今回は、建物全体の解体工事を自分で行うことができるのか、またできる時にどんな注意が必要なのかなどを紹介していきます。ただし、前提として自分で行う場合には全て自己責任になることを頭に入れておきましょう。
最初から自分でやる!と決める前にまずは、専門業者にお問い合わせされることをおすすめします。
解体工事では、残念ながら”悪徳業者”も数多く存在します。「壊せば終わり」と考えている業者には要注意です!こちらのページでは解体工事でよく起こるトラブルや、悪徳業者の手口、対処法、優良業者の選び方を体形的にまとめています。ぜひこちらもご覧ください。
目次
空き家解体の現地調査の様子をYouTube動画でも解説しています!
私達ウラシコでは、解体撤去工事の見積もりの前に必ず現場を確認して、建物の位置や造作の形状、残置物の有無を確認し、お客様のニーズをきちんと確かめて、適切な見積もりをしています。実際の現地調査の様子を動画でもお確かめください。
解体工事は自分でできるのか?
結論
結論から言いますと、建物全体の解体は、必要な申請を行えば問題なくご自身でも解体を行うことができます。ただし、アスベストなどの一部材料が使用されている場合には、特別な申請や許可が必要ですので、事前に確認が必要になります。
また、キッチンだけ、お風呂だけといったような一部の解体は、特に申請することなく行うことができる場合が多いです(条例等により異なりますので、詳しくは各自治体にお問い合わせください。)ただし、廃棄物の処分だけは適切な方法で行う必要があります。
注意点
実際に建物全体の解体を行う場合には、業者に解体を依頼した場合と、自分で解体するときの費用や時間などを比べて考えてみてください。確かに、費用は自分でやったほうが安く済みますが、時間や費用対効果を考えた場合には、依頼したほうがいいこともあります。
重機やトラックを使うには専用の免許が必要であったり、近隣に被害が及んだときには損害賠償責任が発生してしまったりと、それなりのリスクが伴いますので、様々な事情を考慮したうえで考えてみてください。
自分で解体を行うときに必要な申請
ここからは、実際に自分で解体を行う際に必要な申請について説明していきます。基本的には、業者に依頼する場合と同じ申請が必要になります。
通常、解体業者が解体工事を行う場合は、土木工事業、建築工事業、とびなどの建設業許可もしくは、解体工事業登録のいずれかが必要となりますが、これは解体工事を事業として行うときに必要な許可であり、個人で解体工事を行う場合には必要ありません。
解体工事前に行う申請
建設リサイクル法の許可
正式名称は「建築工事にかかる資材の再資源化に関する法律」といい、建築資材のリサイクルについて定めた法律です。この法律により、床面積が80m2以上の解体工事を行う場合には、届出書、分別解体計画表、付近の見取り図、建築物の写真、工程表などを提出しなければなりません。
道路の使用許可申請
解体工事を行う際に、敷地内に重機やトラックを置くスペースがある場合には問題ありませんが、一部道路にはみ出して使用する場合には、事前に申請が必要です。所轄の警察署へ1週間前までに、申請書と駐車方法を記した図面を所轄の警察署に提出しなければなりません。
この申請を行って、許可が出れば道路への駐車が認められることになりますが、その道路を通る車両や通行人に配慮した誘導が必要です。もし、迂回が必要な場合には事前に工事を知らせる看板を設置したり、交通誘導員を配置するなどするのが賢明です。
アスベスト処理の申請
アスベストを含む可能性がある場合には、必ず事前調査が必要です。この調査で、含まれていることが判明した場合には、解体工事に特別な許可が必要になりますので、申請が必要です。
ライフラインの停止申請
これは、役所に行うものではありませんが、工事をする前までに電気、ガス、インターネット、電話などライフラインの停止申請を行い、必要に応じて配線などの撤去も行う必要があります。水道に関しては、工事中に散水が必要になりますので、停止手続きは行う必要はありません。
解体工事後に行う申請
建物滅失登記
建物の取り壊しをおこなった際に行う登記申請のことです。解体工事完了から1ヶ月以内に法務局に申請を行います。土地家屋調査士などに代理申請を依頼することができますが、一般的に約3ー5万円かかるといわれていますので、可能であれば自身で行ったほうが良いでしょう。
工事の準備
近隣へのあいさつ回り
解体工事の際には、近隣トラブルが発生する可能性があります。工事中には、騒音や振動、粉塵の飛散など近隣に迷惑がかかりますので、あらかじめ近隣の方に工事についてお伝えし、お詫びするとともに工事に対する理解をしてもらうことが必要になります。
