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【総務や会計担当様へ】原状回復費用の勘定科目は何が適切?修繕費?オフィスやテナント退去時の財務処理の基本を解説します。

原状回復の仕分け

原状回復工事の費用はどの勘定科目を使うのか

オフィスやテナントを退去する際に、必ず必要になるのが原状回復です。原状回復の費用(退去費用)はどの勘定科目を使うのかご存じでしょうか?

この記事では、総務や会計担当様向けに、原状回復の勘定科目とその仕訳方法について紹介します。実は原状回復の仕訳はシンプルです!ポイントを抑えてスムーズに会計処理を完了させましょう。

なお、建物そのものを取り壊すなどの解体撤去工事を行う場合は、解体工事としての仕分けが必要です。解体工事の仕訳方法はこちらの記事で記載しておりますので、こちらもわせてご参照ください。

目次

原状回復の勘定科目はズバリ修繕費

原状回復とは、入居前の状態に戻すことを指します。この原状回復を目的とした工事を「原状回復工事」と呼びます。原状回復は、賃貸物件を退去する際の入居者側の義務として契約書に盛り込まれているため、オフィスやテナントを退去する際には、必ず行う必要があります。

先程述べたとおり、原状回復工事は、建物や内装を壊すのではなく、元の状態に戻す(≒修繕する)ことを目的としているため、多くの個人事業主や中小企業では、修繕費(費用)として仕分けします。修繕費として計上する場合、年度内で一括して経費処理が可能です。

ただし、修繕費として認められるには、「原状回復工事」の費用であることを明確にしておかなければなりません。そのため摘要欄には必ず「原状回復費用」と明記しましょう。また、業者からの見積書も原状回復のための工事であることを明記してもらってください。

原状回復工事であることが認められない場合、資産の価値を高めるものと判断され、資産計上する必要があります。そうなると節税の観点から、あまり好ましくありません(資産計上の場合、一括処理ではなく減価償却が必要になるためです。)

特別損失として計上する場合もある

オフィスの移転や移動やそれに伴う原状回復工事は、日常的に起こるものではいため、「特別損失」として計上することもできます。特に、原状回復費用が高額な場合、当期だけ発生した損失であることを伝えるために特別損失を用いることが多いです。

ただし、株主や税務署への説明義務の観点から、なんでもかんでも特別損失とすることは推奨できません。「修繕費」とするか、「特別損失」とするかは、株主や税理士、税務署への説明を考慮して判断するようにしましょう。

修繕費として仕分けできる工事内容

具体的に修繕費として処理できる工事の内容は、以下の通りです。一般的に「原状回復工事」として扱われる工事のほとんどが修繕費として処理することができます。

修繕費として仕分けできない工事内容

注意!冒頭でご説明したとおり、原状回復ではない解体工事の勘定科目は、修繕費として仕分けできません。基本的には、解体工事の目的によって「費用」「資産」のどちらかの科目で計上します。

解体工事を行った後、その場所に何も新しい建物を建てない場合は「固定資産除却損(費用)」として計上します。解体後新しい建物を立て直す場合は「前払金(資産)」として計上することが一般的です。

原状回復は敷金(保証金)から支払われることが多い

実際の仕訳方法を確認する前に、前提として、原状回復は敷金(保証金)から支払われることが多い、ということを覚えておきましょう。

オフィスやテナントに入居するときは、物件オーナーや不動産管理会社に敷金を支払うことが一般的です。敷金は、入居中や退去時に物件を修繕する目的として使われるものです。そのため、退去時に行う原状回復も敷金から支払われるのが一般的です。

このようにして、敷金から原状回復費用をまかなう場合は、「敷金」を「修繕費」にする振替処理が必要です。後ほど詳しく解説いたしますので、ご安心ください。

【物件を借りている側】原状回復の仕訳方法

それでは、ここからは実際に具体的な仕訳方法を見ていきましょう。まずは、物件を借りている企業様や店主様向けの会計処理をご紹介します。

物件を貸している側のオーナー様や不動産管理会社様向けの仕訳方法は、後ほど詳しく説明いたしますので、読み飛ばしていただいて構いません。

【物件を借りている側】基礎となる原状回復の仕訳方法

借方に修繕費、貸方に支払い方法を記載します。今回は銀行振込を想定して普通預金にしていますが、現金払いの場合は、貸方は現金になります。また、修繕費は様々なものに利用されるため、摘要欄にきちんと内容を記載しましょう。

