名古屋市での解体工事を行った場合、条件によっては補助金・助成金が出ることについてはご存じでしょうか。住宅解体補助金に関する補助金・助成金には主に2種類あり、それぞれ仕組みや手続きなども異なります。
申請に必要な書類も数が多く、申請時に書類が足りないなんてことも起こり得ます。解体工事の着工前の注意点もございますので、この記事では補助金・助成金を受け取るための条件や申請方法などについて簡単にお伝えしていきます。
解体工事では、残念ながら”悪徳業者”も数多く存在します。「壊せば終わり」と考えている業者には要注意です!こちらのページでは解体工事でよく起こるトラブルや、悪徳業者の手口、対処法、優良業者の選び方を体形的にまとめています。ぜひこちらもご覧ください。
目次
名古屋市の解体工事に関する補助金・助成金の種類
現在、名古屋市で申請できる解体工事の補助金・助成金は以下の2つです。それぞれについて詳しく解説していきます。
①老朽木造住宅除去助成
②老朽危険空家等除去費補助金
①老朽木造住宅除去助成
老朽木造住宅除去助成とは、都市計画マスタープランに沿った制度であり、名古屋市における居住環境と防災性の向上を図ることを目的とした助成金です。延焼の危険性などが高い老朽化した木造住宅が密集したエリアが対象となっています。
対象区域は中村区、昭和区・瑞穂区、中川区、南区の条件に当てはまる区域のみとなっているので、詳しくは名古屋市の公式サイトでご確認いただければと思います。
老朽木造住宅除去助成の対象物件となる条件
①昭和56年5月31日以前に着工された木造住宅(登記事項証明書等に居宅・共同住宅の記載があるもの)
②現に居住の用に供しているもの又は申請日前1年以内に居住の用に供していたもの
③すでに耐震診断を実施している場合は、判定値が1.0未満又は得点が80点未満と判定されたもの(ただし、耐震による補助金等を受けているものを除く)
引用元:名古屋市ホームページ
ここで特に重要となるのは「いつ建てられたのか、また木造住宅なのか」「1年以内に居住用として利用していたのか」ということです。3つ目に記載のある耐震診断については行っていなくても受給資格には影響はありません。
まずはその住宅が「いつ建てられたのか、また木造住宅なのか」を確認しましょう。着工日については、新築工事の際にもらった「確認済証」または「検査済証」を確認すると記載してあります。木造住宅かどうかについても「確認済証」または「検査済証」で確認できます。
登記事項証明書については法務局で受け取ることが可能です。書面に「居宅」と「共同住宅」の記載があれば問題ありません。これらの内容が上記の①に該当するのかを確認しましょう。
次に「1年以内に居住用として利用していたのか」を確認します。申請時点でも継続して居住していればお分かりかとは思いますが、万が一心配な場合は「住民票」をご覧になっていただければ「現住所を定めた日」を確認することができます。
老朽木造住宅除去助成金の対象者について
助成金を申請するにあたり、下記の条件をすべて満たしている方が対象となります。(暴力団員や反社会的勢力の方は対象外となりますので注意してください)
①対象住宅の所有者
②名古屋市の固定資産税および都市計画税を滞納していない者
引用元:名古屋市ホームページ
①については、共同所有者になっている場合は「全員の同意が必要」となるため、あらかじめ登記事項証明書で内容を確認してください。
老朽木造住宅除去助成金の助成額
金額については上限額が40万円となっていますが、以下の内容のうち「低い金額」の3分の1を助成金として受け取れます。
①対象住宅解体時の解体業者の見積もり金額
②対象住宅の延床面積に1平方メートル当たり9,600円を乗じた金額
例:対象住宅の延床面積が100平方メートルの場合
①解体業者の見積もり金額が110万円 ②100(㎡)×9600円=96万円 ①と②を比較すると②の方が低い金額であるため、 96万円×3分の1=32万円 を助成金として受け取ることができます。 |
引用元:名古屋市ホームページ
老朽木造住宅除去助成金の手続きの流れ
以下が「老朽木造住宅除去助成」の手続きの基本的な流れとなります。
①事前相談→②交付申請→③交付の決定→④契約・解体(交付決定前に着工しないこと)→⑤完了報告→⑥助成金の確定→⑦助成金の請求→➇助成金の交付
事前相談から交付の決定まで
「老朽木造住宅除去助成」についての事前相談の窓口については名古屋市役所の「住宅都市局 都市整備部 市街地整備課 総括係」となります。特に事前相談から交付申請にかけて、「必要書類の準備」が重要になってきます。交付申請書に加えて、必要な書類は以下の通りです。
