一般的に建設工事の施工は許可を受けた建設業者以外は受注できないことになっていますが、中には許可が不要なケースもあります。1つは請負金額が500万円以下の軽微な工事の場合です。
もう1つはメインの工事に伴って行なわれる「付帯工事(ふたいこうじ)」の場合です。今回の記事では、この付帯工事にはどんなものが当てはまるのか、具体例や注意点も交えてご紹介します。
目次
付帯工事とは
付帯工事とは、メインの工事(主たる工事)に関連して行われる「従たる工事」のことをいいます。この付帯工事は建設業の許可がなくても施工することができます。
なぜかというと、大工工事業者なら大工工事だけを、左官工事業者なら左官工事だけしか行えないというように区分することは、建設工事の実情に即しているとは言えず、注文者の利便を著しく損なうことがあるからです。
そこで「付帯工事」と認められる工事に関しては、許可を受けていない業種の工事であっても、施工しても良いことになっています。(ただし、メインの工事について許可を受けていない建設業者についてはこの限りではありません)
信頼できる解体業者の選び方は、こちらの記事でも詳しく解説しています。こちらも合わせてご参照ください。
付帯工事と認められるための条件
それではどのような工事が付帯工事として認められるのでしょうか?それには主に次の3つの条件があるとされています。
①メインの工事に関連性や一体性がある工事で、全体として「ひとつの工事」と判断できること
②注文者の利便性の観点から、メインの工事を施工するにあたって、その従たる工事の必要性及び相当性が総合的に認められること
③従たる工事(付帯工事)の請負金額が主たる工事のそれを下回ること
これら3つの条件を加味して、注文者の利便性を損なわないように、総合的な観点から判断されるとされます。
付帯工事の2つのパターンと具体例
上記で説明した判断基準に照らして、付帯工事に当てはまると考えられる2つのパターンとそれぞれの具体例をご紹介します。
①メインの工事を施工するために発生する工事
1つ目はメインの工事を施工するうえで必要となる工事です。具体例としては以下のようなものが挙げられます。
- 石垣の築造を石工工事業者が行う場合に必要となる基礎部分の堀削やコンクリートの工事
- 配線改修に伴う電気工事に必要となる内装の仕上げ工事
- 防水工事をする際に必要な仮設足場工事
②メインの工事を施工したことで発生する工事
2つ目はメインの工事を施工した結果として必要となった工事です。具体例としては以下のようなものが挙げられます。
- エアコンの設置工事をした結果必要となったエアコン設備の熱絶縁工事
- 屋根の改修工事に伴って必要となった塗装工事
付帯工事に関する注意点
500万円以上の付帯工事
工事金額が500万円以下の工事は軽微な工事として許可はいらないので、問題となるのは500万円以上の付帯工事です。この場合、施工方法は次の2通りになります。
①その付帯工事を専門とする他の業者に発注して依頼する
②自社で確保した「専門技術者」を配置し自社で施工する
それぞれ詳しく解説していきます。
①その付帯工事を専門とする他の業者に発注して依頼する
自社で施工できない場合は他の許可業者に下請けで仕事を発注することになります。ただしこの時メインの工事の全部やその一部を他の業者に丸投げしないように気をつけましょう。
そのためメインの工事と付帯工事の分け方に留意し、どこまでが付帯工事になるかの判断は慎重に行う事が求められます。
②自社で確保した「専門技術者」を配置し自社で施工する
配置する専門技術者は、ある一定の条件を満たす者でなければなりません。塗装工事で言えば、1級建築管理施工技士や2級建築施工管理技士(仕上げ)などの資格を有していたり、10年以上の実務経験を積んでいたり、などが必須の要件となります。
また必ずしも専門技術者は個別に用意する必要はなく、要件を満たしていれば、メインの工事の主任技術者、管理技術者などが兼任しても構いません。
施工の際に登録が必要となる付帯工事
また建設業法以外の法律で施工しても良い業者が限定されるケースもあります。例えば「電気工事」や「消防設備工事」を施工する場合、「電気工事士」や「消防設備士」の有資格者でなければ工事を行ってはいけないと定められています。
また「電気工事」を行っていいのは「電気工事業の登録」を受けた業者に限るということにも注意が必要です。
費用を抑える分離発注についてこちらの記事で詳しく解説しています。ぜひ合わせてご参照ください。
まとめ
付帯工事とはメインの工事に関連性や必要性・相当性のある工事を指し、請負金額が500万円以上の場合のみに関係してくるということを学びました。そしてその付帯工事に関しては2つのやり方があります。
- 工事を丸投げしないように気をつけ、他の許可業者に下請けに出すこと
- 自社で施工する場合、専門の技術者を配置すること
そのためどこからが付帯工事となるのかの判断は厳格に行う必要があります。自分だけで勝手に判断するのではなく、判断に困ったら役所や行政書士などにも相談して適切な付帯工事を行いましょう。
また、優良な解体業者に見分け方に関しましては、こちらの記事一覧ページにてまとめております。こちらも合わせてご参照ください。