オフィスの移転が決まったら、まずは何をしなければいけないのでしょうか?新しいオフィスのことに気を取られがちですが、今使っているオフィスのこともきちんと処理しなければなりません。今回はオフィス退去に関して、いつまでに何をすればよいのかスケジュールを解説していきます。
目次
原状回復工事について
まず、今使っているオフィスは必ず原状回復工事をしなければならないと頭に入れておきましょう。原状回復工事とは、大まかにいうとオフィスを借りたときの状態に戻すことを言います。物件や賃貸借契約書の内容により、多少は異なる部分もありますが、オフィス物件に関して原状回復工事の費用は基本的に借りた側の全額負担です。
具体的には以下のような作業があります。
- 間仕切りの撤去
- デスクや椅子の撤去
- 床のタイルやカーペットの張り替え
- 壁紙の張り替え、塗装
- 天井の補修、交換
- 照明の撤去、管球の交換
- 窓、ブラインドの清掃、交換
このように新しく設置したものは撤去する、使用したものは新しくするという工事になります。例えば、オフィス内に新しく給湯室を作ったら、その給水設備と排水設備を撤去しなければなりません。
経年劣化や故意による破損ではなくても、借りた側が修復や交換を行わなければなりません。他にも細かい内容は賃貸借契約書に記載されているので、きちんと確認しましょう。ビルの施設の場合、ビル側が負担してくれる範囲がある場合もあります。
経年劣化に関して、修理の費用などもこちらの記事で詳しくまとめています。こちらも合わせてご参照ください。
原状回復工事の期間
オフィスの原状回復工事はオフィスの大きさや設備によって期間が変わってきますが、必ず契約期間内に終了させなければなりません。手直しなども含めて、解約日までに工事が終了できなかった場合は、日割りで家賃が発生することもあります。
なので、契約期間にあわせて余裕を持ったスケジュールを立てておく必要があります。目安としては、100坪程度のオフィスを原状回復するのに必要な工事期間が1ヶ月程度と考えておきましょう。
また、借りたときの状態と内装をあまり変えていない場合でも、入居時の工事より原状回復工事の方が時間がかかると考えておくと良いです。
オフィス退去は6カ月前から!
オフィスの移転には、余裕をもって6ヵ月以上前から取り掛かりましょう。オフィス移転に関わる業者には繁忙期があり、特に3月〜4月は込み合う時期です。引越し業者を押さえるのも難しく、通常より多くの時間を取られることも考えられます。
ビルなどの管理会社に解約通知をしたら、引越し業者と原状回復工事の施工業者の選定をはじめ、なるべく早く業者と日程を決めていきましょう。
また、スケジュールによって価格も変わってきます。6ヵ月以上前から取り組むことで、スケジュールを調整しやすくなるので、コスト削減にもつながります。
引越し日は遅くても解約日の1ヶ月以上前にしてください。規模が大きければ、さらに期間を空けれるような移転のスケジュールに設定しましょう。
早くから退去に向け、取り掛かることによってコスト削減につながります。他にも、原状回復に関する節約術は、こちらのカテゴリページで詳しく解説しています。ぜひこちらも合わせてご参照ください
具体的なオフィス移転までの流れ
オフィス移転6ヵ月以上前
- 大まかな移転スケジュール作成
- 原状回復工事、敷金、保証金について契約書の内容を確認
- 新オフィスと現オフィスの移転担当を決める
一般的な賃貸オフィスでは、契約解除の連絡を6ヵ月前に伝えるという契約の場合が多いです。契約の内容はオフィスごとに異なりますので、解約通知やその他の手続きについては、必ずオーナーや管理会社に確認しましょう。
そして、この先にもやることはたくさん出てきますので、はじめにスケジュール作成、新オフィス、現オフィスなどそれぞれ分担して担当の人を決めておくとよいでしょう。
オフィス移転6ヵ月前
- 現オフィスの解約予告の提出
- 新オフィスの決定と契約
現在使っているオフィス宛に解約予告を提出します。ここで、退去日が具体的に決まります。立てておいたスケジュールにもきちんと記載しておきましょう。
