「内装解体を業者に依頼したけど、専門用語が多すぎて実際にどんな作業をしているのか分からない」
「DIYで内装解体をするために、専門業者が使う道具を揃えたい」
解体工事に用いられる道具は、専門用語や俗語が多く、このような考えを持たれている方はいらっしゃるのではないでしょうか。内装解体工事は重機を使わず人力で解体工事を行う手壊し解体を行うことが多いです。そのため手壊し解体では状況に合わせて多種多様な工具を扱います。
本記事では、そんな内装解体業者が手壊し解体で使用している道具をご紹介します。また、道具と合わせて、内装解体の基本的な手順も理解しておきましょう。手順と行程についてはこちらの記事で詳しく解説しています。ぜひこちらも合わせてご参照ください。
目次
工具に関する動画はYouTube動画でも解説しています!
有名業務用工具メーカーのHILTI(ヒルティ)様の工具を動画でもご紹介しています。実際の工具を使用している様子を動画でもお確かめください。
ドライバー系
ドライバー系では、手動と電動のドライバーを紹介します。ドライバーで回すネジには様々な大きさ、形状があり、それに対応する形でドライバーにも様々な種類があります。
ドライバー
一般家庭でもよく使われるかと思いますが、ドライバーはネジをねじ込んだり、取り外したりするための道具です。マイナス型とプラス型があります。単なるドライバーでもグリップやシャンク(鉄の部分)の形状、素材は多岐にわたり、それぞれに長所や短所があります。
電動ドライバー
電動ドライバーは内蔵されているモーターの力を使って穴あけ、ネジ締めができる道具です。電動のため従来のドライバーよりも楽に、かつ短時間で作業ができます。特にパワーのあるものだと、穴がない場所へのネジ留めも可能です。
インパクトドライバー(インパクト)
電動ドライバーの一種であるインパクトドライバーには、ハンマーが内蔵されています。衝撃を与えながら回転するため、硬い素材へのネジ留めの他、腐食して固まったネジや過度に締められたネジを外すのに有効です。インパクトと略されたりもします。
壊す・斫りする工具
ハンマーは、先端にある重量部分でものを打ち付けたり潰したりする道具の総称です。両手で使う大型のハンマーから、金槌と代表とする片手で扱うものの2種類に大別されます。さらに叩いて壊す系の小型重機「ハンドブレーカー」があります。
ハンマー(スレッジハンマー)
ハンマーは解体対象を(割り・壊し・斫り)する事に使用します。また、叩いて解体材同士の結合を外す役割もあります。特に、叩く部分が金属のものを金槌またはとんかちと呼びます。スレッジハンマーと呼ばれる大型のハンマーも使用します。
ネイルハンマー
バールとセットで使用される場合が多いネイルハンマーは、打ち面の逆側に釘抜きがついているのが特長です。釘打ちや建材を叩いての微調整に使うなどで使用します。別名西洋金づちとも呼ばれ、両端が円柱状の金槌よりも安定感があり使いやすいといわれています。
ハンドブレーカー
斫り工事(はつり)やコンクリート解体工事で使われる小型の駆動装置です。コンクリートを斫りする際に用いられる工具で、大型のブレーカーでは入られない場所や小規模の内装解体で用いられます。大型ブレーカーに比べ、騒音が抑えられます。
はつり工事は解体工事の中でも特殊な技術を要する工事です。はつり工事の詳細に関しては、こちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひ合わせてご参照ください。
切断を目的とした工具
のこぎりは建材の切断を目的として使用されます。手動、電動のこぎりに加えて、サンダーやグラインダーといった特殊な切断工具も合わせてご紹介します。
のこぎり
フローリングや石膏ボードなどの下地材を切断する際に使用します。両刃のこぎりや導突のこぎりなどの種類もありますが、内装解体工事は室内の狭所で作業することも多くあります。そのため比較的小さなタイプの片刃のこぎりが使われやすいです。
サンダー
切断や研磨に使われる電動工具です。グラインダーやディスクグラインダーとも呼ばれます。円盤状の研磨剤を高速回転させることで、解体材の切断や研磨を行います。内装解体工事においては斫り工事やスケルトン工事などで使用されることが多いです。
レシプロソー(ハンディソー)
レシプロソー(ハンディソー)は電動のノコギリの一種です。刃を交換することで、木材だけでなく、塩ビ管などのプラスチックからステンレスなどの金属を切断することも可能です。チェーンソーとは違い、1枚のブレード(鋸刃)を往復振動させることで物体を切断します。
丸のこ
