2021/05/27
【チェックリスト】飲食店閉店の流れとやるべきこと|行政手続きから原状回復まで徹底解説
やむを得ない理由で閉店を決断した方の中には、何から取り掛かれば良いか分からず、途方に暮れてしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで今回は、飲食店の閉店の際にやるべきこと、必要な行政手続き、原状回復までの一連の流れを分かりやすくご紹介します。是非ご参考ください。
目次
テナント退去の流れはYouTube動画でも解説しています!
テナント退去の流れとスケジュール感はウラシコのYouTubeチャネル【ウラシコチャンネル】でも解説しています。賃貸テナントの退去の流れは、契約の解除から原状回復工事、引き渡しまで複雑な行程があります。基本の流れとスケジュール感を押さえて、スムーズな退去を実現しましょう!
飲食店の閉店の流れとやるべきことリスト
飲食店の閉店の流れとやるべきことリストは以下になります。ご活用ください。それぞれのポイントは後述します。
□ ①管理会社や大家さんに解約届を提出 |
□ ②リース契約の清算 |
□ ③各種行政機関への届出 |
□ ③-1保健所 |
□ ③-2警察署 |
□ ③-3消防署 |
□ ③-4税務署 |
□ ③-5労働基準監督署 |
□ ③-6日本年金機構 |
□ ③-7公共職業安定所(ハローワーク) |
□ ③-8公共機関(電気・ガス・水道) |
□ ④レンタル品の返還 |
□ ⑤原状回復工事 |
□ ⑤-1賃貸借契約書で工事範囲について確認 |
□ ⑤-2工事のタイミングを決める |
□ ⑤-業者に見積もりを取る |
□ ⑤-4明け渡しの期日を明確にしておく |
①管理会社や大家さんに解約届を提出
解約を申し出た日から「契約書に定められた期間」はお店を続けるか閉店するかにかかわらず、家賃を支払い続けなければなりません。この期間を解約予告期間といい、長いもので8か月、短いもので3か月となっています。まずは、契約書をご確認ください。
居抜きで次の方に売却することをお考えの場合、解約届を出す前にお店を引き継いでくれる方を管理会社や大家さんに紹介するのが無難です。
管理会社や大家さんに解約届を出してしまった後で居抜きによる引継ぎが上手くいかなくなった場合、解約予告期間の期限切れで店舗を明け渡さざるを得なくなるばかりか、原状回復工事を要求されることもあり得るからです。
②リース契約の清算
お店を閉店する際にリース物品があり、残債が残っている場合は清算しなくてはなりません。リースとレンタルは根本的に違うものなので混同しないようにしましょう。
- レンタル:一定期間使用料を払って希望する機器を借り、必要なくなれば返品するもの。
- リース:希望する機器をリース会社に新品で購入させてその代金を長期にわたって分割払いするもの。
リース物品はリース会社に所有権がありますので、第三者に転売することはできません。またリース物品であることを告げずに居抜き店舗物件の一部として譲渡してしまうとトラブルになるので注意しましょう。
③各種行政機関への届出
③-1 保健所
飲食店を開業する時には保健所の許可をもらって営業を開始したかと思います。閉店する時も同様に、「廃業届」を保健所に届け出る必要があります。営業をしなくなった日から10日以内に届け出るよう義務付けられています。各地域の保健所HPから届出書を入手できます。
③-2 警察署
風俗営業許可を得て営業していた店(スナック・キャバレーなど)は、廃業した日から遅滞することなく、「返納理由書」と「許可証」を所轄警察署の生活安全課に届け出ることが義務付けられています。
また深夜酒類提供飲食店営業開始届を提出し、深夜にお酒を提供していた店舗は、廃業した日から10日以内に「廃止届出書」を届け出なければなりません。届出書は、各地域の警察署HPから入手できます。
③-3 消防署
店舗を開業する際に「防火管理者選任届」と「防火対象設備使用開始届」を提出したかと思います。そのため閉店時には「防火管理者解任届」を提出します。
こちらはいつまでにという指定はありませんが、閉店した日からなるべく早いほうが良いでしょう。防火対象設備使用開始届については、特に何も提出しなくて大丈夫です。
③-4 税務署
こちらについては届出を怠ると税務署からの書類に追われたり、追徴課税を課されることになるので確実に済ませましょう。下記の書類を必要に応じて届け出てください。
