解体工事の現場で時々耳にすることがある言葉で「玉掛け」というものがあります。聞き慣れない言葉かもしれませんが、重いものを運搬する場面がある工事現場では必要不可欠な作業です。
危険を伴う解体工事においてとても重要な業務ではありますので、玉掛けを行うには資格も必要です。この記事では玉掛けについての作業内容や、どんな資格が必要なのかをわかりやすく解説していきます。
原状回復・解体工事に関する基礎用語はこちらのカテゴリー一覧にもまとめております。これだけは覚えておきたい!という用語をまとめておりますので、ぜひこちらもご参照ください。
玉掛けとは
工事現場や建設現場などで建材などの重い荷物をクレーンでつり上げる際に、フックに荷物を掛けたり外したりする作業のことを「玉掛け」と言います。
間違った方法で玉掛け作業をしてしまうと、重い荷物が落下して作業員が怪我をし、命に関わる危険性もあるため、現場の安全確保において非常に重要な作業になります。
トラブルを未然に防ぐためにも正しい玉掛け技術を学び、行いましょう。
玉掛けの方法
フックに掛ける方法
玉掛けについてフックに掛ける方法には、「目掛け」、「半掛け」、「あだ巻き掛け」、「肩掛け」の4種類があります。この中で最も一般的なのは「目掛け」という方法になります。
目掛けとは、フックにワイヤロープのアイを掛ける方法になります。ワイヤロープ1本の場合は「1本づり」、2本の場合は「2本づり」、4本の場合は「4本づり」とワイヤロープの本数が増えると表現が変わります。
この方法が基本で、安全な掛け方と言われていますが、非対称になっている荷物には適さないという短所があるため、つり上げる荷物の形によっては他の方法と使い分ける必要があります。
つり荷に掛ける方法
つり荷に掛ける方法には、「目掛け」、「半掛け」、「あだ巻き掛け」、「目通し」、「あや掛け」の5種類があります。この中で最も一般的なのは「半掛け」という方法になります。
半掛けとは、ワイヤロープを荷物に回して掛ける方法になります。つり荷にかける方法の中では最も単純で扱いやすいのがポイントです。
ただ、つり角度が大きくなると不安定になってしまう特徴があり、荷物が滑ってしまい、ロープが中心に寄らないようにする工夫が必要です。
玉掛けの作業内容について
事前の準備が大切
クレーンなどを使って荷物を運搬する作業現場にて、荷物をつり上げるためのワイヤロープなどの吊り具を担当するのが玉掛け担当になります。
荷物をワイヤロープで固定し、荷物をつり上げて移動させ、決められた場所に設置を行います。荷物を目的の場所まで移動させて終わりではなく、玉掛けに使用した用具などを片付けるところまで行うことが一連の流れとなります。
この時、実際にクレーンを動かす方への合図動作も作業に含まれます。これらをすべて合わせて玉掛け作業と言います。
玉掛けにおいて特に大切なのは事前準備です。危険を伴う作業のため、安全をしっかり確保します。はじめにつり上げる荷物の重量や大きさ、形状などを正確に把握しておく必要があります。
次に、荷物を移動させる目的地までのルートを確認し、移動先にどのように荷物を置くのかも確認しておきます。使用するワイヤロープに関しても、つり上げる荷物に適したサイズなのかを確認し、つり方についても決めておきます。
他の使用する道具なども問題がないかしっかり確認しておきましょう。
玉掛けの資格について
玉掛け作業は重い荷物を扱い、非常に危険な作業の一つのため資格は必要不可欠です。資格を取るには決められた講習を受講する必要があります。受講条件は特になく、18歳以上であればだれでも受講することができます。
ただし、扱う荷物の重量が1トン未満か1トン以上かにより必要な資格は違い、講習が異なるので注意してください。
扱う荷物が「1トン未満」の場合に必要な講習は「玉掛け特別教育」になります。学科に5時間、実技に4時間の計9時間程度要します。講習を終えることができれば修了証が発行され、資格を取得できます。試験は特にありません。
扱う荷物が「1トン以上」の場合に必要な講習は「玉掛け技能講習」になります。学科に12時間、実技に7時間の計19時間程度要します。もしも玉掛け特別教育の修了証を所持している場合は、ある程度免除されます。
玉掛け特別教育と同様に、講習を終えることで修了証が発行されます。試験も特にありません。
玉掛けの技能講習を受ける場合は、受講料と教材費がかかります。金額の相場は「玉掛け特別教育」の場合、受講料と教材費を合わせて15,000円~程度になります。「玉掛け技能講習」の場合は、同条件で20,000円~程度になります。
まとめ
玉掛けの作業内容や必要な資格などについてわかりやすく解説してきました。何度もお伝えするように「玉掛け」は非常に危険な作業となります。
その分、工事現場の安全を担う、とても重要でやりがいのある仕事です。細心の注意を払い、しっかりと安全を確認して作業を行いましょう。
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