解体工事を依頼する際に本当に信頼できる業者を見極めるために必要なポイントとして、資格や許認可を保有しているかどうかがあります。
悪徳業者に依頼して、法外な工事代金を請求されたり、お金だけだまし取られたりする危険を減らすためにも、抑えておくべきポイントをしっかりと確認しましょう。
解体工事では、残念ながら”悪徳業者”も数多く存在します。「壊せば終わり」と考えている業者には要注意です!こちらのページでは解体工事でよく起こるトラブルや、悪徳業者の手口、対処法、優良業者の選び方を体形的にまとめています。ぜひこちらもご覧ください。
目次
解体工事を受ける際に必要な許可・登録
解体工事を請け負うには、「解体事業者の登録」または「建設業許可」が必要になります。解体工事費用の金額が500万円を超える場合には「建設業許可」が必要になりますが、500万円未満の場合には「解体事業者の登録」でも問題ありません。それぞれについて、どのような違いがあるのか詳しく説明していきます。
解体事業者の登録
「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)」により、解体工事費用が税込500万円未満で、事務所を構えている(登録を行っている)県内の解体工事に限り登録を行っていれば、解体工事を請け負うことができるとされています。
各都道府県に向けて申請することになるため、万一他の都道府県の工事を行う場合には、その都道府県で別途申請が必要になります。小規模な解体専門業者が多く登録しています。5年ごとの更新が必要になります。
<申請のための条件>
・技術管理者がいること
技術管理者とは、現場を管理し、現場の安全を守る責任者のことです。技術管理者になるためには建築士や建設機械施工技士、土木施工管理技士などの国家資格の保持、一定期間以上の実務経験があるなどの要件があります。
実務経験の年数については、大学や高等専門学校で土木工学等に関する学科を終了しているか否か、解体工事施工技術講習を受講しているかどうかで変わります。さらに、都道府県によっては、別途講習の受講を義務付けているところもあります。
・欠格要件に該当しない
以下のような欠格要件に該当しないことが求められます。
解体工事業の登録取り消しから2年未満である
業務停止命令期間が経過していない
建設リサイクル法で罰金刑以上の違反を犯してから2年未満である
虚偽の申請を行なっている
など
建設業許可
建設業許可は、建設業法で定められた「建設工事を請け負うための許可」のことで、全部で29種類あります。解体工事を行う場合には「解体工事業」と、「土木一式工事」、「建築一式工事」、「とび・コンクリート工事業」のいずれか一つが必要になります。
工事金額の上限や工事現場の制限はないですが、有効期限が5年間ですので、5年ごとに申請しなければなりません。また、許可手数料、登録免許税が必要になります。
<申請のための条件>
①管理責任者としての経験があること
管理責任者とは、経理や従業員のシフト管理など経営に関する実務経験がある人のことで、建設業許可を得るためには、許可を得ようとする業種で経営の実績が5年以上あること、または許可を受けようとする業種以外の業種で6年以上経営の経験があることが条件になります。
②専任技術者が営業所ごとに常駐していること
専任技術者とは、依頼者と工事の内容を相談し、見積書の作成や交渉、契約を行う専門知識や経験を持つ人のことです。専任技術者になるには、指定の資格を持っていることと一定期間以上の実務経験を積んでいることが求められます。
③欠格要件に該当しないこと
以下のような欠格要件に該当しないことが求められます。
・過去に許可を取り消されてから5年が経過していない
・禁錮以上の刑の執行を終えたか、または刑の執行を受けることが無くなった日から5年が経過しない
など
④営業するための資金が十分にあること
工事の着工には、それだけでかなりの費用が掛かるため、一定の資金を確保していなければ、事業として継続させることができません。そのため、資本金や資金調達能力がきちんとしているかどうかがチェックされます。
⑤請負契約に関して誠実性があること
申請を行う法人や事業主などが不正または不誠実な行為をする恐れがないことになりますが、過去に請負契約の締結や履行について、詐欺、脅迫、横領などの違法行為がなかったかどうか、工事内容や工期などについて請負契約に違反する行為を行ったことがないかどうかで判断されることになります。
解体工事の中で行う作業に必要な資格
解体工事を請け負うだけであれば、前述の資格を有していれば問題ないですが、実際に工事を行う上で必要になる資格がいくつかあります。ここでは、4つ紹介します。
産業廃棄物収集運搬業許可
解体作業では、多くの廃棄物が出ますが、これは一般ごみとして処分できるわけではありません。産業廃棄物として、しかるべき分別を行った後で、適切な方法で処分しなければなりません。
その際に、処分場まで運搬する必要がありますが、この運搬を行うためには「産業廃棄物収集運搬業許可」が必要になります。申請は、各自治体に行うことになります。
この許可がない場合には、資格を有している別の業者に運搬を依頼することになり、その分解体費用が余計にかかります。
また、この許可を得ずに運搬を行ったり、許可を有していても違法な処分を行ったりした場合には、当該業者が罰せられるだけでなく、工事の依頼者の責任も問われることになる可能性もあります。
足場の組立て等作業主任者
大きな建物の解体の時には足場を組んで作業することになりますが、高さ5m以上の足場を組むときには「足場の組立て等作業主任者」という資格を有している人が作業に従事しなければならないという決まりがあります。
この資格を得るには、一定期間以上の実務経験があることや、高校や大学などで土木や建築に関する学科で学んだ経験があるなどの条件を満たし、かつ作業主任者になるための講習を受け修了試験に合格する必要があります。
足場の組み立て以外にも、コンクリート造の工作物の解体や建築物等の鉄骨の組み立て、ガス溶接作業などについても作業主任者が必要になります。
石綿作業主任者
古くに建てられた建築物には、アスベスト(石綿)が使用されていることがありますが、アスベストが使用されている建物の解体を行うには、アスベスト除去のための特殊な工事が必要になります。
その工事に必要となるのが、「石綿作業主任者」です。大気汚染防止法に則り書類を作成したり、作業前に労働基準監督署に申請を出したり、その仕事は技術的なところのみならず、事務的なところにまで及びます。
講習を受講したのち修了試験に合格すれば資格を得ることができますが、実際に作業を行う場合には、石綿作業主任者以外の作業員も「石綿取扱い作業従事者特別教育」を受講するとともに、特殊健康診断を実施なければならないとされています。
クレーンなど重機の免許
車を運転する場合には、その車の大きさによって普通、中型、大型の免許が必要になりますが、それと同じように、解体現場などでクレーンをはじめとした大型の重機を操縦・運転するときには、それぞれにあわせた免許や資格が必要になることがあります。
まとめ
今回は、解体工事を依頼するときにきちんとした業者を見極めるためのポイントとして、解体業を営む際に必要となる資格や許認可について紹介しました。
少し専門的な内容が多くなってしまいましたが、紹介したような資格や許認可を持っているかどうかを確認するだけでも十分大切ですので、名前だけでも覚えておきましょう!
また、後半に紹介した資格に関しては、所有していない場合も考えられますので注意しましょうね。
私達にご依頼いただいた場合のお問い合わせから工事完了までの一連の流れについてはこちらのページで詳しく解説しています。ぜひこちらも合わせてご参照ください。