丸ノコも電動ノコギリの一種で、円形の刃を回転させ解体材を切断します。通常ののこぎりよりも、材料を正確(まっすぐ)に切断できることが特徴です。刃を変えることでコンクリートや金属も切断できます。
ジグソー
ジグソーとは刃を上下に動かすことで、素材を切断する電動工具です。刃を変えることで金属やコンクリートも切断することができます。丸鋸よりもきるスピードが遅いですが、その分、繊細な切断が可能です。
チェーンソー
チェーンソーとはガゾリンや電動モーターの力を使い、多数の小さな刃を回転させて木材を切断するための道具です。基本的には内装解体というより、庭の植木など大きい木材を切断する際に使われる事が多いです。
切断系の工具が活躍する、軽天、LGSを含む鉄骨溶断解体についてはこちらで詳しく解説しています。ぜひこちらも合わせてご参照ください。
ハサミ系
解体工事では使用用途によって数種類のハサミが使用されます。細かいものを切断する目的のニッパー、カッターナイフも合わせてご紹介します。
金切鋏(かなきりばさみ)
工事の際に使われるハサミです。家庭用のハサミとは違い、薄い金属板(鉄板、銅板等)や分厚いトタン板などを切断することができます。切れ味が高いだけでなく、刃先の特殊な形状により、金属板にハサミが負けることなくまっすぐ切り進められる様になっています。
ニッパー・プライヤー・ペンチ
ニッパー、プライヤー、ペンチなどは総じて細い金属線の切断に使用します。サイズや刃先の構造によって微妙に用途が異なります。使用する際は、感電の危険がある電線は切らないように注意しましょう。
カッター
普段からおなじみのカッターナイフも紐や養生テープを切断する際に使います。建材を解体することには使いませんが、補助的な道具として常に身につけておきましょう。その他、ペンやメジャーなども補助的な道具は、一通り身につけておきましょう。
その他の内装解体工事で使用される工具
分類しきれなかった専門的な道具をまとめてご紹介します。内装解体工事では、タガネ、レンチ、バール、バチなど、普段は使用しない工具が必須になります。
タガネ(チゼル)
タガネとはヘラの様な金属製の工具です。刃先を解体物にあててハンマーで柄を叩くことで対象を削る、断ち切るために用います。レンガや古いコンクリートを割ったり、下地を傷つけることなく砂壁等を削ることができます。チゼルとも呼ばれます。スクレイバーと呼ばれるタイル剥がしに特化した計上もあります。
レンチ(スパナ)
ナットやボルトを回して緩めたり締め付けたりするために使用されます。ナットやボルトには多数の規格が存在するため、レンチもそれに対応できるようにするためある程度の種類を用意しておくことをおすすめします。ちなみにレンチとスパナに明確な違いはなく、語源がアメリカ英語かイギリス英語だという理由です。
バール
手壊し解体では必須となる工具の一つです。解体材の間に差し込みテコの原理を利用することで、解体対象を簡単に解体することができます。また同様の原理で釘抜きも簡単にできます。剥がす、叩く、土を掘るなど多種多様な使い方ができる便利な道具です。
バチ(解体鍬)
解体作業専用の鍬(クワ)で、テコの原理を使って解体材をバラしたり、先端で解体材を破壊するために使用します。主に西日本を中心に使用されており、バールの代わりにもなる解体道具です。
内装解体で作業員が身につける道具
ヘルメット
ヘルメットは内装解体工事に限らず、ほぼ全ての現場作業で使用されています。落下物から頭部を守るために着用します。ヘルメットはピンきりですが、安価なものはすぐに壊れて怪我につながる可能性もあります。
作業服(作業着)
解体現場では突き出た釘や木片、むき出しのコンクリートなど危険がたくさん潜んでいます。そのため現場作業用の作業服は多くが厚手にできています。また、服が引っかかったり機械に巻き込まれることを回避する為にもシンプルなものが望ましいです。
防塵マスク
内装解体工事では大量の粉塵が発生するだけでなく、アスベストやカビなどの有害物質が作業中に飛散する場合もあります。粉塵を大量に吸い込んでしまうと、じん肺といった病気になる危険があります。防塵ゴーグルと合わせて必須のアイテムです。
ゴーグル
防塵マスクと同じ役割も持ちます。また、目線より上の作業をすることが多い内装解体工事では、ゴミが目に入ることを防いでくれることも重要です。ガラスの解体など、危険物が飛散する恐れのある場合にも有用です。防塵マスクと合わせて使用しましょう。
アスベストは解体工事をする上で、取り扱い方法を絶対に覚えておかなければならない危険な部材です。アスベストに関してはこちらの記事で詳しく解説していますので、必ずご参照ください。
作業用手袋
