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【10選】日本の解体工事で用いられる工法と種類|各工法の特徴とメリットデメリットを解説します

日本の解体工事で用いられる工法と種類

家屋やビルの解体工事を行う際、その方法・種類が多様なために「どの工法を選んで良いか分からない」という悩みを抱える方も多いかと思います。建物それぞれに構造や立地が異なるため、それらに合わせた適切な工法を用いる必要があります。

本記事では、木造、鉄骨造問わず、代表的な解体工法をご紹介して参ります。各工法のメリットデメリットを踏まえながら、それぞれの内容や特徴を把握しておきましょう。

また、解体工事の中でも内装解体はさらに種類が多岐にわたるため、こちらのカテゴリでまとめています。解体工事に関する知識を深めるためにも、ぜひこちらもあわせてご参照ください。

目次

現代日本における解体工事の原則

現代日本における解体工事の原則

解体工事の種類を説明する前に、現代の解体工事における基本的な原則について説明致します。解体工事における法律は「建築基準法」を筆頭に諸々ありますが、取り分け、2003年に施工された「建築リサイクル法(正式:建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律)」によって大きく変わりました。

この建築リサイクル方は、昨今の環境問題への配慮、産業廃棄物の廃棄トラブルの増加などから、分別解体等及び特定建設資材廃棄物の再資源化等の促進等を目的に施工されました。これにより、日本の解体工事に大きな変化が訪れます。まずは、この建築リサイクル方で定められている2つの原則から抑えていきましょう。

日本における解体工事の原則①ミンチ解体の禁止

日本における解体工事の原則①ミンチ解体の禁止

ミンチ解体とは、つかみ機等が取り付けられた重機を用いて、建物をまるごと取り壊すという解体工法です。建物をまるごとに取り壊すことで、工期も短くて済み、解体工費を抑えることができるため、以前は解体工事の主流となっていました。

しかし、この方法では建物をまるごと一緒くたに解体するため、2003年の建築リサイクル法施工により、現在では禁止とされています。解体の際に、あらゆる材料が混ざる状態となってしまうため、リサイクルが困難になるからです。

日本における解体工事の原則②分別解体の遵守

分別解体の遵守

先程のミンチ解体に変わり、現代では、「分別解体」と呼ばれる解体工事が主流・原則となっています。その名の通り、分別解体では、解体作業と並行して、コンクリートや木くずなどの分別を行いながら工事を進める必要があります。重機で解体した後に手作業で分別を行う必要があり、ミンチ解体よりも時間やコストが掛かります。

しかし、建築リサイクル方により、この分別を怠った場合、罰則が課せられます。また、施主が解体工事の前に届出書を行政機関に対して届けることや、事後に登記申請書等を届け出る必要があるということも定められています。

申請に関する詳細は解体工事を行う都道府県もしくは特定行政庁にてご確認ください。

解体工事で発生する廃棄物に関してはこちらの記事で詳しく解説しています。先程述べた罰則は施主に課せられる場合もあるため、ぜひこちらも合わせてご参照ください。

日本の解体工事の種類10選

日本の解体工事の種類10選

それでは、いよいよ日本で行われている代表的な解体工事方法をご紹介して参ります。先程述べたとおり、解体工法はその建物の構造によって異なります。そのため、解体工事は大きく分けて「木造建築」の解体工法と「RC造(鉄筋コンクリート造)SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)」の解体工法の2つに分かれます。

木造の解体工法2種類と鉄筋コンクリート造の解体工法8種類をご紹介します。なお、私たち株式会社ウラシコは内装解体を主とする解体工事の専門業者です。解体工事方法、業者選びでお困りの際は、ぜひお気軽にご相談下さい。経験方法な解体工事のプロが、アドバイスやお見積をさせていただきます。

木造建築の主な解体工事

木造建築の主な解体工事

木造建築は、地震の多い日本では特に多い建築構造です。主に住宅や事務所などに用いられています。一口に「木造」といってもその製材は多岐に渡ります。現代の木造建築では、木材に加えて、耐火性能を高めた集成材、CLT、LVLなどが用いられています。これにより比較的大規模な建物も木造で実現できるようになっています。