必要書類は多いため、チェックシートなどを用意し、一つ一つ確認しながらご準備されることをオススメします。これらの書類を用意・申請後、審査を行い交付されるかどうかが判断されます。交付申請は「1月末日まで」となりますので覚えておいてください。
□ | ①位置図 |
□ | ②配置図 |
□ | ③現地写真 |
□ | ④登記事項証明書(発行から3ヵ月以内)の写し又は固定資産税、都市計画税の課税明細書の写し(甲府申請日が直近のものに限る) |
□ | ⑤解体工事の見積書の写し |
□ | ⑥固定資産税及び都市計画税に関する納税証明書・領収書等(前年度から申請年度まで)の写し |
□ | ⑦権利者が複数存在する場合は、該当する権利者全員の同意書 |
□ | ⑧現在又は1年以内に住んでいたことが確認できる書類の写し(住民票など) |
□ | ⑨その他必要と言われた書類など(事前相談時にご確認ください) |
事前相談から交付の決定までの注意事項
ここでさらに注意いただきたいことが、「必ず助成金の交付が決定した後に着工すること」です。交付が決定する前に工事を開始してしまうと助成対象外となってしまうため、事前に解体業者に「助成金を申請していること」を伝え、交付が決定した後に着工するように伝えておきましょう。
契約・解体
上記の注意点に記載の通り、必ず交付の決定通知書を受け取ってから、着工するようにしましょう。工事内容に大きな変更がある場合は変更申請書の提出が必要となりますが、変更がない限りは特に特別な書類の提出は不要です。
完了報告
解体工事が完了しましたら、「完了届」を提出します。こちらは「2月末日まで」の提出期限となりますのでご注意ください。「完了届」と合わせて以下の書類が必要となりますので、ご準備ください。
□ | ①解体工事に関する契約書の写し等 |
□ | ②解体工事に関する領収書の写し |
□ | ③請求金額の明細が確認できるもの |
□ | ④解体工事完了時の写真(トラブル回避のため、全行程ごとの写真を依頼することをオススメします) |
□ | ⑤工事にかかる資材の再資源化等に関する法律による届出の写しまたは受領書の写し(必要な場合のみ) |
領収書も必要となりますので、解体工事に関する支払い関係も済ませておく必要があります。支払い方法によっては領収書を別途発行する必要がある場合がありますので、なるべく早期での支払いを行い、時間に余裕をもって行動しましょう。
また、上記の通り、解体工事を行う際、万が一トラブルが起きたときのために「解体工事の全行程ごとの写真」を撮影していただくように解体業者に依頼していただくことをオススメします。
助成金の確定から交付まで
完了報告後に何も問題がなければ助成金の確定通知書が発行されます。確定通知書をもとに「助成金の請求」を行います。請求書を名古屋市役所に提出後、不備がなければ数日後に助成金が指定口座に振り込まれます。
②老朽危険空家等除去費補助金
名古屋市にて空家等対策を推進していくため、老朽化がひどく周囲に危険を及ぼしている空き家等の解体にかかる費用の一部を補助する制度を「老朽危険空家等除去費補助金」と言います。すべての空き家が対象となるわけではなく、すぐにでも崩れてしまいそうな、周囲への危険があるものに限ります。
老朽危険空家等除去費補助金の対象物件となる条件
対象となる物件は以下の条件に当てはまるものに限ります。老朽危険空家等の評価表によって判断されますが、非常に危険性が高い状態の空き家でないと承認されない可能性が高いです。
①「老朽危険空家等の評価」表による評価が75点以上である特定空家等が対象。(名古屋市職員が現地調査により評価)
②補助金の交付決定前に着手した工事は対象外。
③補助金の交付決定があった日の属する年度の2月末日までに、工事が完了し、書類提出等のすべての手続きが完了する必要あり。
④その他、要綱に記載すること。
引用元:名古屋市ホームページ
老朽危険空家等除去費補助金の対象者
補助金を申請できるのは、以下の条件をすべて満たしている方になります。
①対象空き家の所有者又は所有者の同意を得た者。(所有者が複数いる場合は全員の同意が必要)
②名古屋市の市税を滞納していないこと。
③その他、要綱に記載する要件を満たしていること。
暴力団員など反社会的勢力の方は対象外となります。また、対象空き家について所有者が複数いる場合、「全員の同意が必要」となりますので、事前にご確認ください。
