物件を賃貸している企業は、原状回復として貸主に戻さなければいけません。原状回復は主に内装解体工事にあたります。工場や倉庫はマンションやオフィスとは違い、大掛かりな工事です。そのため、退去日が決まったら早めに動くことが重要です。
この記事では内装解体工事をどのような流れで進めていけばいいのか紹介します。また内装解体工事は1つではありません。内装解体工事の種類も説明しますので、自分の物件がどの工事に値するのか知っておきましょう。
内装解体工事の依頼までの流れ
内装解体工事をする前に大切なのは、どの解体業者へ依頼するかということです。ここを誤ると、思わぬ請求やトラブルに発展する可能性があります。とても重要なポイントなので、契約を締結するまで慎重に進めていきましょう。
解体業者を探す
まずは解体業者を探さなければいけません。知人の解体業者がいれば問題ありませんが、身近に存在しないこともあるでしょう。その場合は、インターネットを活用すると解体業者を探しやすいです。
近年では解体業者も多くなっており工期や工法、費用などもさまざまです。良さそうだと思う業者を複数ピックアップしてみてください。なお、優良な解体業者の選び方は、こちらの記事で詳しく解説しています。こちらも合わせてご参照下さい。
見積もりを解体業者へ依頼
解体業者をピックアップしたら、見積もりを依頼します。この際注意したいのが、見積もり依頼を1社に限定せず、複数社に依頼することです。先ほども説明したように、解体業者によって特徴もさまざまです。適切な費用なのか、工期が長すぎないかなども含め、3~5社ほどに絞って依頼してください。
インターネットサイトで一括見積もりサービスを提供しているところもあります。複数の業者を簡単に比較できる便利なサービスですが、そのようなものはあくまでも概算なので、詳細はきちんと問い合わせるのがよいでしょう。
見積もりの内容と現場確認
解体業者へ見積もりを依頼すると、現場での調査が必要になります。その理由は、現場を見ないと建物や周辺の様子がわからないからです。
現地で実際に調査することのメリットは、より正確な内容の見積書を作成してくれること。解体業者も現場を見ることで、工期や必要な作業員なども想定しやすくなります。
- 見積内容が提示されたら
- どのような工程で作業が進むのか
- 費用の内訳や追加費用の発生時の規定
- 手続きや注意点
- 最終的な費用の総額
上記のポイントをしっかり確認しておきましょう。立会い時であれば不明点も解決しやすく、工事費を抑える相談もしやすくなります。
解体業者の選定と契約
複数社の解体業者の見積もりを依頼し終わったら、解体業者の選定に入ります。見積書を見比べて納得いく業者を見つけ契約を交わしたら、いよいよ内装解体工事の開始です。
内装解体工事の流れ
内装解体作業は、以下のような流れで進みます。
- 足場や養生の設置
- 内装材の撤去
- 床材の撤去
- 産業廃棄物の処理
- 室内の清掃
ここで注意したいのが、産業廃棄物の処理です。内装解体現場で発生したゴミは、産業廃棄物として処理されます。産業廃棄物処理法に従って処分することが義務づけられています。業者はマニフェストを使ってどのような流れで処分されているのか管理しなければいけません。
産業廃棄物等の解体工事で発生する廃棄物に関してはこちらの記事でより詳しく解説しております。こちらも合わせてご参照下さい。廃棄物の処理方法はこちらの記事で詳しく解説しています。こちらも合わせてご参照下さい。
内装解体工事のおもな種類
内装解体工事には、主に2種類あります。どちらも退去時に必要な工事ですが、物件がどちらに値するのかは、賃貸借契約書に記載されているので確認してみてください。それでは内装解体工事の種類について、それぞれ説明します。
原状回復工事
原状回復工事とは、入居前の状態に戻す工事のことです。借主の都合で設置した設備や間仕切りなどはすべて撤去し、返却することが求められています。
原状回復工事は一般的に契約終了時までに完成することが条件です。万が一、契約期間内に工事が終了しないときは、賃料が発生してしまいます。
スケルトン工事
スケルトン工事とは設備や間仕切りはもちろん、天井や床などもすべて解体・撤去する工事のことを指します。イメージしやすいのが、鉄筋コンクリートの打ちっぱなしの状態。これがスケルトン工事の完成形です。
原状回復工事と大きく違う点は、スケルトン工事は何もない状態にすること。壁紙や床材もすべて剥がしますので、原状回復工事よりも工期や費用がかさみます。なお、こちらの記事では原状回復やスケルトンなどの用語について詳しく解説しております。こちらも合わせてご参照下さい。
まとめ
工場や倉庫の内装解体工事は、工期や費用がかかります。そのため、良質な解体業者を選ぶことがもっとも重要です。解体業者には必ず現場確認をしてもらうこと。また見積内容に不明点があれば、その時点で解決してください。
また、物件がどの状態まで内装解体しなければいけないのか、賃貸借契約書でチェックしておくことも重要ですので、契約する際は忘れないようにしましょう。