こんにちは!株式会社ウラシコの浦志です。
今回は、アスベスト調査で含有が判明したあとの除去工法の選び方について解説します。それぞれの方法がどのように異なるのか、そしてどのような状況に適しているのか、詳しく見ていきましょう!
本編のYouTube動画でもより詳しく解説していますので、ぜひ動画も合わせてご参照ください!
アスベストの処理方法の種類は?
アスベストには健康に害を及ぼす可能性があるため、安全な除去が必要です。しかし、アスベストの処理方法にはいくつか種類があり、どの工法を選べばいいか、わかりにくいですよね。皆様がわかりやすいように、難しい言葉を避けて説明してみようと思います!
アスベストの処理には、大きく分けて代表的な3つの方法があります。この3つというのが、除去工法、封じ込め工法、囲い込み工法です。まずはそれぞれの方法について簡単に説明します。
除去
まずは『除去』について説明します。除去は、アスベストを完全に建物から取り除く方法で、再度暴露するリスクが少ないのがメリットです。しかし、工事が大掛かりになることが多く、コストもかかる点は注意が必要です。
封じ込め
封じ込めは、アスベストが含まれる場所に特殊な薬剤を使って固定する方法です。これによってアスベストが飛散しにくくなります。ただし、アスベストそのものは残るから、将来的に別の処理が必要になるかもしれないです。
囲い込み
囲い込みは、アスベストを含む部分を完全に覆う方法です。例えば、壁や天井にアスベストが含まれている場合、それを覆ってしまいます。簡単に施工できるけど、アスベスト自体は残るから、修理やリフォーム時には再度処理が必要になることがあります。
それぞれの方法にメリット・デメリットがありますね。用途に応じて選ぶことが大事ですね。
工法の選び方
工法の選び方に関しては、工事を依頼する立場の施主様の施工する立場の施工業者側で変わるので、それぞれ解説します。
施主様
まず施主様の立場からの選び方ですが、工法の選択に関しては、専門家の意見を仰ぐ必要があります。建築物石綿含有建材調査者や石綿作業主任者などを持つ有資格者が、アスベスト含有建材の劣化状況、飛散レベル、今後の建物の使用用途、そして予算を考慮した上で判断する必要がありますので、施主様側から選ぶことはできません。
そのため、解体工事業者に、今後の建物の使用計画や工事の予算、防護室となるクリーンルームを設置する場所があるか、などを入念に相談し、最適な処理方法を選んでもらう、ということが重要です。複数業者に見積もりをしてもらっても良いと思います。
施工業者側
次に施工業者側での選択の仕方ですが、これは先程申し上げた通り、石綿調査者や石綿作業主任者の資格をとった者が、規則に基づいて判断することが必要です。この規則については、一般財団法人日本建築センターが発行している「既存建築物の吹付けアスベスト粉じん飛散防止処理技術指針・同解説」において、ガイドライン及びマニュアルとして示されています。
リンクを張っておきます。
既存建築物の吹付けアスベスト粉じん飛散防止処理技術指針・同解説
https://www.bcj.or.jp/publication/detail/77/
細かい基準を省いて説明すると、
建物の解体や大規模な改修を行う際には、除去工法によってアスベストを完全に取り除く必要があります。封じ込め工法と囲い込み工法は、いずれもアスベストの飛散を防ぐ手法で、アスベストを完全に取り除くものではないたいめです。
小規模改修の場合、封じ込め工法や囲い込み工法が選択できるようになります。ただし、アスベストが使われている部分が劣化や損傷している場合は、除去工法が求められます。例えば、アスベスト表面の繊維の毛羽立ちや崩れ、垂れ下がり、下地の浮きや剥がれ、層の損傷などが見られる場合は除去が必要です。
除去費用の目安
除去費用の目安は本当に現場の状況によって差が出るので、お答えするこが難しいです。アスベストの処理費用は状況により大幅な違いがあります。例えば、部屋の形状、天井高さ、固定機器の有無、さらには、工事着工前準備作業・仮設などの程度が大きく異なり、処理費に大きな幅が発生します。
ちょっと古いデータですが、国交省が2007年1月から2007年12月で集めたデータをもとに、おおよその目安となる費用を公表しています。それによるとこんな感じになります。
除去する範囲1平米当たりの費用の目安は、
・処理面積300平米未満の場合:2万~8万5000円
・処理面積300平米~1000平米の場合:1万5000円~4万5000円
・処理面積1000平米以上の場合:1万~3万円
国土交通省アスベスト含有吹付け材の除去費用
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/Q&A/index.html#a39
特に処理面積が300平米以下の場合は、処理面積が小さいために費用の幅が非常に大きくなっています。また、封じ込めと囲い込み処理の場合ですが、概ね、除去費用の半額から三分の二程度の費用になると思います。
費用感はかなり幅がありますね。適正価格を図るには、複数業者に見積もりしてもらうのが良いと思います。ただし相見積もりの際は、「相見積もりをかけている」と伝えることがマナーになっていますので、伝えるようにしましょう。もちろん私たちウラシコにお気軽にご連絡ください!
