2026/02/23
【オーナー向け】原状回復工事で起きやすいトラブルと注意すべき原因と対策とは

1998年3月、民間住宅における賃貸借契約に関するトラブルを未然に防ぐために、国土交通省が「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を制定しました。
2004年2月、2011年8月に改訂が実施され、原状回復に関する一定の指針が定められていますが、原状回復工事に関する借主と貸主のトラブルは依然として多く発生しています。
これらの対応に頭を悩ませるオーナー様も多くいらっしゃるのではないでしょうか。今回は、原状回復に関するトラブルの原因と対策について、ウラシコが実際に対面したいくつかの事例を紹介していきます。
またすでにトラブルに発展している場合は、以下の記事をご参考ください。トラブルの相談先について解説しています。
目次
物件の損傷系トラブル
賃貸借物件で発生する可能性が高いトラブルとその原因、オーナー目線での対策をいくつか紹介していきます。
壁や床の傷や凹みの修繕費用トラブル

床の傷や凹みは、経年劣化や通常使用によるものはオーナー負担、借主の故意・過失によるものは借主負担が原則です。
ただし、入居時の状態を記録していない場合、それが「入居前からあったものか」「入居中にできたものか」を判断できず、費用負担をめぐってトラブルになりやすくなります。
また、借主が自己判断で床を修繕しているケースもあり、仕上がりが不十分な場合は退去時に再修繕が必要となり、その費用負担で揉めることがあります。
こうしたトラブルを防ぐためには、入居前の床の状態を記録し、入居時に借主にも確認してもらうことが重要です。入居時の記録があれば、退去時の判断がスムーズになります。
シミ・カビのトラブル

シミやカビは、結露が原因で発生するケースが最も多いトラブルです。ガイドラインでは、結露を放置して広がったシミ・カビは借主負担とされています。
一方で、建物の構造や断熱不足が原因の結露と判断される場合は、オーナー負担になる可能性もあり、責任の切り分けが難しい点が特徴です。そのため、シミ・カビは「どちらの責任か」で揉めやすいです。
トラブルを防ぐためには、浴室・洗面所・押し入れ・窓まわりなど結露が出やすい場所について、入居時に換気や使用方法を伝えておくことが有効です。
事前に注意喚起をしておくことで、退去時の説明もしやすくなります。
喫煙によるクロスの汚れ

喫煙によるクロスの汚れやにおいは、通常の生活による汚れを超えるものとされ、原則として借主負担になります。
タバコのタールによってクロスが変色したり、においが残った場合、クロスを張り替えなければ次の入居者を迎えられないケースも多く、オーナー側の実務負担が大きくなりがちです。
国土交通省のガイドラインでは、喫煙による汚れは経年劣化ではないと明示されており、借主に原状回復義務が生じるとされています。
トラブルを防ぐためには、入居時にガイドラインを説明し、喫煙による汚れは借主負担であることを明確に伝えることが重要です。可能であれば、契約書や特約に記載しておくと安心です。
ペットがつけた傷

ペット禁止物件の場合、ペットによる傷や汚れはすべて借主負担となります。一方、ペット飼育可物件では、経年劣化との線引きが難しく、トラブルになりやすい点に注意が必要です。
軽度な傷や汚れ、一般的な清掃で落ちる臭いであれば、通常損耗として扱われるケースもあります。
しかし、柱や壁の深い傷、複数箇所の破損、臭いが染みついて取れない場合は、借主負担になる可能性が高くなります。
特に、借主とオーナーで「傷や臭いの程度」に対する認識が異なり、費用負担をめぐって揉めるケースが多く見られます。
トラブルを防ぐためには、ペットによる傷や汚れの扱いを契約時に書面で明確にしておくことが重要です。ペット可物件の場合は入居時にも入念に説明しましょう。
無断リフォーム・造作の撤去トラブル

借主が棚や間仕切り、フック、ビスなどを無断で設置し、退去時に「どこまで原状回復するか」で揉めるケースがあります。
原状回復の基準を契約時に明確にしていないと、撤去範囲や補修費用をめぐってトラブルになりやすくなります。無断での造作は禁止することや、撤去ルールを退去前に入念に説明しましょう。
設備の故障・破損の負担区分トラブル

エアコンや給湯器、換気扇などの設備について、経年劣化による故障なのか、使い方による破損なのかでオーナーと借主の意見が分かれることがあります。
使用方法の説明が不十分な場合、本来は借主負担と考えられるケースでも判断が難しくなりトラブルにつながります。設備の取り扱いについて、賃貸契約書に明記してはっきりしておきましょう。
契約・費用系トラブル
敷金の返金トラブルについて

原状回復をめぐるトラブルの中でも、敷金の返金額に関する認識の違いは特に多く発生します。敷金は、原状回復費用と相殺したうえで、不足分は借主へ請求し、残金があれば返金するのが一般的です。
しかし、原状回復の対象や負担区分の考え方がズレると、返金額をめぐってトラブルになります。
よくあるのは、
- 借主負担でない費用が差し引かれている
- 修繕内容や金額の内訳が分からない
といったケースです。
トラブルを防ぐためには、
- 契約時に原状回復の負担区分を明確にすること
- 退去時は可能な限り立ち会いで確認すること
- 修繕費の明細をきちんと提示する
これらを徹底することで、敷金返金に関するトラブルは大きく減らせます。
退去立ち会いを拒否される

退去時に立ち会いを行わないと、傷や汚れがいつ発生したものか分からず、敷金返金や修繕費請求で揉めやすくなります。
可能な限り、退去時は立ち会いで確認することで、双方の認識を合わせることができます。借主が立会に応じない場合は、保証人に連絡をとり、確実に立会に参加してもらいましょう。
退去が遅れることによるトラブル

借主の都合で退去日が遅れ、原状回復工事や次の入居募集に影響が出るケースがあります。
退去が予定通り行われないと、工事開始が遅れ、空室期間が長引く原因になります。その結果、オーナー側の収益にも直接影響が出てしまいます。
トラブルを防ぐためには、退去日と明渡し条件を契約時に明確にしておくこと、退去連絡後もスケジュールをこまめに確認しておくことを徹底しましょう。
まとめ

今回は、原状回復工事で起きやすいトラブルと注意すべき原因とオーナー目線での対策を紹介してきました。
今回紹介したものについては、過去の事例などからもその発生が多くなっているものをピックアップして紹介していますので、退去時に余計なトラブルにならないようにあらかじめ確認し、対策するようにしてください。
トラブルになると時間もお金もかかりますし、精神的負担にもなりますので、事前の対策を推奨します。
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