解体工事自体は特別なことではなく、一般的に広く行われていることですので、受任すべき範囲として扱われることもありますが、実際に近隣の方に迷惑をかけることになることに変わりはありません。不要なトラブルを防ぐためにも、近隣へのあいさつなどを含めた事前準備が重要になります。今回は、前準備としてのあいさつ回りに焦点を当てて説明していきます。
私達にご依頼いただいた場合のお問い合わせから工事完了までの一連の流れについてはこちらのページで詳しく解説しています。ぜひこちらも合わせてご参照ください。
目次
解体工事前のあいさつとは?
挨拶周りは何をするのか
まず、工事前の挨拶とはなんなのか、何をするのかを説明していきます。工事前のあいさつとは、工事が始まる前に工事日程や内容、発生する可能性のある影響などを近隣住宅を訪問し説明することです。工事期間前に工事予定地に看板などで事前に知らせる場合もありますが、いわゆるご近所さんには直接口頭で説明したほうが、これからの付き合いのためにもいいでしょう。
また、工事車両の駐車や足場の設置など隣地に影響を及ぼす場合には、この挨拶の際にその承認をもらう場合もあります。スペースの関係などで、近隣の方の協力が必要な場合には、当たり前のことですが先方の使用状況や都合を優先し、こちらの工事の都合を押しつけることのないようにしてください。
挨拶周りはなぜ必要?
前述の内容でも軽く触れましたが、工事前あいさつの最大の目的は近隣トラブルを回避することです。工事期間中は少なからず近隣の方に迷惑をかけることになりますので、事前に訪問して工事のことをお伝えし、工事に対する理解を求めることで、工事開始後の近隣トラブルを未然に防ぐことができる可能性があります。
例えば、事前に工事のことを知らされていない状態で、突然近隣で重機や工具を使った工事が始まった場合には、騒音や振動に迷惑することはもちろんですが、突然始まったことに対する不快感や不満を抱くことになります。一方、事前に知らされていた場合には、そういえば工事が始まると聞いていたと思い出すことで、相当な迷惑を被らない限りは仕方ないと諦めがつくと思います。
このように、事前のあいさつがあるのとないのとでは心理的な負担が変わってきます。また、道路に工事車両を駐車することで通行に支障をきたす場合や工事で重機や工具を使うことで騒音や振動が発生することがわかっている場合には、事前にそのお詫びと工事に対して理解をしていただく必要があります。
解体工事で発生する近隣への影響
工事に際して、近隣の方に迷惑をかける可能性があるとすれば、次のようなものが考えられます。重機や工具を使用することによる騒音や振動、解体によるホコリや粉塵飛散、害虫の発生、工事車両の敷地全面道路の使用などです。すべて、近隣の方の日常生活に影響を与える可能性がある事柄ですので、細心の注意が必要です。騒音や振動、ホコリや粉塵飛散に関しては、養生である程度は軽減できますが完全になくすことはできません。
また、工事車両の道路の使用に関しては、自動車を使用する方だけでなく歩行者や自転車で通行する方への影響も考えられますので、この点に関しては安全に十分配慮する必要もあります。
あいさつ回りのポイント
解体工事前の挨拶はなぜ必要なのか、何が必要なのかは理解していただけたと思いますので、ここからは実際に工事前の挨拶をする際に注意するポイントをいくつか紹介していきます。
あいさつ回りは施工業者と一緒に行う
工事前の挨拶には施主(居住者)と施工業者の担当者がそろって訪問することが望ましいです。基本的には、施工業者が行ってくれることになりますが、実際に居住し工事を依頼しているのは、施主ですので工事前に施主自身が近隣の方へ工事についてお伝えし、協力をお願いするほうが相手からすると気分的に協力しようと思うものではないでしょうか。
住宅密集地など建物が密集している場所や敷地の前面道路が狭い場所など、条件が悪い場所ほど近隣の方にかかる迷惑が大きくなりますので、施主の訪問が重要になってくるでしょう。
工事前に、施工業者の担当者が同行するには、理由があります。工事の内容や日程などは施主でもわかりますが、詳しい工事の内容や使用する道具、どのような影響が起こるのかなどは施工業者の担当者のほうが詳しいですし、スムーズに案内できます。また、工事の専門家から大きな影響はないという説明を受けることで安心できる部分もあります。このような理由から、施工業者の担当者にも同行してもらう必要があります。