①手壊し工法

木造建築の解体工事

手壊し工法とは、重機が入らないような狭い敷地や住宅密集地において、バール等を用いて手作業で行う解体工事の工法です。重機が入れないところでは、基本的にこの手壊し工法での解体になるため、木造だけではなく、鉄筋コンクリート造の場合でも手壊し工法が採用されることも多々あります。

手壊し工法のメリット

重機を用いないため、騒音や振動が比較的少なく、近隣に迷惑があまりかかりません。さらに少しずつ解体するため、安全で丁寧な作業のもと、工事をすすめることができます。また、リサイクルの観点では、手作業のため高精度の分別、リサイクルを行うことができるとされています。

手壊し工法のデメリット

人力であるため工期が長くなり費用が高くなってしまう傾向があります。そのため、大規模な解体作業には向きません。単純な考え方になりますが、工期が二倍になれば、人件費も二倍になります。メリットの多い手壊し解体ですが、コスト面は十分に考慮する必要があります。

②機械解体工法・重機併用工法

機械解体工法・重機併用工法

機械解体工法とは、手壊し解体に加えて、重機を用いる工法です。重機併用工法とも呼ばれます。多くの木造住宅の解体撤去工事で用いられている工法です。重機を入れる場所を確保するまでや、リサイクルに関わる部分を手作業で行い、大規模な部分は機械で行うという解体工事の工法です。

機械解体工法・重機併用工法のメリット

人力の精度と重機の効率さという各々の良さを生かした工法です。工期、費用が安定しやすく、コスト面でのバランスが取れているため、木造解体における主流な工事となっています。

機械解体工法・重機併用工法のデメリット

機械を使うため、手作業のみで行う手壊し解体と比べて振動や騒音が発生します。工事で発生する騒音や粉塵には最大限配慮が必要です。また日本の住宅は隣家と密集しているため、敷地内に重機が立ち入れない場合があります。

RC造(鉄筋コンクリート造)SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)の解体工事

RC造(鉄筋工ンクリート造),SRC造(鉄骨鉄筋工ンクリート造)の解体工事

ここからは鉄筋コンクリート造の解体工法を8つご紹介して参ります。都市化が進んだ現代では、木造に変わり鉄筋コンクリート造の建物が主流になっています。RC造(鉄筋コンクリート造)は主に中規模のマンションや小規模のオフィスビル、SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)は高層マンションや高層ビルに用いられています。

③圧砕機(あっさいき)工法

圧砕機工法

圧砕機工法とは、油圧を原動力とするハサミ状のアタッチメント(コンクリート圧砕機)をショベルの先端部に取り付け、鉄骨や鉄筋を圧砕するという解体工事の工法です。”圧砕”しながら解体するため、それまで主流だった”はつり”に比べて振動や騒音が少なく、分別にも適しているため、現代の鉄筋コンクリート解体の主流となっています。

圧砕機工法のメリット

重機を用いる工事の中でも振動や騒音が少なく、解体の効率が良いことです。また小規模のビルであれば、単体で解体工事を行うことができます。その使い勝手の良さが解体工事の主流となっている要因です。

圧砕機工法のデメリット

解体時に発生する粉塵の量が多いとされています。そのため、粉塵の飛散を防ぐための養生シートや散水などの工夫が必要です。逆に言えば、鉄筋コンクリートの解体ではどの工事も粉塵が最大の課題になりますので、丁寧な養生や散水を用いている工事業者は優良な業者と言えるでしょう。

④カッター(ウォールソー)工法

カッターウォール工法とは

カッター工法はコンクリートカッターやダイヤモンドブレートウォールを加圧機またはショベルの先に取り付け、コンクリートを切断しながら解体するという工法です。主にコンクリート建造物の部分解体に用いられます。従来のはつりや圧砕よりも切断面の凹凸が少なくきれいに切断することができます。

カッター工法・ウォールソー工法のメリット

比較的振動が少なく解体のスピードが早いことです。また、断面をきれいに切断することができるため、解体部分以外に悪影響を及ぼしにくいです。発生する粉塵も比較的少なく、特にメリットの多い工法のひとつと言えるでしょう。