老朽危険空家等除去費補助金の金額について
老朽危険空家等除去費補助金については、現地の調査結果の評点によって限度額が変わります。内容は以下の通りです。
①調査の結果、評点が75点以上の場合、除去工事費の3分の1を補助する(最大40万円)
②調査の結果、評点が125点以上の場合、除去工事費の3分の2を補助する(最大80万円)
建物の基礎や、屋根、外壁などの状態が悪いほど評点が高くなりますので、補助金の金額も大きくなります。
例:解体工事費が110万円の場合
①評点が75点以上の場合:110万円×3分の1=約36万円 ②評点が125点以上の場合:110万円×3分の2=約72万円 となります。 |
老朽危険空家等除去費補助金の手続きの流れ
以下が「老朽危険空家等除去補助金」の手続きの基本的な流れとなります。
①事前相談→②職員による現地調査→③補助金交付申請→④交付の決定→⑤契約・工事→⑥実績報告→⑦補助金の請求→➇補助金の交付
事前相談から補助金の交付までの流れをしっかり把握し、手続きを進めていきましょう。それぞれの段階での必要書類も多いため、順を追って説明していきます。
事前相談から交付の決定まで
状況によっては事前相談を行い、職員による現地調査を行うまでに数週間から2.3か月ほどかかる場合がありますので、補助金申請の手続きをする場合は早急に行動しましょう。以下の書類が必要となりますので、ご準備ください。
□ | ①事業計画書 |
□ | ②位置図 |
□ | ③劣化や破損の状況が分かる写真(現地調査立ち合い時に撮影しておきましょう) |
□ | ④見積書 |
□ | ⑤市税の滞納がないことを証明するもの |
□ | ⑥権利者全員の同意書(請者以外に権利者が存在する場合) |
□ | ⑦その他必要と認められた書類 |
事前相談から交付の決定までの注意事項
ここでも注意いただきたいことが、「必ず補助金の交付が決定した後に着工すること」です。交付が決定する前に工事を開始してしまうと補助の対象外となってしまうため、事前に解体業者に「補助金を申請していること」をお伝えし、交付が決定した後に着工していただくように伝えておきましょう。
契約・工事について
老朽危険空家等除去補助金も上記の注意点に記載の通り、必ず交付の決定通知書を受け取ってから、着工するようにしましょう。
解体工事については、近隣への騒音や振動などが激しくなるため、トラブルに発展する可能性があります。トラブル回避のため、近隣住民への挨拶・説明などは必ず済ませておきましょう。
実績報告について
解体工事が完了しましたら、20日以内に「工事完了実績報告書」を提出します。年度末については「2月末日まで」の提出期限となりますのでご注意ください。「工事完了実績報告書」と合わせて以下の書類が必要となりますので、ご準備ください。
□ | ①解体工事業者に支払いを完了したことが確認できる書類(領収書等) |
□ | ②2方向以上から撮影した解体完了後の写真 |
□ | ③廃棄物を適正に処理したことを証明する写真 |
□ | ④その他、必要と認められた書類 |
解体工事業者に支払いを完了したことが確認できる書類、いわゆる「領収書」も必要となりますので、解体工事に関する支払い関係も済ませておく必要があります。支払い方法によっては領収書を別途発行する必要がある場合がありますので、なるべく早期での支払いを行い、時間に余裕をもって行動しましょう。
また、上記の通り、解体工事を行った際の写真については「2方向以上」から撮影を行っておきましょう。「廃棄物を適正に処理したことを証明する写真」については、解体工事を始める際に前もって解体業者に依頼しておきましょう。
補助金の請求から交付について
「工事完了実績報告書」を提出し、補助金が確定したら「補助金確定通知書」がお手元に届きます。通知書が届きましたら、所定の請求書にて補助金の請求を行います。提出後、問題がなければ補助金が交付されますので、これで手続きはすべて完了となります。
解体工事では補助金をうまく活用しましょう
以上が名古屋市の解体工事の補助金・助成金の申請から受け取りまでのおおまかな流れとなります。おそらく一番手間がかかるのはそれぞれの申請の段階ごとに多くの必要書類を用意しなければならないことだと思います。
わからないことは名古屋市役所の窓口に相談をしながら、時間に余裕をもって期日までに手続きを進めて頂けたらと思います。
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