従来、店舗や事務所の建築には鋼製の材料を使う軽天工事がよく使われています。さらにプラスターボードなど新しい素材の発明から一般住宅でも使われるようになりました。
今回は建築工事や解体工事でよく混同される「LGS」と「軽天」の違いを解説します。建設工事や解体工事で頻出する基本用語になりますので、この機会にしっかりと覚えておきましょう。
また、解体工事でこれだけは覚えておきたい!という用語をまとめていますので、こちらも合わせてご確認ください。
目次
LGS(ライトゲージスチール)とは?
LGS(エルジーエス)は、ライトゲージスチール(Light Gauge Steel)を省略した言葉で、直訳すると軽い規格の鋼です。建物の壁や天井の元となる下地材で、枠組みを作る棒状の部材の軽量鉄骨の中の1つです。LGSで枠組みを作り、石膏ボード(PB)を貼り、塗装をすると壁や天井が出来上がります。
LGSは厳密には軽量鉄骨のことですが、工事業者の間では枠組みそのものを指す言葉として使われていたり、単純に「壁」を指す言葉として使われることもあります。
軽天(けいてん)とは?
軽天(けいてん)は軽量天井下地を省略した言葉です。軽量天井下地とは、上述のLGSで作られた壁や天井の下地(枠組み)のことで、店舗や事務所から一般住宅まで幅広く使われています。
この枠組みを作る工事を「軽天工事」や「LGS工事」と呼び、軽天工事やLGS工事に使われる材料を「軽天」や「LGS」と呼ぶのです。少しややこしくなってきましたね。
LGSと軽天は同じ?
本来LGSは材料のことで、軽天は壁や天井の枠組みのことですが、工事業者の中では「LGS」も「軽天」も同じ軽量鉄骨を指す言葉として使われています。
他にも上述の枠組みを「LGS」と言ったり、枠組みを作る工事を省略して「軽天」と言うこともあります。使われる状況により、何を指している言葉なのか変わってくるのです。また軽量鉄骨を「軽鉄(けいてつ)」と記載することもあり、見積書では「LGS」「軽天」「軽鉄」は全て同じ意味として使われています。
なお、ビルや建物の建築に使われる鉄骨や鉄筋には、さらにたくさんの種類があります。こちらの記事で網羅していますので、こちらも合わせてご参照ください。
LGSのメリットとデメリット
LGSの特徴である軽い鋼は以下のメリットとデメリットが存在します。木材と比べると違いがはっきりしやすいですね。
メリット
- 曲がったり湿気による変動があまりなく安定している
- 耐火性能が高いためキッチン周りに重宝される
- 軽量なため搬入が容易でR曲げなどの加工にも向いている
デメリット
- 部分的に削ることができないので微調整には向いていない
- 切断で丸ノコを使用すると火花が出るため場所を選ぶ必要がある
一緒に覚えておきたい:PB(プラスターボード)とは?
「LGS・PB工事」のようにLGSと一緒に「PB」が使われることがあります。PBとはプラスターボードを省略した言葉で、石膏ボードとも言われ、石膏プラスターという素材を板状にし、表面を特殊な紙で仕上げた材料です。
上述の軽天にプラスターボードを固定し、クロス等を張ると壁が出来上がることから一緒に使われていることがあるのです。ちなみに「LGS/PB工事」は「軽天工事」と同じ意味で使われています。
LGSと軽天(けいてん)の解体手順
LGS(軽天)を解体する場合、まずはPB(プラスターボード)の引き剥がしから行います。基本的に、バールなどを用いて人力で行われます。PBの引き剥がしが完了したあとは、むき出しとなった鉄骨部分を金属切断用の丸のこなどで切断して除去します。
まとめ
解体工事の見積書の中では「LGS」「軽天」「軽鉄」は同じものを指す言葉として使われます。しかし使われる状況によっては、工事そのものを指す言葉として使われる場合もあるので、注意が必要です。
また、軽天、LGSを含む、鉄骨の溶断解体の業者の選び方はこちらで詳しく解説しています。こちらも合わせてご参照ください。