カッター工法・ウォールソー工法のデメリット

切断工法のデメリットは比較的少ないとされていますが、鋭い切れ味を誇るダイヤモンドブレードは、炭素でできており、鉄との親和性が高く急速に消耗するため、鉄を切断する場合には、比較的コストが高くかかります。

⑤ハンドブレーカー・大型ブレーカー工法

名古屋のフェンス撤去

ブレーカー工法は、ブレーカーと呼ばれる先端の杭を振動させることでコンクリートを破砕するという解体工事の工法です。主に地盤や壁などのコンクリートの部分的なはつりに用いられます。ブレーカー工法はその規模によって、手持ちのもの(ハンドブレーカー)とショベルの先端部につけるもの(大型ブレーカー)とを使い分けて工事を進めます。

ハンドブレーカー・大型ブレーカー工法のメリット

はつり=壊すことにより、スピード重視で能率よく作業を行うことができます。また、ハンドブレーカーに関しては、重機が入らない場所に対しても作業を行うことができます。ただし、ハンドブレーカーの扱いには熟練した技術と経験が求められます。

ハンドブレーカー・大型ブレーカー工法のデメリット

その他の工法に比べて比較的、振動と騒音が多く、粉塵も多く生じてしまうことです。特に大型ブレーカー工法を用いる場合は、周辺に与える影響が大きいため、周辺への配慮は必須になります。

⑥ワイヤーソーイング工法

ワイヤーソーイング工法

画像出典:wikipedia-wiresow

ワイヤーソーイング工法は、ダイヤモンドと金属を連結させた(ダイヤモンドビーズ)を取り付けたワイヤーを対象に巻きつけながら高速回転させることで、切断を行うという解体工事の工法です。駆動方式を変えることで、規模に合わせた切断を行うことができます。

ワイヤーソーイング工法のメリット

水中や高所でもどんな条件でも工事を行うことができます。その特性を生かして、防波堤や砂防ダム、橋脚などの切断に用いられています。ワイヤーを用いるため、縦横斜め自由自在に切断が可能です。騒音や振動も少なく、粉塵の飛散が少ないです。

ワイヤーソーイング工法のデメリット

ワイヤーの維持コストが比較的たかくかかってしまうことや、切断時に水処理が必要なことがデメリットです。また、比較的熟練した技術が必要とされており、専用の駆動機やワイヤーの特性を理解してないと重大な自己につながる危険性があります。

⑦転倒工法

転倒工法

転倒工法は、建物の外壁をそのまま内側に倒しその衝撃で破壊するという解体工法です。基本的にはワイヤーを用いて内側に倒します。独立させた壁や柱などの上部にワイヤーを取り付け、柱や梁の鉄筋コンクリートを切断したあと、重機を使ってワイヤーで引っ張り内側に倒します。

転倒工法のメリット

一旦地面に倒してから細かく解体していくため、高階層の建物で発生する高所の作業を少なくすることができます。また、地面に近い箇所で作業をするため、風の影響等も少なく、周辺への粉塵の飛散を抑えることができます。

転倒工法のデメリット

高い壁を倒すことで周囲に被害を及ぼし得る可能性があることです。そのため、作業には熟練した高度な技術や知識が必要となります。

⑧ウォータージェット工法

ウォータージェット工法

ウォータージェット工法は、ポンプで圧縮を加えられた水を噴射することで、コンクリートを切断するという解体工事の工法です。圧力を調整することで、コンクリートの破壊以外にも、表面を整えたりする作業にも用いられます。

研磨剤を混ぜたアブレシブウォータージェット工法という工法も開発され、引火の危険性のある作業場で重宝されています。

ウォータージェット工法のメリット

打撃による破壊でないため、振動がほとんど発生せず、水を用いるため環境負荷が削減され、粉塵も抑えられることです。また引火の危険性のあるところでは特に重宝されます。

ウォータージェット工法のデメリット

ハンドブレーカー工法に比べるとコストがかかり、やや大きめの騒音が生じてしまうことです。

⑨静的破砕剤工法

静的破砕剤工法

静的破砕剤工法とは、酸化カルシウムを主成分とした膨張剤(静的破砕材剤)を穴を穿いたコンクリートに充填し、その膨張圧によってコンクリートを破壊するという解体工事の工法です。圧砕機が使えない場所にある家屋や建物の基礎を破砕する場合に多く用いられます。

