オフィスや賃貸物件を借りて、退去する時に条件に基づいて原状回復をしなければなりません。ではこの「原状回復」はどのような意味を持つのでしょか?
また、似た言葉に「現状回復」「原状復帰」とありますがこの三つにはどのような違いがあるのでしょうか?ややこしすぎる言葉!その違いをこの記事で簡単に解説します!
原状回復の基礎知識はYouTube動画でも解説しています!
原状回復工事の基礎知識に関しましてはウラシコのYouTubeチャネル【ウラシコチャンネル】でも解説しています。この動画では10分でわかりやすく要点をまとめておりますので、ぜひご参照ください。
原状回復ってなに?
「原状」とは元の状態、つまり初めの状態のことです。賃貸物件の契約をする時に、この言葉はよく用いられます。つまり原状回復とは、元の状態に戻すという意味になります。
賃貸物件の契約において、初めの状態とは賃貸契約を結んだ時の物件の状態を指します。そのため、借り主が原状回復の義務を負っている場合、退去する際には初めの状態に戻さなければならない、ということになります。
建物の賃貸借と地上権・土地賃貸借について定めた借地借家法で、入居工事(レイアウト変更)のことを原状変更という理由も、この初めの状態を変更するという意味からきています。
賃貸物件の原状回復義務
ちなみに、居住用物件における原状回復義務の範囲は、故意に傷つけたり不注意で損傷させた部分になります。つまり通常の生活ではつかないような傷や損傷などの修繕費用は借主の負担になってしまいます。
また、年月が経つごとに劣化していくものは「経年劣化」、借主が普通に過ごしていく中で生じてしまう消耗等は「通常損耗」と呼ばれます。借主がどこまで原状回復すればよいのかご存知ですか?こちらで原状回復工事の内容について詳しく解説していますので、是非ご参照下さい。
現状回復とは
結論から申し上げると、賃貸物件の契約等において「現状回復」は間違った言葉になります。「現状」とは今現在の状態のこと。つまり現状回復とは現在の状況に回復させることなので、賃貸契約の場面で使われると意味が通らなくなってしまいます。
そのため賃貸契約の場面では、賃貸契約をした初めの状態に戻すという「原状回復」が用いられます。同音異義なので間違えやすいですが、賃貸物件に関係しているのは「原状回復」とだけ覚えると簡単です。
原状回復と原状復帰の違い
同じように、原状回復と似たような言葉に「原状復帰」というものがあります。同じ「原状」という漢字が使われている言葉ですが、二つに違いはあるのでしょうか?答えを初めに言うと、原状回復も原状復帰も意味に違いはありません。
では、何故同じ意味なのに違う漢字の言葉があるのでしょうか?それは、どちらを使うべきかが場面や業界によって変わってくるからです。
原状回復
広く一般的に使われるのはこちらの「原状回復」です。賃貸の部屋やオフィス、店舗の契約をする際などに使われる言葉です。ちなみに借り主には、退去の際に原状回復が義務付けられています。
また、事業を目的とした物件と居住用の賃貸住宅では、原状回復義務がある範囲が異なります。事業用物件の原状回復はほぼ100%借主が負担しますが、賃貸住宅は特別損耗などの例外を除き貸主が負担します。
原状復帰
「原状復帰」は、建設関係に関わる人が使う業界用語で、原状回復するための行為そのものを表します。言い換えると、元に戻す(原状回復)ために行う行為のことです。
例えば入居者が退去した後、貸主が原状回復業者に「原状復帰の工事をお願いします。」と言う時に使われたりします。
なお、実際に原状回復がどの様な流れで進んでいくかはこちらのページで詳しく解説しております。原状回復工事を依頼することをお考えの方は、こちらも合わせてご参照下さい。
まとめ
今回は「原状回復」「現状回復」「原状復帰」の言葉の違いについて解説しました。似たような言葉でややこしいと思っていた皆さんのモヤモヤは解決しましたでしょうか。
原状回復は原状回復義務の範囲が事業用か賃貸住宅かで変わったり、消耗部分の範囲が曖昧になったりしてトラブルにつながりやすいので注意が必要です。
余計なトラブルを起こさないためにも正しく言葉を理解し、正しい方法で原状回復を行いましょう。
また、こちらのページでは原状回復の基礎知識に関する記事をご紹介しております。原状回復工事での頻出用語の「スケルトン」や「マニフェスト」の意味をご存知ですか?
これらに関して解説している記事もございますので、是非こちらもご参照ください。