解体工事でよく耳にする「はつり工事」一体どのような作業が行われているのでしょうか。はつり工事の概要、よく混同される解体工事との違い、信頼できる斫り工事業者の見分け方を解説します。
目次
はつり工事って何?
「はつり工事」とは、工事現場などでコンクリートやアスファルトを削る、切る、壊す、穴を開けるなどの工事を言います。
「はつり」は漢字で書くと石を切ると言う意味で「斫り」と表示します。この漢字は墓石屋さんの看板等で見かけた時があるのではないでしょうか?近代では石を使った建造物は少なく、コンクリート工事で多く使われる用語になりました。
以前は「はつり工」と呼ばれる専門職人もいましたが、今では高層建築物が増えたため「解体業者」の仕事の一部とされているため「はつり工事」と「解体工事」の区別がわかりづらくなっています。
はつり工事の例
マンション・オフィスビル・住宅・道路に使われるコンクリートやアスファルトを壊すときの一例です。
リフォームによるはつり工事
- 鉄筋コンクリートのマンションであれば、リフォーム等で一部の壁だけを壊し部屋を繋げる
- 玄関ドアの変更や窓を大きくするために必要な部分の壁を削り、形を整える
- トイレやお風呂場の新しい設備に合わせて床や壁を削り、形を整える
舗装の修繕のためのはつり工事
- 舗装された駐車場や道路の現状の舗装を壊し、ひび割れや水たまりができやすい場所、舗装が剥がれている場所等を修復する
仕上げ加工のためのはつり工事
- スロープや階段先のコンクリートの表面を削り、滑りにくい機能やデザイン性を持たせる
- 道路上でのスピード抑制や注意喚起のための溝を作る
はつり工事の種類と道具
はつり工事には重機を使う場合と人力で行う場合の二種類があります。
小規模・細やかな作業が必要な場合
「はつり工事」は室内作業も少なくありません。室内作業は大きな重機の持ち込みや作業スペースの確保が難しい場合が多いので人の手による作業になります。
人の手で作業することにより丁寧に削ったり、穴を開けたりと細やかな作業が可能です。また、重機を使う場合より周囲への騒音が軽減できることもメリットです。
工事の際の道具としては、ホームセンターで見かけたときのある道具です。もちろん業務用ですのでパワーや大きさが異なる場合が多いですが、ハンドカッター・ドリル・ハンマー・ウォータージェット等の持ち運びしやすいものを利用します。
大規模で野外作業な場合
駐車場や道路の舗装工事がこの場合にあたります。人の手ではなく、重機を利用するので「解体工事」と説明する場合もあります。道具としてはパワーショベルにノミと呼ばれる部品を付け、ノミの振動でコンクリートを徐々に削っていきます。
はつり工事と解体工事との違いは何?