- 個人事業の開業、廃業等届出書・・・個人事業の場合は廃業日から1ヵ月以内に提出
- 給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出・・・従業員や専従者がいた場合、営業停止日から1ヵ月以内に提出
- 消費税の事業廃止届出書・・・消費税など課税事業者の場合、速やかに提出
- 青色申告の取りやめ届出書・・・青色申告で確定申告を行っている場合、取りやめようとする年の翌年3月15日までに提出
※各届出書は、国税庁のHPから入手できます。
③-5 労働基準監督署
労働保険に加入していた場合、「労働保険確定保険料申告書」を届け出なければなりません。営業終了日から50日以内に提出と、期限は比較的長いですが、忘れないようにしてください。なお、届け出は労働基準監督署だけでなく、各都道府県の労働局でも提出することが可能です。
③-6 日本年金機構
健康保険や雇用保険に加入していた場合、「健康保険・厚生年金保険適用事業所全喪届」と「雇用保険適用事業書廃止届」の事業主控えのコピーが必要です。こちらの提出期限は廃業日から5日以内に提出してください。期間が短いので、廃業が決定した段階で健康保険や雇用保険の加入状況を確認しておきましょう。
③-7 公共職業安定所(ハローワーク)
雇用保険に加入していた場合は以下の書類の届け出が必要です。
- 雇用保険被保険者資格喪失届・・・雇用保険の資格を失った日(退職日など)の翌日から10日以内に提出
- 雇用保険被保険者離職証明書・・・雇用保険の資格を失った日(退職日など)の翌日から10日以内に提出
- 雇用保険適用事業所廃止届・・・廃業日から5日以内に提出
③-8 公共機関(電気・ガス・水道)
閉店を決断したら、前もって電話で解約日(契約の終了日)を知らせておきましょう。毎月の請求書に記載されている電話番号に必ず電話しておいてください。これを忘れるといつまでも請求が来るだけでなく、追徴金を取られることもあります。
④レンタル品の返還
多くのやることリストの中で意外と忘れがちなのがこのレンタル品の返還手続きです。一般的なものとしては、以下のものなどがあります。
- ビールサーバー
- おしぼりウォーマー
- 音響設備
- 玄関マット
- グリスフィルター
毎月届いている月末払いの請求書に連絡先が書いてあるはずなので、そこに電話を入れ、引き取りに来てもらう日を決めましょう。レンタル品と気付かず捨てられてしまうと高額な料金を請求されることもあるので確実に返却手続きは済ませましょう。
店舗の原状回復の抑える方法につきましてはこちらの記事で詳しくまとめています。是非こちらも合わせてご参照ください。
⑤原状回復工事
⑤-1賃貸借契約書で工事範囲について確認する
まずは賃貸借契約書を読んで原状回復工事をどこまですべきなのかについて確認しておきます。確認した内容は物件貸主とも必ず共有しておきましょう。それによって原状回復工事にかかる期間などにもめどが立ち、今後のスケジュールを立てやすくなります。
⑤-2工事のタイミングを決める
原状回復工事をどのタイミングで始めるのかについて、契約書の内容や貸主の意見に基づいて決めておきましょう。飲食店などの店舗の場合は、物件の明け渡しの期日までに工事を完了させておかなくてはいけません。
ただし業者とのトラブルで工事が大幅に遅れてしまった場合、すべての責任を借主が負わなければならないわけでは必ずしもありません。これらの事情を考慮して工事を始めるタイミングを決めましょう。
⑤-3業者に見積もりを取る
工事のタイミングが決まったら、原状回復施工業者を選びましょう。選ぶときのポイントは相場観を把握しておくことです。原状回復業者のホームページ等を確認し、おおよその相場観を把握しておきましょう。その相場観をもとに交渉を続けるとスムーズです。
⑤-4明け渡しの期日を明確にしておく
貸主とよく相談して、いつ物件を明け渡すのか期日を明確にしておきましょう。貸主としっかり連絡を取っておくことで、トラブルもなく明け渡しをスムーズに進めることができます。
まとめ
飲食店の閉店に際してやるべきことをまとめましたが、大体の流れはイメージできましたでしょうか?開店時に比べて低いモチベーションの中で行ういろいろな手続きは憂鬱ですが、ここをしっかり完了しておくことで、数年後にリベンジを果たされている方も多くいらっしゃいます。
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