内装解体工事を行う際には、工事前や工事後などに必要な書類届出や行政手続きが多くあります。届出を怠ると罰則が科せられます。後から知らなかったと言っても許されません。そうならないように、この記事を読んで内装解体工事で必要な各種手続きや行政手続きについて理解を深めておきましょう。
特に、賃貸オフィスの原状回復は行程が多い作業です。オフィスの原状回復で必要な工事、手続き、行政処理はこちらの記事でまとめていますので、ぜひ合わせてご参考ください。
目次
建設リサイクル法について
まずは、解体工事の行政手続きの基本となる建設リサイクル法の概要を抑えておきましょう。建設リサイクル法とは、「建設工事に係る資源の再資源化等に関する法律」の略称です。この法律は特定建築資材の分別解体や特定建設資材廃棄物のリサイクル促進を目的に制定されたものです。
建築リサイクル法の対象となる建物の解体工事を行う際には、工事を行う7日前までに、各都道府県知事に届出しなくてはなりません。この届出は原則として依頼主が行います。しかし、解体業者が代理で行ってくれる場合もあります。後ほど詳しく解説します。
建築リサイクル法の対象となる解体工事
床面積80平米以上の建築物の解体工事、工事費用が500万円以上の解体工事が対象となります。ただし、特定建設資材(コンクリート、木材、アスファルトなど)を用いた建築物の解体工事であることが前提です。
特定建築資材の対象
・コンクリート
・コンクリートおよび鉄からなる建設資材
・木材
・アスファルトコンクリート
特定建築資材廃棄物の対象
・コンクリート塊
・建設発生木材
・アスファルトコンクリート塊
内装解体で必要な届出や手続き
1.届出書
2.分別解体等の計画等
3.付近見取図
4.対象建築物の写真(平面図等があるものは図面でも良い)
5.解体工事業の登録又は建設業法の許可を受けた書類の写し
6.工程表(届出書の「工程の概要」欄内に記入しきれない場合)
7.委任状(代理者が届け出る場合)
8.道路使用許可
9.ライフラインの停止
10.アスベスト解体工事の届出
これらが主に必要な書類です。以下詳しく説明します。
1.解体届出書
工事を行う物件が属する地域の都道府県知事へ提出する届出書です。依頼主が作成し提出します。届出書の内容は工事の概要や元請業者、工程表などについて記載します。
2.分別解体等の計画等
1の届出書の別表として提出する書類です。この書類では、建物の構造、建物の状況、石綿の有無、分別作業の場所や搬出経路の確保または必要な許可の届出の有無等、工程ごとの解体方法、廃棄物発生見込み量といった内容を記載します。
分別解体等の計画では、専門知識が不可欠な項目のため一般的に業者が書いてくれます。
6.工程表(届出書の「工程の概要」欄内に記入しきれない場合)
それぞれの作業工程の具体的な日程を明らかにするものです。届出書の「工程の概要」欄内に記入しきれない場合別表で提出します。
7.委任状(代理者が届け出る場合)
届出書の提出は原則依頼主が行いますが、解体業者が代理で行ってくれることがあります。その場合、解体業者に対して委任状が必要になります。
1~7までの書類の手続き方法
手続きの義務を負う人:依頼者
手続きをする場所:各自治体の管轄部署
期日:工事着手の7日前まで
8.道路使用許可
解体工事中、敷地が狭く道路上に作業用車両や資材用車両を停めることになった場合に、管轄の警察署長に道路使用許可を申請する必要があります。解体工事を行う敷地内に車両が入るスペースがあれば申請は不要です。
手続き方法
手続きの義務を負う人:解体業者
手続きをする場所:管轄の警察署
期日:工事着手の約2週間前まで(地域により異なる)
9.ライフラインの停止
解体工事期間中は、ガスや電気、電話やインターネットなどのライフラインの停止や撤去が必要です。これらのライフライン停止の申請を怠ると工事中のトラブルにつながる可能性があります。
各担当の窓口に電話をして、いつから停止して欲しいのかを伝えておきましょう。(提出書類は特にありません)注意点として、水道は解体業者が工事の際に使うことがあるので、停止する前に業者の方に確認しておきましょう。
手続き方法
手続きをする人:依頼者
期日:約2週間前まで(最低でも工事開始の7日前)
10.アスベスト解体工事の届出
アスベストを含む建物の解体を行う際には、大気汚染防止法や建築リサイクル法、労働安全衛生法などにより事前の届出が必要です。アスベストはその発塵性によってレベル1~3に分類されています。レベルによって提出すべき届出や提出先が異なるので注意しましょう。
レベル1:吹き付け石綿
レベル2:耐火被覆板(ケイカル板2種)・断熱材(煙突、屋根折板)・保温材
レベル3:スレート・石綿含有岩綿吸音板・Pタイル・ケイカル板1種・サイジング・石綿セメント板
レベル1 | レベル2 | レベル3 | |
工事計画届 | ○ (耐火/準耐火建築 物の除去作業) |
ー | ー |
特定粉じん排出等作業届書 | ○ (除去/封じ込め/ 囲い込み作業) |
○ (除去/封じ込め/ 囲い込み作業) |
ー |
事前届出の実施 | ○ (特定建設資材への付着した吹付け石綿等の有無や除去等 の措置、その他計画届けについて届出書に記載) |
||
建築物解体等作業届 | ○ (封じ込め/囲い込 み及び耐火/準耐火 建築物以外の除去 作業) |
○ (除去/封じ込め/ 囲い込み作業) |
ー |
石綿を含有する建築物の解体等に係る届出について(厚生労働省)
解体業者との連携方法
内装解体工事をトラブルなくスムーズに進めていくためには、業者との連携が大切です。ここまで説明してきたように、内装解体工事では必要や書類届け出や行政手続きが多くあります。
手続きの義務は、依頼主だけでなく解体業者にもあります。どの書類を誰が提出しなければならないのか業者との間で細かく確認をしながら進めていきましょう。
信頼できる解体業者の選び方は、こちらの記事でも詳しく解説しています。こちらも合わせてご参照ください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。内装解体工事には様々な届出や手続きが必要になります。申請を怠ったり忘れると罰則を科されてしまうだけでなく、工事を中断しなければならなくなる可能性もあります。
トラブルにならないように、解体業者としっかり連携をとって余裕を持ったスケジュールで手続きを行いましょう。手続きの仕方が分からなかったり困ったことがあれば、専門知識を持った私たちに気軽にご相談ください。
また、原状回復に関する行政手続きや書類作成方法はこちらのカテゴリページで詳しく解説しています。ぜひこちらも合わせてご参照ください。