静的破砕剤工法のメリット

爆破による破壊でないため、振動や騒音が最小限に抑えられます。また、急傾斜地や不安定な場所にあるコンクリートや石材のはつりにも用いることができます。また、施工には、免許・資格等が必要なく取り扱いが比較的簡単とされています。

静的破砕剤工法のデメリット

膨張による破壊が行われるのが、充填から12時間~24時間と時間がかかってしまいます。

⑩ミニブラスティング工法

ミニブラスティング工法

ミニブラスティング工法は、火薬を用いて局所的な発破を行うという解体工法です。まだ日本では実用されていない工法ですが、近年、北欧諸国等において実用されており、日本においても近い将来実装され得る可能性があります。

ミスブラスティング工法のメリット

重機を用いる工法と比べて時間やコストを大幅に削減できることです。

ミスブラスティング工法のデメリット

安全面や騒音・振動などの発破によるリスクが高いことです。現在は、それらを制御した発破方法の研究が日本で行われています。

解体工事で注意すべきポイント

解体工事で注意すべきポイント

解体工事は小規模なものから大規模なものまでありますが、全てに共通して注意すべきこと3つをご紹介します。これらの注意ポイントは施主自らが責任を持って解体業者に確認を進めましょう。これからご紹介するポイントを守る解体業者が、優良な解体業者といえます。

近隣住民の方に十分な説明と了承を得てから進める

近隣住民の方に十分な説明と了解を得てから進める<

解体工事は、どのようにしても騒音、振動、粉塵などが発生します。そのため、近隣住民の理解と協力が必要不可欠です。そのため、工事開始前に挨拶回りや、工事の説明、了承を得ることが大切です。近隣住民への挨拶回りは、その範囲や規模が様々です。解体業者と連携しながら、最大限配慮して進めましょう。

不法投棄がないか(産業廃棄物マニフェストを発行しているか)

不法投棄

残念ながら解体工事で出た廃棄物を山などに不法投棄する解体業者も存在します。解体工事で発生したゴミや瓦礫は、産業廃棄物となり、通常のゴミとして捨てることができません。産業廃棄物は、マニフェストと呼ばれる廃棄伝票の発行が義務付けられています。マニフェストに則って処理されているかどうかも確認をするようにしましょう。

見積もりに不要な工事や不明瞭な点がないか

積もりがしっかりしているか

見積もりに関するトラブルも解体工事でよくあるトラブルの一つです。特に見積もりの中に不要な工事が入っていることがよくあります。解体工事の見積もり科目は専門的な用語が多く、素人目にはわかりにくです。気になる工事があったら、解体業者に直接質問して聞いてみましょう。ここで丁寧に答えてくれる業者に依頼しましょう。

優良な業者を探す際は、悪徳業者の特徴と手口をよく理解しておきましょう。これから解体工事を業者に依頼される方は、こちらの記事もぜひ合わせてご参照ください。

それぞれの解体工事の特徴を理解して、最適な工法を選びましょう

安全面や騒音・振動などの発破によるリスクが高い

解体工事の代表的な工法10選をご紹介致しました。どの工法も一長一短のメリットデメリットがあります。それぞれの特徴を理解して、最適な工法を選びましょう。

また、解体工事には、自治体への申請や許可、工事資格や建築リサイクル法などの法律が絡んできます。これらの資格や実績は、解体業者のホームページで確認することができますので、必ず確認しましょう。

法令を遵守する解体業者を選ぶことで、無用なトラブルに巻き込まれることも少なくなるでしょう。解体業者選びでお悩みの方は、ぜひ私たち株式会社ウラシコにご相談ください。

日本の建築物で主流となっている、鉄筋コンクリート造の建物についてはこちらの記事でも詳しくまとめています。ぜひ合わせてご参照ください。

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