一人親方とは、労働者を雇わずに、自分自身もしくは家族で特定の事業を行う個人事業主のことを言います。今までは、独立した建設業の職人のことを一人親方と呼ぶことも多かったと思います。
ただし業種・業務に関わらず、一部特定の条件が満たされていれば一人親方と呼ぶことができます。この記事では一人親方の特徴やメリットなどについて解説していきます。
解体工事では、残念ながら”悪徳業者”も数多く存在します。「壊せば終わり」と考えている業者には要注意です!こちらのページでは解体工事でよく起こるトラブルや、悪徳業者の手口、対処法、優良業者の選び方をわかりやすくまとめています。ぜひご覧ください。
目次
一人親方の特徴
厚生労働省による一人親方の定義はこちらです。
まず一つ目の特徴は、「会社雇用ではなく、個人で工事を請け負うこと」です。請負契約が本人名、会社名どちらであっても、個人が請け負う流れとなります。
二つ目は、「特定の会社に所属はしているが、その会社と個人で契約をし仕事を請け負っていること」です。所属会社は発注者となり、所属会社と個人契約をして作業を行うこととなります。
三つ目は、「グループで仕事を行っていても、お互いに雇用関係はない状態のこと」です。例えば一人親方のグループで仕事を請け負った場合、一人親方同士は雇用関係はないので、発注者は契約を結んだ者となります。
四つ目は、「個人事業主であり、労働者を雇わないこと」です。ただし、特例として「年間100日未満」であれば労働者を使用しても一人親方と定義されます。
一人親方の該当職種
該当業種は7種類に特定されています。下記に一覧を記載いたしますので、確認しておきましょう。
・自動車を使用し、旅客または貨物の運送を行う事業
・工作物の建設や解体事業などを含む土木・建築事業
・漁船による水産物の採捕を行う水産業
・林業の事業
・医薬品の配置販売(法律上許可を受けたもの)の事業
・再生利用を目的とした廃棄物等の収集や運搬、選別、解体などの事業
・船員法第1条に規定する船員が行う事業
一人親方のメリット
一人親方になった場合、いくつかのメリットが存在します。メリットについて確認し、効率よく仕事を行いましょう。
自分のキャパシティに合わせて仕事を調整できる
一人親方になれば、自分で仕事量を調整することが可能です。会社に雇用されている場合ですと、与えられた仕事はすべてこなさないとならないため、仕事量を調整することはできません。
さらにスケジュールの管理もしやすく、他の仕事との調整もできるので、多くの仕事を請け負うことに繋がり、収入を増やしやすいというメリットがあります。
従業員を雇わないため人件費がかからない
一人親方は従業員を雇わないため、基本的に人件費がかかりません。また、人材に関わるその他固定費も削減することができます。
従業員を雇った場合、現場に従業員を送る交通費や、従業員が使う社用携帯の通信費などがかかってきます。年単位で考えても大きな出費となります。
一人親方であれば通信費は自分の携帯分のみに抑えられますし、自分一人のためにオフィスは用意する必要がないことが多いでしょう。これにより、かなりの固定費が抑えられます。
社員にかける労力やリスクがない
従業員を雇った場合、当然一人前になるまでは社員教育が必要となり、それに充てる時間もかかります。そのために教育係を用意する場合もあるでしょう。
そうなると通常業務がおろそかになってしまったり、業務にいつも以上に時間がかかってしまったりする可能性があります。また、従業員が増えるほど、顧客との人間関係のトラブルが起きる可能性も増えます。
人数が多いほど従業員の行動をすべて管理することが難しくなるので、トラブルやミスが起きることもあります。一人親方になれば従業員がいない分、社員教育に労力や時間をかける必要はないですし、人間関係のトラブルが起きるリスクが高まることもありません。
自身の業務に集中することができるため、業務効率も高まります。
単価の交渉ができる
会社に雇われている場合、給料相場はある程度決まっていますよね。場合によっては資格を取得することで、基本給に手当が上乗せされたり、残業代で給料が増えたりすることはありますが、頭打ちが目に見えています。
一人親方の場合、請け負う仕事の単価を相手と交渉ができるため、単価の相場は、一般的に一人親方の方が最大で7,000円程度高いと言われております。
一人親方になったときに必要なこと
一人親方になる場合、いくつか必要な手続きがあります。会社に雇われる場合と違い、個人で手続きを行うものもあるので覚えておきましょう。
確定申告について
一人親方は、1年に1度確定申告を行い、1年間の所得を申告する必要があります。雇われている方であれば会社が行ってくれるため、自分で確定申告を行う必要がありません。
ただし、一人親方の場合は、自身で書類を作成し税務署へ申告をする必要がありますので注意してください。確定申告をしっかり行っておけば、収入証明書が必要な場合などでも問題なく発行されます。
保険の加入について
社会保険について
一人親方が加入できる保険には、国民健康保険と建設業の国保組合があります。建設業の国保組合については、国民健康保険よりもサポートが充実している場合があり、怪我や病気の際の福利厚生がしっかりしているメリットがあります。
そのため、建設業の国保組合に加入できるかを確認し、加入できなかった場合に国民健康保険に加入することをオススメします。
労災保険について
一人親方には特別加入できる「一人親方労災保険」という制度があります。通常、労災保険は労働者保護の観点から、雇われていることが加入の前提となっています。
一人親方労災保険は、その中でも例外として、労働者に対して保護することが適切だと思われた方に加入する権利を与えるものです。
例えば、仕事中に怪我をした場合でも無料で治療が受けられますし、治療のための休業についても給付基礎日額に応じた額の休業補償給付があります。このように一般の労働者の場合と同じような取り扱いを受けることができます。
なお、一人親方労災保険は従業員を雇用している場合は加入できないので注意してください。
まとめ
一人親方についての詳細がお分かりいただけたかと思います。もしこれから一人親方になられる方は、必要事項を忘れず、確認しておきましょう。
信頼できる解体業者の選び方は、こちらの記事でも詳しく解説しています。こちらも合わせてご参照ください。