建築現場で欠かせない建材の一つ「ALC(軽量気泡コンクリート)」ALCの歴史は古く、1920年にスウェーデンで開発されました。日本にもALCの技術が持ち込まれ、現在では日本独自の製法で使われています。
とはいえ、ALCについて詳しく知っている方も少ないのではないでしょうか?この記事ではALCの概要や特徴、解体手順をまとめて紹介します。
またALCと同じように解体工事現場でよく使われる「LGS(軽天)」「PB(プラスターボード)」についてはこちらの記事で詳しく解説しています。ぜひ合わせてご参照ください。
目次
ALCの概要と特徴
ALCはスウェーデンで開発されたのち、ヨーロッパから世界各地に広がりました。日本に渡ってきたのは1962年です。
半世紀の間に日本ではALCも進化し、日本独自の製品も作られるようになりました。広く愛されているALCですが具体的にどのようなものなのか、特徴から探ってみましょう。
耐火性に優れている
ALCの最大の特徴は耐火性に優れていることです。ALCは不燃材料で作られていることもあり、万が一の火災でも有毒ガスや煙を出す危険性は少ないのが特徴です。そのため、耐火性を考慮した建材としていちばん普及している建材です。
また工場の工程で発生する無数の気泡があるALCでは、空気が熱を伝わりにくくする役割があります。ALCは断熱効果も高いため、耐火性にはもっとも優れた建材です。
湿度調整するので日本の気候に合った建材
日本は四季があるため、建築する際も気候に合った建材を使わなければ崩壊の恐れもでてきます。とくに夏の日本は高湿。
ALCは高い調湿効果があり、木材の割れやたわみなどの変形を起こしにくくする効果があるといわれています。無数の気泡が湿度を調整してくれるので、気候とわず使えるのがメリットです。
軽量のため現場作業も楽でコスト削減できる
ALCには無数の気泡があるのは、先ほど紹介したとおりです。じつはこの気泡は全体の80%を占めているといわれています。そのため水に浮くほどの軽さです。
軽量ということは建築現場でも作業しやすく楽に行えます。軽量の建材は必要な人材も少なく済むため、結果としてトータルコストを削減可能です。
有害物質ゼロで人体にも安心
ALCは健康面でも安心な建材といえます。後ほど紹介する原材料を見るとわかりますが、ALCに使われている材料は、有害物質が含まれていません。建築建材で懸念されるアスベストやホルムアルデヒドとは無縁のため、法規制を受けず使用可能です。
ALCはどんな場所に使われる?
ALCの使用用途はさまざまなです。おもに外壁工事で使われます。
- 高層建物の外壁
- 壁
- 廊下
- バルコニー
- 間仕切り壁
近年では、屋根裏や鉄骨建築用の耐火被覆などにも使われています。
内装解体する上で知っておきたいALCの処分方法
ALCは、建築現場では約4%使われています。解体する上で発生する廃棄物は決して多くありませんが、法律によって正しい処理方法で対処するよう決められています。
ALCは産業廃棄物として処理される
ALCは一般ごみとして出せないため、産業廃棄物として処理しなければいけません。
産業廃棄物を処理できる業者は決まっており、都道府県から許可を受けた業者のみが処理可能。解体業者でも産業廃棄物処理業の認可を受けたところはありますが、多くの場合、民間の指定業者に依頼します。
認可を受けた業者は「廃棄物処理法」という法律の下、適切に処理することが義務づけられています。
ALCは有害物質を含んでいない
ALCは「がれき類」に分類され、安定型産業廃棄物に該当しています。産業廃棄物と聞くと有害物質を含んでいるように思われがちですが、ALCには有害物質が含まれていません。
新築現場で出たALCはメーカーでリサイクル
内装解体でも気をつけたいのは、どの現場でALCが排出されたかです。新築現場で排出されたALCの多くはALCメーカーへ持っていき、再生原料としてリサイクルされます。
一方で、解体現場で出たALCは、産業廃棄物として処理。どの現場で出たかによっても、処理方法が変わってくるのはALCの特徴かもしれません。
産業廃棄物とマニフェストの関係は、こちらの記事でより詳しく解説しています。解体工事を依頼される際は、必ず理解しておきましょう。
まとめ
ALCは幅広い場所で使われており、建築建材としては身近な存在です。ALCの特徴を見てもわかるように安全面でも優秀なので、現在の建材では欠かせません。
注意したいのは、ALCは現場によって処理方法が異なるということ。内装解体の場合は、業者に依頼しALCを処理しなければいけません。トラブルを避けるためにも、正しく許可を受けた業者選びを心がけてください。
また、優良な解体業者に見分け方に関しましては、こちらの記事一覧ページにてまとめております。こちらも合わせてご参照ください。