それと同時に新オフィスを決めて契約までの作業を進めていきましょう。希望のオフィスを見つけるためには、数件のオフィスを内見し、比較することが必要です。まだ時間はありますので、焦らずに条件に合った物件を探しましょう。
オフィス移転5ヵ月前
- 新オフィス の内装施工業者へ依頼・内装などのレイアウト作成
- 現オフィス備品の整理・処分
新オフィスの決定後は、内装・施工業者の選定・依頼を行い、レイアウトの検討や、業者と内装やオフィスデザインの作成を行います。オフィスに詳しい業者見積もりをとるとよいでしょう。
そして現在のオフィスにある備品の整理を行いましょう。不用品の処分は早めに終わらせて、整理しておくことで円滑に引っ越し作業が進められます。
備品を廃棄するときは、行政に粗大ごみとして回収してもらうか、回収業者に依頼しましょう。不用品が多い場合は、回収業者に依頼すると効率的です。オフィスの備品を買い取ってくれる業者もあります。
オフィス移転4ヵ月前
- 新オフィスデザイン決定
- 新規備品の検討
この時期は、新オフィスのデザインを決定し、新規のオフィス備品の検討をはじめましょう。新規備品の購入を検討するときには、全て新しくするのもよいですが、移転前からある備品と新規備品を組み合わせ使用するとコストを削減できます。
オフィス移転3ヵ月前
- 新オフィスへの引っ越し依頼
- 移転スケジュール再作成
- 転居届の提出
- 原状回復工事業者の決定・依頼
引っ越し業者を決定し依頼をしましょう。引っ越し日をもとに、もう一度このタイミングでスケジュールの見直しを行います。移転日まで確定したら郵便局へ転居届も提出します。インターネットからもできますので、確認しておきましょう。
また、新オフィスの配線状況を確認して、今使ってるネット回線で大丈夫なのか、新しく電話回線の工事も行わなければならないのか確認しましょう。希望する数のビジネスフォンを設置できなかったり、ネット回線に不具合が生じたりして、新しいオフィスで仕事に支障がでる恐れがあります。
オフィスでリース品を使用している場合は、リース会社へ移転連絡をします。現オフィスの原状回復工事の依頼と現オフィスの退去準備を進めていきましょう。新しいオフィスでも同じリース品を使用する場合はその旨も伝えなければなりません。
この時期までに原状回復工事の見積もりをもらい、依頼までしておきましょう。
オフィス移転2ヵ月前
- 新オフィス内装・電気設備関連工事開始
- 新しい備品の発注
- 移転挨拶状の用意
- 社員向けのマニュアル作成
新オフィスの内装、電気設備関連の工事をはじめていきます。そして、新しい備品を移転後すぐに使用できるように発注をして備えておきましょう。また、いつもお世話になっている取引先や銀行などに移転の挨拶状を作成し、準備しておきましょう。
社員の方々には、各自荷物の梱包や搬入に関するマニュアルを配布し、引っ越し当日のスケジュールをリスト化しておくとスムーズに作業が進められます。
オフィス移転1ヵ月前
- 新オフィス備品搬入
- 防火対象物使用開始届出書
- 住所変更が必要なもの確認
- 原状回復工事着工
オフィス移転の1ヵ月前には、物品の搬入をはじめていきます。
移転の7日前までに、移転後の管轄消防署に防火対象物使用開始届出書の提出をする必要があります。「防火対象物使用開始届出書」とは消防法施行令別表に表記されている事業が提出する書類です。火災予防条例第56条で定められていますので忘れないようにしましょう。
そして、移転後すぐに差し替えられるように住所変更が必要なものは、まとめて準備しておきましょう。
およそ1ヶ月前に原状回復工事着工します。工事期間の目安は2週間〜1ヶ月です。退去日までに手直しなども含め原状回復工事終了させます。それからオーナーや管理会社の立会いのもと現オフィスを明け渡します。
まとめ
予期せぬトラブルが起こっても柔軟に対応できるよう、退去のスケジュールは余裕をもって立てておきましょう。その他オフィス退去のスケジュールについてわからないことは、お気軽にお問い合わせください。
また、万が一トラブルが起こってしまった際の対処法などを、こちらの記事に詳しく書いてありますので、合わせてご参照ください。