除去、封じ込め、囲い込みの詳細
最後に、除去、封じ込め、囲い込みの詳細をもう少し詳しく解説します。
除去工法の詳細
まずは除去工法ですが、これは、アスベストが使用されている建築材すべてを除去し、非アスベストの建築材と入れ替える工法です。工事後の安全性が高いため、もっとも推奨される工法でもあります。
除去工法は様々な除去作業の総称で、さらに100種類以上の工法が承認されています。すべてを説明すると膨大になるため、概要欄に「日本建築センター」がまとめている一覧ページのリンクを張っておきますね。
一般財団法人日本建築センター アスベスト処理工法一覧
https://www.bcj.or.jp/rating/bizunit/exam/asbestos/
主に、リムーバル工法と呼ばれる、集塵機付きはつり機やディスクグラインダーなどの専用機械を用いて下地を掻き落としたり・切断・粉砕によって除去するが代表的です。
この他にも、主に飛散レベルが低い壁材などに適用できるものとして、薬剤染み込ませて除去する剥離工法や、超高圧水を噴射して除去するウォータージェット工法などがあります。
いずれの工法でも、飛散防止のために、湿潤化のための薬剤の散布、養生処理、クリーンルームの設置が必要となるため、費用としては高額となります。
封じ込め工法の詳細
封じ込め工法は、別名エンカプスレーション工法とも呼ばれています。薬剤を浸み込ませてアスベストを固着・固定化する方法と、アスベスト含有吹き付け材の層の表面に造膜剤を塗って塗膜を形成し、アスベスト層を覆う方法があります。
溶剤を吹きかけて固めるだけであるため、作業時間が短く、費用も除去に比べると安く済みます。ただし、既存のアスベスト層は残りますので、一定期間ごとの検査やメンテナンスが必要です。さらに、将来、建物の改修や解体をする際には、再度、アスベスト除去工事が必要になります。
この工法は、主に吹付け石綿や石綿含有断熱材などに適用され、材料の劣化が少ない場合に選ばれます。また、重量増による脱落のリスクがあるため、アスベスト層がしっかり接合されているか確認することが重要です。
囲い込み工法の詳細
囲い込み工法は(カバーリング工法)とも呼ばれます。板材などをその外側から取り付けてアスベストを完全に密封し飛散を防ぐ方法です。天井や梁にアスベストが使われている場合に、室内へのアスベストの飛散を防ぐために使用されることが多いです。
封じ込め同様に、除去よりは工事期間を短縮でき、作業時の安全管理が容易です。ただし、囲い込みが建材に損傷を与える恐れがある場合や、漏水による損傷のリスクがある場合には、適用できません。また、アスベストの層はそのまま残るため、一定期間ごとの検査やメンテナンスが必要です。そのため、点検用の開口を設置しなければなりません。
まとめ
今日のまとめをすると、
・アスベストの処理方法は主に、除去、封じ込め、囲い込みの3つの工法がある。除去は安全だが、封じ込めや囲い込みより高くなる。封じ込めと囲い込みは一定の条件を満たさないと選択できない。
・適切な処理方法の選び方は、専門資格を持った有識者の判断に依るので、入念に相談する。また相見積もりをして費用相場をチェックする
これらの点はしっかり抑えておきましょう!
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