(例)退去時に原状回復費用5万円を支払った

日付 借方 金額 貸方 金額 摘要
12/20 修繕費 50,000 普通預金 50,000 原状回復費用

【物件を借りている側】原状回復費用を敷金から補填し、同額で相殺された場合の仕訳方法

原状回復費用が敷金と同額で相殺された場合は、以下の仕訳方法になります。ただし、現実的に原状回復費用と敷金がぴったりになることはまずないと思いますので、実際にこのような仕分けになることはなかなか無いでしょう。

この場合は、借方に修繕費、貸方に敷金を記載します。

(例)物件契約時に敷金5万円を支払い、退去時の原状回復費用5万円をその敷金から補填した

借方 金額 貸方 金額 摘要
12/20 修繕費 50,000 敷金 50,000 原状回復費用

【物件を借りている側】原状回復費用を差し引いた敷金が返金された場合の仕訳方法

原状回復費用があまりかからずに、敷金と差し引きして返金される場合も少なくありません。その際は以下のように処理します。

借方に修繕費、貸方に敷金を記載します。その後、差し引きして残った額を資産(現金や普通預金など)に計上します。適応欄には敷金の返金であることを明記しましょう。

(例)4月1日の契約時に敷金12万円を支払い済み。12月20日の退去時に、原状回復費用5万円を補填し、残りの7万円が銀行振込で返還された

日付 借方 金額 貸方 金額 摘要
4/1 敷金 120,000 普通預金 120,000 敷金支払い
12/20 修繕費 50,000 敷金 50,000 原状回復費用
12/20 普通預金 70,000 敷金 70,000 敷金の返金

【物件を借りている側】自宅兼オフィスを利用している場合の仕訳方法(家事按分あり)

個人事業主として事業を始めている方のなかには、自宅とオフィスを兼用されている方もいるかと思います。その場合、家事按分(かじあんぶん)を用いることができます。一般的に、家賃の按分比率に合わせる場合が多いです。

以下の例では、個人用口座からの支払ったので、貸方の勘定科目は「事業主借」になります。また、摘要欄には何パーセント分なのかも明記しておきましょう。

(例)原状回復費用15万円を支払い、30%の5万円を家事按分して経費に計上した 。なお、個人用口座から支払った。

日付 借方 金額 貸方 金額 摘要
12/20 修繕費 50,000 事業主借 50,000 原状回復費用(按分比率30%)
家事按分とは、事業用と個人用で共用している家賃や通信費などの費用を、事業用として使用している部分のみを経費として計上し、個人用で使用している部分は除外する、という考え方です。按分の基準は、自宅の中で事業用として使用している部分の面積の割合や、1日のうちに事業に充てている時間の割合などを考慮して決めます。

【物件を借りている側】自宅件オフィスを利用していて敷金が返還された場合の仕訳方法(家事按分あり)

個人事業主の方が契約時に仕払った敷金が戻ってきた場合の仕訳方法です。敷金を支払った時は借方に「敷金」貸方は個人口座から支払ったので「事業主借」になります。

原状回復費用のうち、家事按分をした3万は借方に「修繕費」貸方は「敷金・保証金」になります。そして摘要欄に按分比率を記載します。

原状回復費用のうち、家事按分をしなかった6万円は、事業主個人が負担する分になるので、借方に「事業主貸」です。貸方は先ほどと同じく「敷金」になります。

差額は、個人用口座に返金されたので、借方に「事業主貸」貸方は「敷金」になります。

(例)4月1日の契約時に敷金10万円を支払い、12月20日の退去時に原状回復費用9万円を差し引いた1万円が戻ってきた。原状回復費用は、30%の3万円を家事按分して経費として計上した。個人口座から支払い、個人口座に返金された。

