大気汚染防止法の一部改正で、2023年10月1日以降の解体工事において、工事前に有資格者による事前調査が義務化されることが決まりました。
今回は、事前調査を行うことができる資格のうち「建築物石綿含有建材調査者」について詳しく説明していきます。
株式会社ウラシコでは「建築物石綿含有建材調査者」が在籍しております。アスベスト調査から除去工事、除去後の特別産業廃棄物の処分までワンストップで対応可能です。ぜひ私たちにおまかせください。
目次
アスベストの資格に関する情報はYouTube動画でも解説しています!
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建物の事前調査とは
事前調査とは、建物等の解体工事や改築工事前に、その建物等に石綿含有建材が使用されているかどうかを調査することです。
この調査の結果、石綿含有建材が使用されていた場合はもちろんですが、一定の条件を満たす工事を行う場合にはアスベストの使用の有無に関わらず、各都道府県(大気汚染防止法)や労働基準監督署(石綿障害予防予防規則)への報告が義務付けられています。
アスベストが体内に蓄積することで重大な健康被害を引き起こすことが確認されているため、作業者や近隣住民の健康を守ることを目的として、年々規制が厳しくなっています。
現在は事前調査を実施するのは、石綿に関する一定の知識を有し的確な判断ができる者になっていますが、冒頭にあげたように令和5年(2023年)10月1日から事前調査は有資格者が行わなければならないことになります。
この保有しなければならない資格で取得が目指されるのが、建築物石綿含有建材調査者です。ここからは、建築物石綿含有建材調査者について詳しく説明していきます。
建築物石綿含有建材調査者とは
概要
建築物石綿含有建材調査者とは、解体や改修工事を行う建物等について、アスベストの有無を中立かつ公正に正確な調査する資格を持った調査者のことで、冒頭で述べた事前調査を行う者が保有していなければならない資格になります。
厚生労働省・国土交通省・環境省告示第1号に基づく建築物石綿含有建材調査者講習を受講し、修了考査に合格した場合に調査者としての資格が与えられます。講習の内容は、建築物石綿含有建材調査に関する基礎知識や事前調査の方法・留意点、調査報告書の作成などで構成されています。
一部講習では、実地研修や修了試験での口述試験が行われることになります。
受講資格
講習は指定の講習機関に申し込んで受けることになりますが、講習を受けるためには、建築に関する知識と一定以上の実務経験が必要です。
高等教育機関(大学や短大など)で建築に関する「正規の課程またはこれに相当する課程」を修了した後一定以上の実務経験がある者や、建築や建築行政に関し一定以上の実務経験がある者が対象になっています。
詳しくは各講習機関のHPなどを参照してください。また、石綿作業主任者の技能講習修了者は、実務経験に関係なく講習を受講することができます。
建築物石綿含有建材調査者の種類
2013年7月に国土交通省が、「建築物石綿含有建材調査者講習登録規程」を定め、事前調査を行うにふさわしい人材の育成を始めました。
一方で、厚生労働省や環境省は「石綿障害予防規則」や「大気汚染防止法」に基づき、一定の知見を有する者が事前調査を行うように周知していました。
このように3省がそれぞれ行っていた人材育成を効率化するために、2018年に3省共管の講習制度に関する告示を制定しました。
その後、2020年に建築物石綿含有建材調査者講習登録規程の改正を行い、現在運用されています。現行の建築物石綿含有建材調査者には次にあげる3つの種類があります。どの資格取得を目指すかによって講習内容や受講資格が異なりますので、それぞれ紹介していきます。
一戸建て等石綿含有建材調査者
一戸建て等石綿含有建材調査者は、2020年7月1日の改正で新設された資格で、一戸建て住宅又は共同住宅(マンションや長屋など)の住戸の内部に使用されているすべての建材を対象とした調査を行うことができる資格になります。
ただし、共同住宅のベランダ、廊下等の共用部分は調査対象外になります。資格取得には、受講資格を満たしたうえで7時間の講習を受け筆記試験に合格することが必要です。
一般建築物石綿含有建材調査者
一般建築物石綿含有建材調査者は、一戸建て等も含めたすべての建築物のすべての建材に対して調査を行うことができます。2018年に3省共管の講習制度に関する告示を制定した時の「建築物石綿含有建材調査者」に当たる資格です。
資格取得には、受講資格を満たしたうえで11時間の講習を受け、筆記試験に合格することが必要です。
特定建築物石綿含有建材調査者
特定建築物石綿含有建材調査者は、一戸建て等も含めたすべての建築物のすべての建材に対して調査を行うことができます。2020年の改正時点では、一般建築物石綿含有建材調査者との違いは特になく、今後区別されていく可能性はあります。
2018年以前に建築物石綿含有建材調査者の講習を受講していた場合は、特定建築物石綿含有建材調査者とみなされます。
資格取得には、受講資格を満たしたうえで11時間の講習、実地研修を受け筆記試験、口述試験に合格することが必要です。
おわりに
今回は、解体工事等の前に行われる事前調査に必要になる資格である建築物石綿含有建材調査者について説明してきました。最短で2日ほどで取得できますが、2023年の施行に向けて受講人数が増加することが予想されますので、早めに取得することをおすすめします。
また、令和4年4月1日のアスベスト関連法令の改正実施内容に関しましては、こちらのページで詳しく解説しています。解体業者の現場目線で変更点を解説していますので、ぜひご参照ください。