現代の日本では薄れつつあるご近所づきあいですが、解体工事後に新築物件を立てる場合にはその後も関係が継続しますので、最低限の付き合いはしておくほうがいいでしょう。施工業者との打合せの際に工事前の挨拶はどのようにするかについても話し合っておくのがいいでしょう。
あいさつに行くタイミング
挨拶の内容と行く意味についてはある程度分かりましたが、ではどのタイミングで行くのがいいのでしょうか。一般的には、工事開始前の7〜10日前に行くことが多いです。挨拶に行った際に場合によっては、留守の場合もあるかと思います。その時は、後日訪問するのがベストですが、施工業者との再調整が必要になりますので、なかなか難しいかもしれません。
その場合には、後述の挨拶状をポストに投函しておくのが無難です。そうすることで、工事前の挨拶に来たことを知らせることができます。挨拶の際には、前述の挨拶状の他に、工程表などもあるとわかりやすいです。
近隣の範囲
マンションなどの場合には、同じフロアの人と上下階の人といったように影響範囲をある程度絞ることができますが、住宅密集地などの建物が多く存在するような場所では、どこまでが近隣となり、挨拶に行かなければならないのでしょうか。
明確な定義のようなものがあるわけではなく、迷惑をかけるであろう範囲に挨拶に行くことになるためケースバイケースですが、最低限両隣の家、裏の家、向かいの家3件程度には挨拶に行くべきでしょう。このほかにも、道路に工事車両を駐車することで、通行に迷惑をかけるかもしれないと思ったら、挨拶に行っておくのが無難です。
挨拶状の用意
工事の挨拶に行く際には、挨拶状を持参することになります。ここでは基本的な部分を紹介しますので、臨機応変に追加・変更をして作成してください。下部には、挨拶状の例も掲載していますので参考にしてみてください。
<記載する内容>
・工事協力のお願い |
<例> ーーーーー ご近隣の皆様へ解体工事のご挨拶○○○○年○○月○○日拝啓 時下益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。この度、近隣にて○○邸の解体工事を行うことになりました、施主の○○と申します。解体工事期間中は、騒音や振動などにより皆様には多大なご迷惑をお掛けするかと存じますが、期間中は細心の注意を払いながら進めてまいりますので、何卒ご理解、協力を賜りますようお願い申し上げます。 敬具 解体工事名称:○○邸解体工事 工事場所:住所記載 工事期間:令和○○年○○月○○日~令和○○年○○月○○日予定 工事時間:午前○時~午後○時予定 休日:土曜・日曜・祝日 発注者(施主):施主名 施工業者:解体業者名 施工業者住所:解体工事業者住所 施工業者担当者:担当者名 施工業者連絡先:連絡先電話番号 以上 |
粗品、手土産は必要?
工事前の挨拶をする際に、粗品や手土産が必要か気になる方もいらっしゃるかと思いますが、これも明確なやり方があるわけではありませんので、ご自身で決めください。場所によっては、粗品や手土産を持参するのが地域の習慣になっていたり、近隣で同様の工事が行われた際に粗品や手土産をいただいた際には、注意が必要です。
実際に粗品や手土産を渡したほうが印象が良く、多少の不満なら我慢してくれるかもしれません。もし渡す場合には、タオル、石鹸、洗剤、サラダ油などの日用品が無難です。工事前に渡す粗品には、「ご挨拶」と書かれた「外のし」をつけるのが一般的です。
工事終了後のあいさつ
工事前の挨拶ほど重要ではありませんが、工事期間中は迷惑をおかけしたことに対する謝罪とお礼の気持ちを伝えることができます。特に工事期間が延長になった場合には、いつになったら終わるのかわからないストレスにさらされていますので、工事終了後に長い間迷惑をかけたことに対する謝罪はしっかりと行ったほうが賢明です。工事が延長になるのであれば、それがわかった段階で、再度挨拶をしておくなどもしておいたほうがいいかもしれません。
まとめ
今回は、解体工事前のあいさつ回りについて説明しました。工事前の挨拶は、解体工事を依頼する人にとっても、近隣に住む人にとっても大事なものです。一生に何度も経験することではないため、わからないことや不安なことがたくさんあるかと思いますが、この記事で少しでもその不安が解消されたら幸いです。
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