日付 借方 金額 貸方 金額 摘要
4/1 敷金・保証金 100,000 事業主借 100,000 敷金支払い
12/20 修繕費 30,000 敷金・保証金 30,000 原状回復費用(按分比率30%)
12/20 事業主貸 60,000 敷金・保証金 60,000 原状回復費用(事業主負担分)
12/20 事業主貸 10,000 敷金・保証金 10,000 敷金の返金

【物件を貸している側】原状回復の仕訳方法

ここからは物件を貸している側の皆様の原状回復の仕訳方法をご紹介します。主なパターンは、賃貸物件から入居者が退去する際に、敷金から原状回復費用を差し引いたのち、差額を返還したときの仕訳方法になります。

【物件を貸している側】基礎となる原状回復の仕訳方法①(立替金を用いる場合)

貸している物件から、入居者が退去する際に支払う原状回復費用は「立替金」を用いることが一般的です。

貸している物件の原状回復は、自分が所有している資産の修繕にあたりますので、物件を貸している側は、入居者から預かったお金から、原状回復費用を建て替えて支払った、という考え方のもと「立替金」として処理をします。

この場合、借方に立替金を用い、貸方は支払い方法を記載します。今回は、銀行振り込み払いを想定して、普通預金にしていますが、現金払いした場合、貸方は現金になります。

(例)賃貸物件を貸している側で、入居者の退去時に原状回復費用5万円を支払った

日付 借方 金額 貸方 金額 摘要
12/20 立替金 50,000 普通預金 50,000 原状回復費用

【物件を貸している側】基礎となる原状回復の仕訳方法②(修繕費を用いる場合)

原状回復は、あくまでも自己の資産の修繕にあたるため、【物件を借りている側】で説明したときと同じ理由から「修繕費」として処理することも可能です。

(例)賃貸物件を貸している側で、入居者の退去時に原状回復費用5万円を支払った

日付 借方 金額 貸方 金額 摘要
12/20 修繕費 50,000 普通預金 50,000 原状回復費用

【物件を貸している側】入居者に敷金を返金した場合の仕訳方法①立替金として処理していた場合

入居者から預かっている「敷金」から、原状回復費用を差し引いて、差額を返還するときは、先程の原状回復費用を支払ったときの仕訳方法(立替金 or 修繕費)によって計上の方法が異なります。

原状回復費用の支払いを立替金として計上している場合、貸方に返還時の支払い方法と立替金を記載し、敷金と相殺します。

(例)入居者の退去時に、預かっている敷金200,000円から、原状回復費用50,000円を差し引いて、銀行振込で返還した。

日付 借方 金額 貸方 金額 摘要
12/31 敷金 200,000 普通預金 150,000 退去による敷金返還
12/31 立替金 50,000 原状回復費用

【物件を貸している側】入居者に敷金を返金した場合の仕訳方法②修繕費として処理していた場合

原状回復費用の支払いを修繕費として処理している場合の仕分けは以下の通りです。修繕費はすでに支払った「経費」として扱われる勘定科目であるため、敷金と直接相殺することができません。

そこで原状回復費用の支払いを修繕費として計上している場合、「雑収入」として相殺します。

(例)入居者の退去時に、預かっている敷金200,000円から、原状回復費用50,000円を差し引いて、銀行振込で返還した。

日付 借方 金額 貸方 金額 摘要
12/31 敷金 200,000 普通預金 150,000 退去による敷金返還
12/31 雑収入 50,000 原状回復費用

原状回復は適切に財務処理を行いスムーズに退去を

以上、原状回復に基本的な仕訳方法をご紹介して参りました。物件の退去は人生でそう何度もあるわけでは無いので、会計処理の際に身構えてしまう人も多いかと思います。

実際は、どのパターンに当てはまるか確認しておけば、さほど難しくない処理です。適切に会計処理を行い、スムーズに退去を進めましょう。

こちらの記事では、原状回復や解体工事の際に頻出する勘定科目「資産除去債務」を解説しております。資産除去債務を理解しておけば節税に繋げることもできますので、是非こちらもご参照ください。

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