2025/11/18
飲食店の破産手続きの流れ|行政手続や設備撤去、原状回復まで徹底解説

「破産」と聞くと、無一文になるというようなイメージを持っている方も多いと思いますが、実態としては債務の整理と再出発のための法的手続きが実施されるため、ある意味前向きな作業ということもできます。
飲食業は参入しやすく開業希望者が多い一方で、廃業率も非常に高い業種として知られています。近年では物価の高騰や人件費の上昇などによる値上げを余儀なくされ、客足の減少に悩む店も少なくないはずです。
その結果、売上の減少や借入返済の遅延、家賃滞納などが重なり、最終的に破産を選択せざるを得ないケースも増えてきています。今回は、破産手続きについて現場目線で徹底解説していきます。
テナントの原状回復の流れはこちらの動画でも解説しています。ぜひこちらの動画もご覧ください。
目次
飲食店の破産手続きについて
破産手続きとは

破産手続きとは、債務者が支払い不能の状態に陥った際に裁判所の管理下で債務者の財産を処分して現金に変換し、債権者に公平に分配するための法的手続きのことです。
破産すると、一定の財産(生活必需品・99万円以下の現金など)は残すことができますが、破産情報は信用情報機関に5~10年の間登録されるため、その期間は新規借入やクレジットカード発行が難しくなります。
飲食店の場合には、経営形態によって以下の2種類に分かれます。
個人事業主の破産(個人破産)
経営者個人が事業債務の支払い不能に陥った場合に行う破産手続きのことで、免責許可が下りれば、原則として借金の返済義務が免除されます。
法人の破産(法人破産)
株式会社や合同会社など法人格を有する飲食店が破産する場合には法人そのものが消滅することになります。法人の代表者個人などが連帯保証人になっている場合は、別途個人破産の手続きも必要になります。
飲食店の破産手続きの流れ
破産手続きは一般的に以下のような流れで行われます。
①専門家への相談と現状整理

まず初めに行うべきは、弁護士や司法書士へ相談することです。破産は自力でも申立て可能ですが、専門的な書類の作成や債権者への対応など専門的な知識、経験が求められることが多いため、法律の専門家に依頼するのが一般的です。相談する時には、以下の資料を用意しておくと話がスムーズに進みます。
・売上、仕入、経費の帳簿(決算書・確定申告書)
・借入金の契約書、返済状況がわかるもの
・リース契約、家賃契約の契約書、取引先一覧
・保有資産の明細(現金、預金、車両、厨房設備など)
②営業停止・閉店準備

実際に破産手続きを進めることになれば、破産を申立てる前後で、通常は店舗の営業を停止します。在庫食材や什器備品、内装設備は破産管財人が財産として処理するため、勝手に処分してはなりません。ただし、早期閉店を決断した場合には、廃棄物処理や衛生管理に配慮しつつ、弁護士などと相談しながら閉店準備を進めても問題ありません。
③申立書類の作成と裁判所への提出

破産手続きのためには破産申立書が必要になりますが、この書類には、財産目録、債権者一覧表、収支状況説明書など多くの書類を添付する必要があります。専門家へ相談するタイミングである程度そろえておけば、この段階で急いで準備する必要もありません。
個人事業主が破産の申立を実施する場合には「免責申立書」も同時に提出し、債務の免除を求めることになります。申立先は、店舗所在地または居住地を管轄する地方裁判所で、提出後に裁判所が形式的要件を確認し、破産手続開始の可否を決定することになります。
④破産手続開始決定と破産管財人の選任

裁判所が破産手続き開始を認めると、「破産手続開始決定」が出され、同時に破産管財人が選任されます。破産管財人は債務者の財産を管理・処分し、そこで発生した現金を債権者に分配する役割を担います。
個人の小規模な飲食店では、財産がほとんど存在しない場合も多く、「同時廃止事件」として扱われることが多くなっています。一方で、設備や在庫、保証金などが一定額以上ある場合は、「管財事件」としてより詳細な調査・処分が行われます。
同時廃止事件について
破産手続きの開始決定と同時に、その手続きを終了させる(廃止する)ケース。処分して現金化できる財産がほとんどなく、免責不許可事由がない場合に、破産管財人を選任せず、簡易かつ迅速に手続きを完了させることが可能。
管財事件について
一定以上の財産がある場合に、破産管財人を選任して財産の調査・処分を実施するケース。
⑤債権者集会・財産換価
破産管財人は店舗に残された備品や什器などを売却し、その代金を債権者に分配して支払うことになりますが、これらの手続きについては債権者集会という場で報告されます。この段階で債権者から質問や異議が出ることもあります。
⑥免責許可決定(個人破産の場合のみ)
個人破産の場合、破産手続きが完了すると、裁判所が免責の可否判断を開始します。免責許可決定が確定すれば、原則として全ての債務(税金・罰金など一部例外を除く)が免除され、借金返済などが免除されます。
破産手続きにかかる費用と期間

破産手続きにかかる費用と期間については、以下が目安となります。
| ケース | 費用 | 期間 |
| 個人事業主の同時廃止型破産 | 20~40万円程度
(弁護士費用込み) |
3~6か月 |
| 個人の管財事件 | 50~80万円程度
(予納金を含む) |
6か月~1年程度 |
| 法人破産 | 70~150万円程度
(規模や資産によって変動) |
6か月~1年半程度 |
※破産手続の費用は、弁護士報酬と裁判所への予納金が主な内訳ですが、資金が不足している場合は、法テラスを利用して分割払いにすることも可能となります。
従業員・取引先・家主への対応
自身の再起のための手続きはもちろん必要ですが、従業員や取引先、賃貸物件の場合には物件オーナーへの対応も必要になってきます。ここでは、それぞれどのような対応が必要になるのかを説明します。
従業員への対応
破産申立ての前後で、従業員には解雇通知を出す必要があります。手続きの流れで営業を停止し、閉店しようとしているのですから、当たり前に実施しなければなりません。
賃金や退職金が未払いの場合には、労働者健康安全機構の未払賃金立替制度により、賃金や退職金の一部が国から支給される制度がありますので、必要に応じて申請を実施するようにして下さい。
ただし、申請には雇用保険番号や勤務期間の記録が必要になってきますので、申請する場合には、早めに準備しておくようにしてください。
取引先・仕入業者への対応
破産手続開始決定後は、原則として債権者は個別に請求できなくなりますので、その旨を周知する必要があります。ただし、保証金や預け金の返還、リース物件の回収など、実務上のやり取りが発生する場合には、弁護士または破産管財人を通じて適切に対応することになります。
賃貸借契約・保証金
飲食店の破産で特に多いのが、店舗賃貸契約の処理です。原則として契約は破産によって解除され、保証金(敷金)は管財人が回収して債権者へ分配されることになります。店舗の原状回復に関しては、契約書の内容や家主の対応により異なるため、専門家と相談して対応していく必要があります。
飲食店の破産手続きまとめ

今回は、飲食店の破産手続きについて説明してきました。破産手続きを完了しても無一文になるわけではなく、一定の資産は残ります。
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