建物の解体工事を行う際には、どのような手続きや届け出が必要なのでしょうか?
今回は、解体工事に関する手続きをわかりやすく解説します。特に、建設リサイクル法で定められた「建設リサイクル法に関する届け出」は、解体工事において最も基本となる重要な届け出ですので、これを中心に、関連する他の手続きについても説明していきます。
施工業者や施主様は、手続きの内容をしっかりと理解し、申請漏れがないよう十分に注意しましょう。
目次
解体工事に関する主な届け出
提出者 | 届出の種類 | 提出先 | 提出期限 | 委託 |
施主 | 建築リサイクル法に関する届出 | 自治体 | 工事着手7日前 | ◯ |
施主 | アスベスト除去の届出 | 都道府県知事 | 工事着手14日前 | ◯ |
解体業者 | 道路の使用許可申請 | 警察署 | 工事着手7日前 | ◯ |
解体業者 | 建築物除去届 | 都道府県知事 | 工事着手7日前 | ◯ |
施主 | 建物滅失登記申請 | 法務局 | 工事完了後1ヶ月以内 | ◯ |
解体工事に必要な主な届け出は、以下の5つになります。
・建設リサイクル法に関する届出
・アスベスト除去の届出
・道路の使用許可申請
・建築物除去届
・建物滅失登記申請
今回はもっとも基本となる「建設リサイクル法に関する届出」について詳しく解説します。その他の届け出は概要を説明いたします。今後、また別の動画で他の届け出に関しても詳しく解説していきますのでお待ちください。
建設リサイクル法に関する届け出とは
施主が最初に提出する必要があるのは「建設リサイクル法に関する届け出」です。建物を解体する場合、建設資材を分別してリサイクルすることが義務づけられています。そのため、廃材の見込み量や種類を事前に調べ、解体前に自治体に届け出ます。
必要な書類には、分別解体計画表、解体工程表、設計図や写真、案内図などがあります。
本来は施主が提出する義務がありますが、必要書類をまとめるのが大変なため、解体業者に委任して代理で手続きすることも可能です。その場合の費用の発生の有無は業者によって変わりますので、確認しておきましょう。
届出の対象となる工事
工事の種類 | 条件 |
建築物の解体工事 | 延べ床面積が80㎡以上 |
建築物の新築・増築 | 延べ床面積が500㎡以上 |
建築物の修繕・模様替え (リフォーム等) | 請負代金の額1億円以上(消費税含) |
その他の工作物に関する工事 (土木工事等) | 請負代金の額500万円以上(消費税含) |
届出の申請が必要な条件はこちらの表をご参照ください。「延床面積80㎡以上の建物を解体する場合」に必要となると抑えておけば間違いないです。
建築物の解体工事:延べ床面積が80㎡以上
建築物の新築・増築:延べ床面積が500㎡以上
建築物の修繕・模様替え(リフォーム等) :請負代金の額1億円以上(消費税含)
その他の工作物に関する工事(土木工事等) :請負代金の額500万円以上(消費税含)
解体工事届出申請に必要な書類
申請に必要な書類 | 入手・作成方法 |
解体工事届出書 | 申請に必要な書類、各都道府県窓口などで入手可能 |
分別解体等の計画等 (別表) |
建物の構造や周辺状況、工程に応じた作業内容の詳細を記入 各都道府県窓口などで入手可能 |
設計図または写真 | 外観写真など(必要に応じて図面、設計図) |
案内図 | 既製地図を使用して、工事する建物の場所を明記 1:1000~1:5000程度の縮尺の既製地図を使用 |
配置図 | 解体する建物と、その周辺の位置関係を示すもの |
工程表 | 解体工事計画の工程表(自治体で書式が決まっている場合もある) |
委任状 | 代理で申請してもらう場合のみ作成 |
建設リサイクル法に関する届出を怠った場合の罰則
建設リサイクル法の規定に違反した場合には、行政指導や罰金などの罰則が科されることになります。届け出を怠った場合は、建設リサイクル法51条1号に基づき、20万円以下の罰金が科されます。
その他の解体工事関連の届け出
これまで説明した建設リサイクル法に関する届出以外にも、解体工事に関連する各種届け出が必要となる場合があります。その他の代表的な届け出4つの概要を説明します。
アスベスト除去の届出
書類名 | 提出先 | 提出期限 |
アスベスト使用建築物に係る事前調査報告書 | 市区町村 | 工事着手前 |
アスベスト除去工事計画書 | 労働基準監督署 | 工事着手14日前 |
特定粉塵排出作業実施届 | 都道府県 | 工事着手14日前 |
アスベスト使用建物に係る解体撤去工事完了報告書 | 市区町村 | 工事完了後 |
建築資材にアスベストが含まれている、または含まれる可能性がある場合、アスベスト除去の届出が必要です。アスベスト(石綿)は、粉塵の発生しやすさを表す発じん性に応じてレベル1~3に分類され、最も発じん性が高いのはレベル1です。発じん性に応じて手続きが異なるため、注意が必要です。
アスベスト関連の主な書類と提出先などは、次の表のとおりです。アスベスト関連の届け出は非常に細かいルールがあります。当社HPのリンクを記載しますので、ご参照ください。
道路の使用許可申請
解体工事の場所によっては、トラックや重機を駐車するスペースがない場合があり、その場合に必要な届出が道路の使用許可申請です。現場住所を管轄する警察署に道路使用の許可申請をし、承認を得る必要があります。
解体業者は、道路使用許可申請書に道路使用の目的、場所、期間などを記入し、道路使用場所の見取り図と一緒に提出します。道路の使用許可申請には手数料がかかり、各都道府県で金額が異なるため、事前に問い合わせて確認しましょう
建築物除去届
建物をすべて撤去する場合、建築基準法により、「建築物除去届」が必要です。この届出と建築工事届によって、国内の建物数を把握し、統計情報として活用されます。
施主は解体工事の前日までに、建築物除去届を都道府県知事に提出しなければなりません。委任状を持って業者に届出を依頼することもできます。ただし、この届出は、工事部分の床面積が10平方メートル以内、または建て替えに伴う除去工事の場合には必要ありません。
建物滅失登記申請
建物滅失登記は、建築物の構造や所有者を確認するために必要な申請です。この届け出のみ、解体工事後に申請が必要になります。
解体工事後、1カ月以内に手続きすることが義務付けられていますので、早めに登記を済ませましょう。登記は、建物の所有者が法務局に出向いて申請します。手続きが難しい場合には、家屋調査士や司法書士に申請を依頼することもできます。
その場合、費用が3〜5万円程度かかりますので、相談してから決めると良いでしょう。
まとめ
今回は建設リサイクル法に関する届け出をメインに、解体工事に必要な届け出について、解説しました。届け出を怠らずに、ルールを守って解体工事に望むようにしましょう。
私たちウラシコでは、届け出を徹底し、ルールと環境問題に配慮した施工を徹底しています。解体工事や原状回復工事はぜひウラシコにお任せください。
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