全ての現場作業で手袋は使用します。しかし内装解体工事においては、ただの軍手では工具が滑りますし、解体中の木材のトゲが貫通してしまいます。解体工事用から廃材の運搬用まで、厚手のものや薄手のものを用意し、用途に合わせて使用しましょう。
安全靴
足元に釘が散乱する内装解体現場ではこちらも必須アイテムです。靴底に鉄板が入っているほか、つま先は硬い先芯で覆われているため、重量物の落下からも守ってくれます。不要な事故を避けるためにも、スニーカーや長グズでの作業は絶対に避けましょう。
工具袋
作業中にいちいち工具を交換しにいったり来たりするのは面倒ですよね。そのためよく使う工具や機材などを工具袋に入れておきます。またポケットに入れるだけでは工具が落下し、思わぬ事故を招く危険性もあります。スムーズに、安全に解体作業を進めるためには必須のアイテムです。
解体工事を依頼する際は、安全に配慮した信頼できる業者を見つけることが重要です。信頼できる解体業者の選び方は、こちらの記事でも詳しく解説しています。こちらも合わせてご参照ください。
内装解体後の掃除道具
スコップ(シャベル)
内装解体においてスコップは、穴を掘るというよりもガラ(瓦礫)をガラ袋に入れる際などに役立ちます。そのため、先が四角い角スコップを使用することが多いです。
竹箒
内装解体工事では大量のゴミが出ます。竹箒であれば通常の箒では掃けない比較的大きいガラもまとめて掃くことができます。スコップなどでガラ材をあらかた撤去した後に、小さなゴミやホコリを掃くために使用します。
ブロワー
ブロワーとは送風機のことで、強い風で埃・チリを飛ばすことできれいにします。サッシの溝に小石や砂埃が溜まった時や、内装解体の最後の掃除などでよく使われます。逆に業務用掃除機として集塵機能があるものもあります。
手箕(てみ)
「てみ」とは巨大なちりとりのような道具です。もともとは農具で穀物の選別の際に殻や塵を取り除くためのものでした。内装解体ではチリトリと同じ役割で使用されます。プラスチック製でオレンジ色のものがスタンダードです。
ガラ袋
ガラ袋とは内装解体工事をはじめとした建築・土木現場にて、発生する大量のガラ(がれき)を入れておくための丈夫な袋です。ガラ(がれき)の中には尖ったものも多いため、壊れにくいポリプロピレンで作られていることが多いです。
ネコ(一輪車・手押し車)
廃材を運搬するための手押し車です。解体現場に廃棄物を運搬するトラックが搬入できないときなど、トラックまで廃棄物を運ぶために用いられます。「ネコ」という俗称の由来は、ネコ一匹が通れるくらいの幅があれば通れることから来ていると言われています。
その他の道具
ライト
内装解体工事では感電の危険性があるため解体中の部屋の電気は使用しません。しかし室内の作業では高原がなければ危険なため、専用のライトを使用します。業務用の強力なライトからクリップライトとよばれる小型のライトまで、状況に合わせて使用します。
脚立
内装解体とはいっても天井など比較的高所などの作業もあるため、脚立は必須のアイテムです。ちなみに脚立には正しい使用方法があり、昇降面を作業面の逆側にし、両足を揃えて脚立に立ち、天板やはしご部分の側面にスネを当てた状態で使います。
ブルーシート(養生シート)
予めブルーシートや養生シートで窓や通路を覆っておくことで、粉塵を飛散させることを防ぐとともに、最終的に解体工事ででた瓦礫を簡単にまとめられます。室内では、床や壁などを汚れから保護する用途の養生シートが使用されます。
養生についてはこちらの記事で詳しく解説しています。ぜひこちらも合わせてご参照ください。
電源ドラムリール
解体時は安全のために電気ブレーカーを落とすため、別の場所から電気を引っ張ってくることが必要になります。そのため電動ドラムリールがあると便利です。
養生テープ
様々な場面で役に立ちます。例えば内装解体工事中にはコンセントに貼り付け発生した木屑や粉塵がコンセントに入れば火災の危険性があります。そんな時にコンセント穴を養生テープで塞ぐことで火災を防止できます。
それぞれの工具の役割を理解して、スムーズに内装解体を進めましょう
内装解体工事で使用される道具を36選にわたってご紹介してきました。どこかで見たことがある工具も多かったのではないでしょうか。それぞれの工具の役割を理解して、スムーズに内装解体を進めていただけますと幸いです。
なお、内装解体工事には怪我や感電などの危険が伴います。無理なく進められるDIYの範囲を超える解体作業は、手間と道具を揃える費用を考慮すると、業者に依頼したほうが安く安全にすむ場合が多いです。ぜひ私たち株式会社ウラシコにお任せください。
部分解体の費用についてはこちらのページで詳しく解説しています。DIYをご検討される前に、ぜひこちらも合わせてご参照ください。