「店舗・オフィスの原状回復でよくあるトラブルってなんなんだろう」
「店舗・オフィスの原状回復のトラブルを回避する方法を知りたい」
このように、店舗・オフィスの退去時に貸主と良好な関係で終わらせたいと考えている、オーナーの方は多いのではないでしょうか。この記事では、店舗・オフィスの原状回復で頻繁に起こるトラブルの事例と、トラブルの回避方法を解説していきます。
原状回復は、厳格なルールがないため、貸主と借主の間でトラブルに発展してしまうケースが多いです。貸主と原状回復をめぐるトラブルが長引いてしまうと、裁判沙汰になってしまうケースも。不必要なトラブルを防ぐためにも、対処法を学んでおきましょう。
また、優良な業者を探す際は、悪徳業者の特徴と手口をよく理解しておきましょう。こちらの記事も合わせてご参照ください。
店舗・オフィスの原状回復のトラブル事例9選
2023年2月、引っ越しシーズンに伴い、原状回復に関するトラブルのご相談を多くいただいています。これらのご相談は年々増えており、原状回復トラブルについて、国民生活センターが注意を呼び掛けるほどになっています。
参考:引っ越しシーズンに増加「原状回復」トラブルに注意 (2023年2月5日)
https://www.youtube.com/watch?v=iJ4cj2TahIw
これから解説していくのは、店舗・オフィスの原状回復で頻繁に起こるトラブルの事例9つです。どのようなトラブルが多いのかを確認していただき、現実に起こったと想定してみるといいでしょう。次の章でトラブルを回避する方法を解説していきますので、合わせて確認してください。
①原状回復の費用で貸主と交渉が難航
原状回復の工事をする業者は、貸主が選定する場合が多く費用は借主が支払うため、高額な費用請求でトラブルになるケースが多いです。特に、貸主側が原状回復の相場を認識していない場合や、付き合いのある業者がいる場合はトラブルに発展しやすい傾向にあります。
②原状回復工事の時間帯を巡りトラブルに発展
物件や貸主の都合で原状回復の工事が夜間になる場合があります。夜間工事となると工事費用が上がってしまうので、貸主と借主の間で、原状回復工事の時間帯を巡るトラブルに発展するケースが多いです。
③原状回復工事の範囲についてのトラブル
貸主と借主の原状回復の認識の違いによって起こるトラブル。付け替えたばかりの照明や空調までも、新しいものに取り替える必要があるのかなどの問題でもめるケースが多いです。
④契約以前からある破損・傷などの原状回復でトラブル
契約前から空いていた穴や傷、故障に対して原状回復費用を請求されてもめるケース。日が経つにつれて、元からの傷や穴、故障なのか後についたものなのかが、分からなくなってしまうのが原因です。
⑤敷金・保証金と同額の原状回復費を請求されたケース
原状回復の費用の請求が敷金・保証金と同額または近い金額で、借主が疑問に思い、借主とトラブルに発展するパターンになります。原状回復費として多めに費用を回収していたり、貸主の雑な管理が原因となる場合が多いです。
⑥理不尽な特約が設定されていたケース
経年劣化や通常損耗までも原状回復させられるケースでトラブルになることがあります。借主が、契約書の特約の項目を見落としていたことが原因です。限度を超えた理不尽な特約は、無効となる場合もあります。
⑦工事の不備でトラブルになったケース
退去直前に原状回復工事の不備が見つかった場合に、トラブルに発展してしまう可能性があります。原状回復の業者を借主が選定した場合に起こりやすいトラブルです。
店舗・オフィスの原状回復でトラブルを防ぐ方法
店舗・オフィスの原状回復で貸主とトラブルを防ぐ方法は10個あります。これから紹介する、それぞれの項目をしっかり押さえておくことで、退去するまで貸主と良好な関係を気づくことができるようになるでしょう。
①借りる前の物件の状態を必ず確認しておく
借りる前の物件で気になるところがあれば、写真を撮るか管理人・貸主と一緒に確認するなりしましょう。加えて、書類などで記録を残すことが重要です。事前のチェックが原状回復の際に、借りる前にあったものなのか借りた後のものなのかを、ハッキリさせることができます。
②賃貸借契約書に必ず目を通す
賃貸借契約書に目を通すのは絶対なのですが、原状回復の記載がある部分については、入念に確認しましょう。原状回復の記載をしっかりと確認しておくことで、貸主と原状回復についての相違をなくすことができます。疑問に思ったことや分からないことがあった場合は、都度質問や確認するようにしてください。
