含有建材調査者」などがありました。
これに加えて新たに「工作物石綿事前調査者」という資格区分が設けられ、該当工事ではこの資格を持つ人が調査を行う必要があります。当然、対象工事において無資格者による事前調査は法令違反になります。
工作物石綿事前調査者の資格を取得するには、工作物石綿事前調査者講習を受講し、修了する必要があります。
インフラに関わる工事を受注する事業者にとって、欠かせない要件になるため、業者側でも対応が必要です。取得には専門的な知識に加え、十分な現場経験が必要です。
ウラシコもこの改正に対処するため、取得を進めて参りました。現在は複数の職人が資格を取得し、法令遵守の体制を整えております。
工作物石綿事前調査者講習の実施機関の一覧はこちらから
事前調査者の情報の保管義務化
アスベスト事前調査を行った者の情報を保存する義務が新たに追加されました。誰が・どの資格で・いつ・どこを・どのように調査したのかを明確にした情報(書類や電子データ)の保管が義務付けられます。
- 事前調査報告書面
- 事前調査記録
さらに、これらの情報は、調査が完了した日から3年間保存することが求められています。実務的な意見だと、3年が経過したからといって、すぐに廃棄してよいという意味ではありません。
工事履歴の引き継ぎや、将来的な顧客対応も見据えたうえで、適切に管理していくことが求められていると思います。
調査結果の報告・保存のための「石綿事前調査結果報告システム」については動画でも詳しく解説しています。ぜひこちらもご参照ください。
ウラシコが考える今後の現場における「実務上の変化」
対象となる工作物の工事費が上がる
今回の制度改正により、対象となる工作物が増えるため、工事費用の値上がりが予想されます。これまで不要だった工程が追加され、結果として工事全体のコストやスケジュールに影響が出るケースが安易に予想できますね。
具体的には、
- 調査そのものにかかる費用
- 調査実施までの待機期間
- 調査結果を踏まえた工期の再調整
といった点を、あらかじめ考慮する必要が出てきます。ウラシコでも直近で、工事前の打ち合わせ段階から調査工程を含めたスケジュールを組み込む提案を行う場面が増えています。
解体工事以外(原状回復など)でも「対象」が増える
これまで、大規模な解体を伴わず、調査対象外だった工事でも対象になる可能性が増えます。等に店舗やオフィスの原状回復工事は影響が大きいと思います。
例えば、
- 年数の経過した天井材や下地材
- 空調・給排水など設備まわりの撤去
- 壁や床に絡む配管の撤去作業
これらが工事内容に含まれる場合、工作物として調査が必要になります。「内装工事だから関係ない」「原状回復だから大丈夫」と一概には言えず、工事内容次第で調査義務が発生する時代になってきています。
ウラシコでは、各工事のご相談段階で「この工事内容なら調査が必要かどうか」を現地調査で確認し、不要な工事やリスクを避ける提案を行っています。
「業者選びの視点」がより依頼主側にも求められる
アスベスト関連の法改正は非常に多くここ数年毎年続いています。これを踏まえると、今後さらに、工事価格だけで業者を選ぶのではなく、法令対応まで含めて任せられるかが重要になってきていると思います。
具体的には、
- 着工前にきちんと調査の必要性を説明してくれるか
- 有資格者が在籍、もしくは適切に連携しているか
- 調査結果や対応内容を分かりやすく説明してくれるか
こうした点が、業者選定における大きな判断基準になっていきます。ウラシコでは、調査が必要な場合も不要な場合も、その根拠を含めて事前に説明し、依頼主様が納得したうえで工事を進めることを大切にしています。
2026年のアスベスト法改正でよく頂くQ&A
2026年1月から特に以下のような工事で多く相談をいただいていいます。名古屋に拠点を構える名古屋市の例になりますがご相談になさってください。
- 築30年以上の飲食店の退去工事(屋外に業務用エアコンの配管設備あり)
- 工場跡地の用途変更に伴う解体(屋外に変電設備設備あり)
- 古いビルのテナント原状回復(屋外に排気ダクト設備あり)
- 設備更新を伴う改修工事(ボイラーと圧力容器の交換改修)
これらは、工作物に該当する設備撤去が含まれやすい工事です。実際に調査が必要か否かは現場により異なりますので、該当する設備がある場合は、業者に入念に確認しましょう。
ウラシコでは、工事内容を確認したうえで「アスベスト調査が必要かどうか」を工事前に整理し、無理のない工程をご提案しています。
以下は先程の工事をされるお客様からご質問された内容と回答になります。
Q1. 2026年の石綿障害予防規則の改正で、何が一番変わりますか?
