これまでさまざまな建築物等に使用されていたアスベストですが、現在では原則使用禁止とされています。使用している恐れのある建築物等は、解体や改修工事の前にアスベスト含有調査が必要です。
本記事では、アスベスト含有調査のサンプル採取方法と推奨される服装について解説していきます。これから、アスベストのサンプル採取を考えている方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
株式会社ウラシコは、店舗・オフィスなどの原状回復や内装解体を行っている解体会社です。アスベスト撤去工事も行っているため、アスベストについての不安や悩みがありましたら、お気軽にご相談下さい。
目次
令和4年のアスベスト改正実施はYouTube動画でも解説しています!
アスベスト関連法令の改正実施の解説はウラシコのYouTubeチャネル【ウラシコチャンネル】でも解説しています。解体業者の目線で現場がどのように変わるのかわかりやすく説明していますので、ぜひこちらもご参照ください!
そもそもアスベストとは?
アスベストとは、別名「石綿(いしわた)」とも呼ばれている、天然に産する繊維状けい酸塩鉱物です。アスベストは、製品としての性能がかなり高く、耐久性・耐熱性・耐薬品性・防音性など優れています。
幅広い用途で使われたアスベストですが、特に建築物の建材として壁や屋根裏などに使用されました。また、カナダや南アフリカなど世界各地でアスベストを産出でき、安価で入手できる特徴があります。
アスベストの危険性と調査の必要性
これまで社会に大きく貢献してきたアスベストですが、1970年代に人体に有害があるとして使用を問題視され始めました。目に見えないほどの小さな物質であるため、無意識のうちに吸引してしまい、肺がん・中皮腫・石綿肺・びまん性胸膜肥厚などの症状が発症します。
こうした原因から、徐々にアスベストの使用は規制されていき、2006年に原則として使用禁止となりました。ただ、1970年代以前に建てられた建築物には使用されている恐れがあります。
そのため、2020年より建築物の解体工事や改修工事を行う場合、事前のアスベスト調査が義務化されています。
アスベスト調査のサンプル採取で準備するもの
前章でも解説したように、現在は建築物の解体工事や改修工事を行う場合、アスベスト調査を行う義務があります。アスベスト調査を進める際に、建築物の天井裏や柱に吹き付けられているアスベストのサンプル採取が必要です。サンプル採取の際に必要な物は、主に2種類に分けられます。
- 保護具
- 採取道具
それぞれを揃えなければ、安全にアスベストのサンプル採取はできません。サンプル採取前に確実に確認しておきましょう。
保護具
- 手袋(使い捨て用)
- 防塵マスク (国家検定品)
- ゴーグル(防じんタイプ)
- 防塵服
アスベストは有害物質であり、吸引してしまうと人体に影響が出ます。そのため、採取者は保護具で吸引を防ぐ必要があります。国家検定品の防塵マスクや性能の高い粉じんタイプのゴーグル、防塵服を着装して未然にアスベストの吸引を防止しましょう。
採取道具
- チャック付きビニール袋(二重梱包)
- 養生材
- スクレーパー
- カッター
- ハンマー
- 飛散防止材
- HEPAフィルター付き掃除機
アスベストを採取するときに、飛散を最小限に抑えるためにも採取道具は揃えておきましょう。採取時の飛散を防止する「飛散防止材」は、水に洗濯のりを混ぜたものでも代用できます。また、採取したアスベストを漏らさないためにも、チャック付きの2重梱包で管理するのが望ましいです。
アスベスト調査のサンプル採取方法
ここではアスベスト調査のサンプル採取方法を解説していきます。以下の手順で、サンプル採取を進めていきましょう。
- 保護具の自主検査と着装
- 採取場所の養生
- サンプル採取作業
- 清掃
サンプル採取の際は、上記の4つの手順を順番に進めていきましょう。それでは詳しく解説していきます。
保護具の自主検査と着装
サンプル採取を行う前に、保護具の自主検査と着装をしていきましょう。自主検査では、「手袋や号人服に穴が開いていないか」「防塵マスクやゴーグルは基準に達しているものか」などを確認しておきましょう。
もし、使用できない状態であれば、至急代用品を準備する、もしくはサンプル採取日の延期を行いましょう。自主検査が問題なければ、保護具を適正に着装していきます。
