テナントを退去する際の内装解体では「下水道」の処理を行わなければなりません。この処理の方法についてよく分からず悩む方は多いと思います。
そこでこの記事では、内装解体の際の下水道の対処法について自治体との手続きや工事の手順について分かりやすく解説します。
原状回復全体の流れやスケジュール感に関しましては、こちらの記事で詳しく解説しています。こちらの記事も合わせてご参照ください。
目次
下水道とは
下水道とは、公共下水道を使用して排水処理を行う設備のことを言います。
下水道は、家の前の道路に埋設されている下水道本管に住宅敷地内の排水管をつなげて使用しています。下水道本管に排水された水は市町村が管理している排水の「終末処理場」に集められ、処理されています。
工事の手順
では具体的に内装解体の際の下水道工事の手順を以下簡単に説明します。
①自治体との手続き
②キャップ止めを使用する
③接続ますの確認
それぞれの手順について詳しく解説していきます。
下水道工事の際の自治体との手続き
実際に、内装解体の際に下水道処理を行う前に自治体との手続きがいくつか必要になるので以下一つずつ解説していきます。
下水道使用休止届を提出する
解体工事を行う前に、必ず「下水道使用休止届」を下水道管理をしている自治体に提出しましょう。休止届を提出しないでいると、解体後に水道を利用する場合、下水道使用料が発生し、水道料金と供に請求されることになるので、注意しておきましょう。
下水道使用休止届の提出が必要なのは、下水道に繋がっている建物の解体などを行う場合のみです。
自治体との打ち合わせ
下水道に繋がっている建物の解体工事を行う際には、下水道の取り扱いについて自治体との打ち合わせをする必要があります。下水道をそのまま残すのか撤去するのかは解体業者だけで判断できず、自治体との連携が必要です。
下水道と撤去することになった場合、専門知識やスキルを持った指定業者に作業を依頼します。
キャップ止めを使用する
下水道を残す際には、内装解体の工事を行う前に閉栓を行わなければなりません。その方法として、キャップ止めを使用して下水道本管への流れを止めます。
キャップ止めを使用せず、不適切な方法で撤去工事を行うと下水道管を詰まらせたり、雨水などを流入させてしまうことになります。
こういったトラブルが発生してしまうと、追加で費用を請求されてしまう可能性があるので注意しておきましょう。
接続ますの確認
解体工事を行う際に、建物が接続ますに接続されているかどうかを確認する必要があります。接続ますとは、建物から排出される排水を受け止める場所のことです。
接続ますだけでなく、雨水をためておく雨水ますや汚水をためる汚水ますなどもあります。これらのますの全てが合流する最終ますのことを「公共汚水マス」と言います。
建物によってこの接続ますに接続している場合としていない場合があります。それぞれの場合の提出書類を以下まとめています。
接続ますに未接続の場合
・解体建物の位置図(公共ますの位置を明示)
・解体前と解体後の公共ますを含む現況写真(同じアングルで)
接続ますに接続している場合
・公共下水道使用開始(休止・廃止)届出書
・解体前と解体後の公共ますを含む現況写真(同じアングルで)
・キャップ止めの現況写真
公共ますの撤去を行う場合
解体工事の際に公共汚水ますの撤去を行う場合は、町の管理している下水道課に公共汚水ます撤去申請書を提出する必要があります。
解体工事で汚水が発生した時
解体工事を行っている時にはどうしても汚水が発生してしまうことがあります。汚水が発生してしまった時の対処法を解説します。
排水処理施設を利用する
具体的には中和設備や沈殿槽などの除外設備を設置することで汚水を綺麗にする方法です。
専門業者に処分してもらう
汚水が少量の場合は、廃液として専門業者に委託すると処分してくれることがあります。
しかし、解体業者によって汚水の対処法が異なるのであらかじめ汚水発生時の対処法については業者の方に確認しておきましょう。
汚水の発生を減らす
汚水の発生を完全になくすことは難しいかもしれませが、発生の量を少しでも減らす工夫をすることで処理が楽になります。その工夫としては以下のような点が挙げられます。
- 著しく濁った汚水や強いアルカリ水が発生しない工法を採用する。
- 粉じん飛散防止のための散水は、粉じんの湿し水とし適切に行う。
- 汚水が発生する工事の業者に対して、汚水の取扱について周知徹底する。
これらの工夫を行うことで、汚水の発生を最小限に抑えることに繋がります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。内装解体の際の下水道の対処法について説明しました。下水道の対処は解体業者とのやりとりだけでなく自治体との連携が必要になります。
下水道の取り扱いは、間違えた方法で行うとトラブルの発生に繋がるので専門の知識を持った方に頼ることをオススメします。困っている方々はまずお気軽にご相談ください。
原状回復に関する行政手続きや書類作成方法はこちらのカテゴリページで詳しく解説しています。ぜひこちらも合わせてご参照ください。