そのために、工事前にあいさつ回りを行い、工事期間や工事時間、振動や騒音の発生の有無などを説明していきます。これを行っていないと、後からクレームを受け最悪の場合には工事がストップしてしまう可能性もありますので、必ず行ってください。
また、近隣の方との共有地などを廃材や工事車両の一時置き場にする場合には、その許可をもらう必要があります。
必要な道具、車両の準備
解体工事を行う場合には、それなりの設備が必要になります。工事現場を囲う養生や解体のための道具・重機、廃材運搬用のトラックなど様々なものが必要です。養生用のシートは、防音効果や粉塵の飛散抑制のために設置するものですので、ブルーシートなどで代用するのではなく、専用のシートを用意する必要があります。
また、専用の重機の運転には専用の免許が必要になりますし、トラックも積載量によっては、中型・大型の免許が必要になります。これらの免許を所有していない場合には、免許を保有している人員を確保する必要がありますので、注意してください。もし、無免許で重機の操縦やトラックの運転をしてしまうと罰金が課されるなどの処罰があります。以下で、その他必要になりそうな道具を紹介します。
防護用
作業用ヘルメット、作業着(長袖長ズボン)、防塵マスク、作業用ゴーグル、作業用グローブ、厚底の安全靴
作業用
バール(大・小)、片手のこぎり、電動のこぎり(ハンディソー・レシプロソー)、カケヤ(大きな木づち)、バチ(ツルハシのような道具)、ハンマー(大・小)、タガネ、脚立、金切鋏(かなきりばさみ)、ニッパー、電動ドライバー、ブロワー(風を起こす機械)、ほうき、ガラ袋、スコップ、ブルーシート、養生テープ、ハンドマグネット、ライト、電源ドラムリール(延長コード)など
廃棄物の処理
解体工事で出た廃材は、多くの場合「産業廃棄物」になりますので、産業廃棄物処分業許可を持つ業者に処分を依頼することになります。産業廃棄物を自分で処分場に運ぶ場合には、トラックの免許があれば十分ですが、業者に依頼する場合には、運搬するための許可を保有している業者に依頼しなければなりません。
業者が不法投棄などの違法行為を行うことがないように、許可制になっていますが、万一運搬業者が不法投棄などを行い、それが発覚した場合には廃棄物の所有者である依頼者が罪に問われることになりますので、十分注意してください。
自治体によっては、個人で行った解体工事の廃材を「一般廃棄物」扱いになる場合があります。その場合には、行政のリサイクルセンターなどに持ち込み処分を依頼することに倣いますが、その場合には処分費用は大幅に削減が可能です。
ただし、先にも一部触れましたが、アスベストなど一部の廃材の処分は、特別な許可を持っている業者しかできませんのでその辺はきちんと確認して行ってください。
工事の際の注意点
安全な服装・防護
当然のことですが、作業をする際にはけがを防止する意味でも安全な服装と必要な防護をして作業する必要があります。安全靴やマスク、ゴーグルなど自分の身を守れるような準備をしてから作業してください。特に、廃材を運ぶときに残った釘などには十分に注意して作業を行ってください。
廃材の分別は確実に
繰り返しになりますが、ゴミの分別はきちんと行って下さい。工事前に建設リサイクル法に基づく申請をしていますので、分別をきちんと行わないと違法行為になります。運搬・廃棄を業者に依頼する場合でも、分別していないと追加料金が発生するなどの場合が考えられますので、費用を抑えることが目的であれば、分別も自身できちんと行ってください。
申請や挨拶はきちんと行う
解体工事を行う際には、解体業者に依頼しようと自身で行おうと、工事前に申請が必要です。この申請を怠ると、工事がストップしてしまうほか刑罰が科される恐れがありますので、きちんと行ってください。また、近隣へのあいさつも必須ではありませんが、近隣トラブルを最小限にするためには必要ですので、必ず行うようにしてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。建物全体の解体工事は意外とできそうな気もしますが、道具を揃えたり、トラックを借りたりとする場合には、業者に依頼した方が楽ですし安く済む場合も考えられます。初めから自分でやろうとせずに、まずは見積もりを取ってみて、それから総合的に勘案して依頼するか自分でやるか決めても遅くはありません。
また、自分で行う場合には、くれぐれも事故や怪我に気をつけて行ってください。私達にご依頼いただいた場合のお問い合わせから工事完了までの一連の流れについてはこちらのページで詳しく解説しています。ぜひこちらも合わせてご参照ください。