はつり工事について解説してきましたが、改めて「解体工事」との違いは何でしょう?解体工事は、コンクリート造か木造に関わらず、建物全体を取り壊す工事のことです。そのため「解体工事」で建物全体を壊すと同時に「はつり工事」を行う場合もあります。
つまり、、、
①コンクリート造か
②建物の一部だけを壊すのか
③人の手による作業なのか
基本的には上記3つの条件を満たしたものが「はつり工事」になるのです。あくまで専門用語なので一般的には「解体工事」の認識で問題はありません。
また、こちらの記事でははつり工事はもちろんのこと、解体工事の原則から日本の解体工事で用いられる工法まで詳しく解説しております。ぜひ合わせてご参照ください。
はつり工事を別記する理由
ここまで読むとはつり工事は解体工事の一部として「解体工事」でいいじゃないか!!という声もあるのではないでしょうか?具体的にはつり工事を別記する理由を解説したいと思います。
はつり工事は職人の手作業
はつり工事はコンクリートを削ったり、壊したりする細かい工事と解説しました。コンクリートが必要以上に割れないように計画しながら、整えなければなりません。
どこまで、どのように削るのか、また鉄筋をどのように取り除くのか職人の経験による技なのです。職人技は単価が高くなります。
スペースが狭い室内や狭所での作業
はつり工事は、重機が入れないような狭いスペースでも、コンクリートの壁や床を壊すことが必要です。既存の設備を傷つけず、効率的に工事を進めるための慎重な作業が必要なので時間がかかります。
騒音が発生する作業
はつり工事は、騒音が伴う工事です。コンクリートを削ろうとすると、音として放出されます。その音が近隣への騒音と繋がります。夜間はもちろん、昼間でも子育て中のご家庭には迷惑をおかけすることになります。
トラブルを防止するために、工事を予定している場合は近隣へのご挨拶をしておくことが大切です。
十分な人員とチームワークが求められる
はつり工事は騒音が出るためなるべく早く終わらせないといけません。しかし、作業スペースは狭いことが多いので十分な人員とチームワークを駆使して施工することが求められます。
職人さんも近隣状況を確認しながら進める
これまで解説したとおり、はつり工事は解体工事の一部の作業と捉えることができると思います。しかし、職人の手作業、騒音を考慮した計画が必要です。
職人の手作業なので、人件費がかかります。また、状況に応じた臨機応変な対応が必要となり、作業期間や作業方法の変更も現場で発生する場合もあります。よってはつり工事は解体工事中でも特に作業期間と金額が大きい部分を占めるので別記している場合が多いのです。
また、工事へのクレームが発生してしまった際の対処法はこちらに詳しく解説されております。ぜひ合わせてご参照ください。
はつり工事の目安金額
では、はつり工事はどれぐらいの費用がかかるのでしょうか?単価の目安として記載します。当然、工事の規模、職人の数、工事内容によって変わってくるので、実際には業者に見積もりを依頼しましょう。
・職人の人件費 18,000円~35,000円 / 日
・ハンドカッター 250円~/ 1平米(作業員の費用やごみ袋処理は別)
はつり工事は追加費用がある?
はつり工事の金額は、規模と職人の数・使用する道具で変わってきます。だったら、追加料金なんて発生しないって思いますよね?しかしそこで問題となるものが、解体後のゴミ(廃棄物)を処分する料金です。
はつり工事で出てくる瓦礫は、一般的なゴミではなく廃棄物として処理しなければならないのです。片付けるためのトラックや職人以外の作業員が働く時間も増えるため、追加料金の請求がある場合があるのです。
そのため、見積もりをした際にゴミの料金が記載してあるか確認する必要があります。工事前は安い見積もりでも、工事が終わった後に追加料金を請求される場合もあります。
信頼できるはつり工事業者とは?
廃棄物の処理金額を明示してくれる業者
追加料金がかからないようにゴミ(廃棄物)の見積もりもしてくれる業者を探しましょう。しっかりと、コンクリートの廃棄にかかる料金も見積もりに参入してもらいましょう。
詳細な打ち合わせをしてくれる業者
はつり工事は予想よりも作業が難航することがあります。見た目や図面だけでは分かりづらい鉄筋の数にも影響を受けるからです。例えば、コンクリートの壁をを削ってみると予想外のところに鉄筋が入っていて、計画通りに進まず、日数がかかり、そのぶん人件費など膨らむということも…。
はつり工事は費用が高くなることがあるので、見積内容と予測される追加料金の打ち合わせをしっかり説明してくれる業者を選びましょう。
近隣へ配慮してくれる業者
はつり工事は、周辺への騒音の配慮が必要です。周辺住民の方の要望や配慮を怠らないように努めてくれる業者を選びましょう。
まとめ
はつり工事や解体工事の違いを知ることができたでしょうか?また、今回ご紹介した信頼できるはつり業者を見つけるポイントをおさらいして、信頼できる良いはつり業者を見つけてみてください。
また、信頼できる解体業者の選び方は、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ合わせてご参照ください。