③賃貸借契約書の特約を必ず確認しておく
賃貸借契約書の原状回復の記載に特約がある場合は、必ず確認し内容を聞いておきましょう。貸主が一方的に有利になる理不尽な特約がある場合は、必ず質問や交渉するようにしてください。退去時に後悔しないためにも、特約のチェックは重要なポイントです。
④借りた時点の状態を確認する
借りる前のテナントのチェックも重要ですが、入店時のテナントのチェックも欠かさずおこなってください。借りる前から入居までの間に、自然災害による破損やその他の原因による故障などが発生している可能性があります。入居時も物件のチェックを欠かさずにおこなうことで、退去時の原状回復でのトラブルを防ぐことができるでしょう。
⑤設備機器の不具合・故障は貸主・管理人に連絡する
電気や水道、ガス、空調、換気などの設備機器に不具合・故障があった場合は、即座に貸主・管理人に連絡するようにしましょう。設備機器関係の不具合や故障は、基本的に貸主が負担します。しかし、放っておいて状態が悪化してしまうと、テナントの借主が支払いの義務を負うことになりかねません。原状回復の費用を膨らませないように注意してください。
⑥丁寧に使用する
不要な傷や穴、破損、故障を防ぐためにも、物件や設備の丁寧な使用を心がけましょう。不当な使用や管理の怠りでの破損や故障は、テナントの借主が支払いの義務を負います。原状回復の費用を抑えるためにも、テナントの掃除や管理を徹底してください。
⑦原状回復工事の業者選定について交渉しておく
原状回復の業者選定は、基本的に貸主側がおこないます。しかし、貸主側が業者の選定をおこなうと、原状回復工事の費用が高額になる可能性が高いです。原状回復の費用を抑えるためにも、貸主または管理人に費用の交渉をおこなうか、テナントの借主が業者を選定できるように交渉しましょう。
ウラシコでは、適切な価格で原状回復をさせていただいております。貸主、借り主双方にメリットがある施工をさせていただきますので、ぜひ私たちにご相談いただけますと幸いです。
⑧退去日から逆算した工期にする
原状回復をテナントの借主が選定する場合は、退去日ギリギリではなく、ゆとりを持った工期を設定しましょう。ゆとりのある工期は、工事の不備や思わぬ事故を防ぐことができます。
⑨原状回復の範囲を事前に確認しておく
契約時に原状回復の範囲を貸主とすり合わせておくことが重要です。事前に原状回復の範囲の相違をなくしておくことで、退去時にどこまで原状回復をすればいいかの、トラブルを回避することができます。
⑩原状回復の相場をあらかじめ知っておく
インターネットなどを活用して、原状回復の相場を把握しておきましょう。相場を知っておくことで、貸主と原状回復の費用の交渉をすることができます。不当な費用請求も防ぐことができるので、相場を知っておきましょう。
原状回復費用についてはこちらのページで詳しく解説しています。ぜひこちらも合わせてご参照ください。
まとめ
この記事では、店舗・オフィスの原状回復で頻繁に起こるトラブルの事例とトラブルの回避方法を解説してきました。この記事の重要ポイントは以下です。
- 物件を借りる前に物件の状態を確認して写真・書類などで記録を残す
- 賃貸借契約書の原状回復の項目に必ず目を通し疑問に思ったことや分からないことは質問をする
- 原状回復に関わる特約を見落とさないようにする
- 入居時点で物件と設備のチェックを再度する
- 設備機器の不具合や故障が起きた場合はすぐに貸主・管理人に伝える
- 不当な使用や管理の怠りをしないように掃除や管理の徹底に努める
- 原状回復の業者選定を貸主がおこなうのかテナントの借主がおこなうのかを交渉して決める
- 原状回復工事が退去日のギリギリにならないように退去日から逆算して工期を決める
- 原状回復の範囲を契約時に貸主とすり合わせをしておく
- インターネットなどを活用して原状回復工事の費用相場を把握しておく
貸主と借主の間で原状回復に関してのトラブルが起きる可能性が少なからずあります。トラブルが発端で裁判などに発展しないうように、上記のポイントを押さえてトラブルを未然に防ぎましょう。
万が一トラブルが起きてしまった際の相談先はこちらの記事でまとめています。こちらも合わせてご参照ください。