今回は、廃業や閉店などを決断した場合にやらなければいけないことのうち、税務署以外への提出書類関係を中心に見ていきます。開業の際にはさまざまな書類を関係各所へ提出したかと思います。
その分だけ、廃業の届出や申告が必要になりますので、一つ一つ確認していきましょう。税務署類より提出期限が短いものが多いですので、注意してください。
また、こちらの記事では個人経営店の閉店に必要な手続きについて解説しております。こちも合わせてご参照下さい。
保健所
- 「廃業届」の提出
- 「飲食営業許可書」の返納
提出期限:10日以内
※様式は所轄の保健所により異なりますので、所轄の保健所に問い合わせいただくか、各ホームページを確認してください。また、保健所によっては電子手続きが可能な場合もありますので活用してみてもいいかと思います。
※「飲食営業許可書」の原本を紛失している場合には、所轄の保健所に相談してください。「紛失届」の提出や再発行が必要になる場合がありますので、注意が必要です。
※「飲食営業許可書」を返納した後に営業することはできませんので、注意してください。
消防署
- 「防火管理者選任(解任)届出書」
提出期限:特になし(出来るだけ早く)
※様式は消防署で取得することができますので、所の消防署にお問い合わせください。管轄の消防署が異なれば、様式も異なる場合がありますので、注意してください。
※「解任日」は「廃業日(閉店した日)」のことを指しますので、注意が必要です。
※開店(開業)時に「防火対象設備使用開始届」を提出しているかと思いますが、こちらに関しては特に手続きはありません。
警察署
- 「廃止届出書」
- 「返納理由書」(「風俗営業許可証」の返納と一緒に)
提出期限:10日以內
※「廃止届出書」は、開業(開店)の際に「深夜酒類提供飲食店営業開始届出書」を提出し、深夜に酒類の提供をしている店が対象となります。
※「返納理由書」は、「風俗営業許可証」を返納する際に必要となりますので、評可証を保持していない方は提出する必要はありません。
※「返納理由書」の提出と一緒に、「風俗営業許可証」を返納する必要があります。
※返還を怠たった場合には、「30万円以下の罰金」などの罰則の可能性があります。
公共職業安定所
<雇用保険加入の場合>
- 「雇用保険適用事業所廃止届」
- 「雇用保険被保険者資格喪失届」
- 「雇用保険被保険者離職証明書」
提出期限:10日以内
※雇用保険被保険者離職証明書は3枚複写式の専用用紙で、公共職業安定所の窓口取得か動送取得することが可能です。その他届出書に関しては、ハローワークのホームページから取得できます。
※「雇用保険適用事業所廃止届」提出の際には、登記事項証明書、閉鎖謄本、労働者名簿、廃業の事実が確認できる書類を添付して提出する必要があります。
※「雇用保険被保険者資格喪失届」を提出の際には、資格喪失理由を確認できるものが必要です。(解雇予告通知書など)
※事業廃止時に、雇用保険被保険者がいた場合には、「雇用保険被保険者資格喪失届」と「雇用保険被保険者離職証明書」も同時に提出する必要があります。
※「雇用保険被保険者離職証明書」提出の際には、賃金台帳、出勤簿(夕イム力一ド)、離職理由欄の確認書類が必要です。詳しくは、所轄の公共職業安定所に問い合わせてみてください。
※これらの届け出を行わなかった場合には、雇用保険法第83条により、6か月以下の懲役または、30万円以下の罰金が科きれる可能性がありますので、注意してくたさい。
1か月以内に30人以上を解雇する場合
提出期限:最初の離職者が発生する1か月前まで
- 「大量雇用変動届」
提出期限:最後の離職者が発生する少なくとも1か月前まで
※どちらか一方の提出が必要です。「再就職援助計画」は雇用主が従業員に対して行う再就職活動の援助などの責務を果たせるようにするための申請で、「大量雇用変動届」は、職業安定機関などが、迅速に雇用変動に対応するための申請です。
日本年金機構(年金事務所)
- 「雇用保険適用事業所廃止届の事業主控え」のコビー
- 「健康保険.厚生年金保険適用事業所全喪届」
提出期限:5日以内
※従業員を雇い、健康保険や厚生年金保険、雇用保険のいずれかに加入している場合に必要な届け出になります。
※「健康保険·厚生年金保険適用事業所全喪届」の提出の際には、全保険者分の「資格喪失届」、被保険者・被扶養者全員の「被保険者証」、全喪の原因が確認できる書類(廃業届など)が必要です。
もし、全員分の「被保険者証」を添付できない場合には、「回収不能・滅失届」が別途必要となります。
労働基準監督署
・「労働保険確定保険科申告書」
提出期限:廃業の事実があった日から50日以内
※雇用保険、労災保険のいずれかの労働保険に加入している場合に提出が必要です。
※所轄の労働基準監督署か都道府県労働局、日本銀行のいずれかに提出します。
※申告書は郵送されてきますが、郵送されてきたはずの申告書が見当たらない場合には、所轄の労働基業監督署に問い合わせてください。
※事業廃止日が、3月31日以前か、4月1日以降かで提出する申告書が変わってきますので、注意が必要です。
3月31日以前の場合
⇒確定した労働保険料を申告し、前年の年度更新で納付済みの概算保険料との差額を清算します。(不足があれば追加で納付し、多く払っている分は還付請求や一般拠出金への充当を行います。)
4月1日以降の場合
⇒①年度更新を行う前(6月以前)であれば、通常の年度更新と事業廃止日までの確定保険料の申告と概算保険料(年度更新時申告額)との差額清算が必要になります。
年度更新では、前年度の確定保険料申告と、4月1日以降事業廃止日までの概算保険料の申告と納付を行うことになります。このように、申請書が複数枚となり、かなりややこしいので、労働局や労働基準監督署の窓口で確認しながら作成することをお勧めします。
②年度更新を行った後であれば、通常の年度更新手続き(前年度の確定保険料申告と事業廃止日までの概算保険料の申告・納付)をすることになります。そして、事業廃止日以降に清算をすることになります。
こちらのページでは原状回復の行政手続きについて解説しております。こちらも合わせてご参照下さい。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は飲食店の個人事業主が閉店や廃業の際に行わなければならない手続きや提出しなければならない書類を税務関係以外の部分を中心に整理してきました。
お役所関係の書類は、あやふやなまま提出すると後々面倒なことになる可能性もありますので、わからないところは窓口で聞くなどして、抜け漏れがないように準備してください。
また、提出書類とともに準備しなければならない添付書類も多くありますので、事前に確認して準備できるものは早めに準備することをおすすめします。
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