採取場所の養生
保護具の着装ができたら、採取場所の養生を行います。採取作業時に床に落ちたり、飛散したりする可能性があり、通行人や周囲の第三者が吸引してしまう恐れがあります。そのため、養生は必ず行いましょう。
また、採取場所に第三者が近づいたり通行する場合、近づかないように周知や立ち入り禁止区画をしましょう。
サンプル採取作業
採取場所の養生が完了したら、実際にサンプル採取作業を行います。サンプル採取は建材ごとに異なり、主な建材は以下の4つに分かれます。
- 吹付材
- 形成板
- 保温材・断熱材・耐火被覆材
- 仕上げ塗料材
それぞれの建材によって、採取方法や使用する道具が異なります。採取前に確認しておきましょう。
吹付材
1つ目の建材は、吹付材です。吹付材は、主に天井や壁に使用されている場合が多いです。採取方法としては、採取箇所に水を使って飛散防止措置を行います。このとき、スプレー用の容器に入れて吹くと、効率よく飛散防止ができます。
採取箇所が湿ったら、約10㎤程度をスクレーパーで採取します。約3箇所分の採取ができたら、最後に採取部分に飛散防止材を吹き付けて完了です。
形成板
2つ目の建材は、形成板です。形成板は、主に床や壁、天井に使用されている場合が多いです。採取方法は、採取箇所に水を使用して飛散防止を行います。採取箇所が湿ったら、約100㎤程度をカッターで採取します。約3箇所分の採取ができたら、補修用のプレートで採取箇所の穴を塞ぐと完了です。
保温材・断熱材・耐火被覆材
3つ目の建材は、保温材・断熱材・耐火被覆材です。主に、天井裏の建材として使用されている場合が多いです。採取方法は、基本的に吹付材と同様の採取方法となっており、カッターやスクレーパーで採取していきます。
仕上げ塗料材
4つ目の建材は、仕上げ塗装材です。仕上げ塗装材は、主に内壁や外壁などに使用されている場合が多いです。採取方法は、採取箇所をビニール袋や養生材で手元を簡易養生します。養生ができたら、約10㎠程度をハンマーとスクレーパーを使って採取します。
このとき、ハンマーで削っていくと、サンプルの破片が飛んでくる恐れがあるため、目に入らないようにゴーグルを確実にしておきましょう。採取ができたら、飛散防止材や変性シリコンなどで補修すれば完了です。
清掃
アスベストのサンプル採取が完了したら、最後に清掃をします。採取の際に落ちたサンプルを残さないために、HEPAフィルター付き掃除機で吸引していきます。また、養生の上にも落ちている可能性があるので、飛散しないように丁寧に片づけていきましょう。
清掃を終えると、アスベスト調査のサンプル採取は完了です。有害なアスベストを飛散させないためにも、適切な採取と丁寧な手順で進めると良いでしょう。
サンプル採取時の注意点
ここまで、アスベスト調査のサンプル採取のやり方を解説していきましたが、サンプル採取には注意点があります。注意点として、複数の採取時は安易に同じ建材と判断しないようにしましょう。
建材は、採取部分が近い部分であっても、材質が異なる場合があります。そのため、違う材質の建材を採取してしまうと、アスベスト調査の結果が変わる可能性があります。採取時には、色や素材を細かく確認して採取するようにしましょう。
また、採取後の管理として、チャック付きのビニール袋に採取情報を添付しましょう。複数の場所を採取する場合、正確な採取場所が不特定になるため、「建物名」「採取場所」「採取部位(天井・壁・床など)」「採取年月日」「採取判断者名・採取者名」を表記するようにしてください。
適切にアスベストのサンプル採取をしよう
肺がんや中皮腫などを引き起こす恐れがある「アスベスト」。建物の解体工事や改修工事を行う際に調査の義務とされていますが、適切なサンプル採取が必要です。
本記事では、アスベスト含有調査のサンプル採取方法と推奨される服装について解説していきました。アスベストのサンプル採取を検討している方は、適切な手順と採取方法で作業を行うようにしていきましょう。
株式会社ウラシコは、原状回復・内装解体・部分解体・アスベスト除去を得意とする解体会社です。これからアスベスト撤去工事を考えている方は、ぜひ私たちにご相談ください。また、多くの方々から私たちが選ばれている理由については、下記のページより合わせてご参照ください。