一番大きな変更点は、建築物だけでなく「工作物」もアスベスト事前調査の対象になることです。これにより、配管・設備・ダクト・機械基礎などを撤去する工事でも、事前調査が必要になるケースが確実に増えます。
Q2. 内装解体を伴う場合、原状回復工事でも対象になる?
工事内容によっては対象になります。特に、天井材の撤去、設備や配管の撤去、古い内装の解体が含まれる場合は、工作物として調査が必要になる可能性があります。「内装工事だから関係ない」とは言い切れないため、現場の目視確認(事前調査)が必要です。
Q3. 小規模な工事でもアスベスト調査は必要ですか?
工事の規模に関係なく、アスベストを含む可能性がある建材や工作物を扱う場合は、事前調査が必要です。調査内容は、Gbizシステムで国に報告しないと工事ができないため、部分的な解体や短期間の工事でも対象外とはなりません。
Q4. 事前調査は簡易調査キットで誰でも行える?
いいえ。工事規模が一定規模を超える場合(企業レベルが依頼する工事はほとんど超えます)は、有資格者でなければ事前調査は行えません。資格を持たない人が行った調査は、法令上認められません。
Q5. 事前調査をしないまま工事を進めるとどうなる?
法令違反となる可能性があります。また、工事途中でアスベストが発覚した場合、工事の中断や追加調査、追加費用が発生し、スケジュールにも大きな影響が出ます。結果的に、事前に調査しておいた方が安全かつスムーズなので、絶対に調査しましょう。
Q6. 調査費用はどれくらいかかりますか?
調査範囲や対象物によって異なりますが、1現場あたり約2~5万円〜程度が基本の相場です。(※図面確認・目視調査など含む一般的な事前調査の料金)さらにそこから検体分析が必要となるため、1検体あたり:約2万〜5万円程度が追加されます(みなしで行う場合は検体分析は不要)
ウラシコの対応体制について
最後にウラシコの現在の対応体制についてお話させていただきます。ウラシコでは、解体工事・原状回復工事を安全に進めるため、
- アスベスト事前調査の段階からの相談対応
- 工事内容に応じた調査要否の判断
- 法令に沿った工程管理
- を重視しています。
「調査が必要か分からない」「工事にどこまで影響するのか知りたい」そういった段階でも、工事前に相談いただくことでトラブルを防ぐことが可能 です。
アスベスト調査が必要な解体作業や原状回復工事のご相談はぜひ私たちにお気軽にお問い合わせください。
まとめ
2026年の改正石綿障害予防規則では、
- 工作物も調査対象に含まれる
- 工作物石綿事前調査者による事前調査が必須になる
このように、現場実務に直結する変更が行われます。解体工事・原状回復工事を検討されている方は、工事を始める前に、法令対応も含めて相談できる業者を選びましょう。
ウラシコでは、工事内容を踏まえた実務目線でのご相談対応を行っています。不安がある方は、工事を決める前に一度ご相談ください。
また、アスベスト関連法令の改正実施内容に関しましては、こちらのページで詳しく解説しています。解体業者の現場目線で変更点を解説していますので、ぜひご参照ください。

