2023/04/25
家庭用太陽光発電の撤去費用の相場|撤去工事の流れと産業廃棄物の処分方法を原状回復業者が解説します
少し前から、新築の際に太陽光発電のためのパネルを自宅の屋根などに設置する家庭が増えてきました。家の老朽化などで建て替えや解体で太陽光パネルをはじめとした装置を撤去しなければならなくなった場合に、どれくらいの費用が掛かるのか説明していきます。
また、こちらのページでは実際に弊社が作成している見積書を掲載しています。チェックポイントも合わせてご紹介していますので、ぜひこちらも合わせてご参照ください。
目次
太陽光発電の設備
まず初めに、撤去しなければならない太陽光発電用の設備にはどのようなものがあるのかをみていきます。太陽光発電用の設備には、太陽光パネル(太陽電池モジュール)、パワーコンディショナー、接続箱、変電設備などがあります。ここでは、パネルとパワーコンディショナーについて軽く説明しておきます。
太陽光パネル(太陽電池モジュール)
一般的に太陽光発電のための装置で思いつくのがパネルだと思います。このパネルの内部は発電する「セル(太陽電池)」を複数接続した「モジュール」が大量に並んだ構造になっており、太陽電池モジュールと表現されることもあります。
太陽光パネルは「シリコン系」「化合物系」「有機物系」に大きく分類され、主にシリコン系が主流で昔から使用されています。近年では、軽量化や高効率化のために、化合物系や有機物系のパネルの研究開発も進められており、それぞれをハイブリッド的に組み合わせたパネルも使用されています。
パワーコンディショナー
太陽電池で作った直流電力を家庭で使用できる交流電力に変換するとともに、電力の安定化を図るための装置のことです。家庭で使用するにしても、売電するにしても交流電力に変換する必要があるため、太陽光発電には必須の設備です。
太陽光発電設備の撤去方法
太陽光発電の設備は、撤去する理由によって3つのパターンに分かれます。
パターン1:太陽光発電の設備の寿命・不具合・故障で取り替えるとき
設備の寿命や不具合、故障の場合、また転居に伴う撤去が必要な場合には、太陽光発電の設備を設置した施工会社か太陽光発電設備の販売会社が設備撤去を行うことになります。
この時の処分に対して責任が発生する排出者(ゴミを出す人)は、メーカーまたは撤去を担当した施工会社もしくは販売会社になります。撤去を依頼した人ではないことに注意が必要です。
パターン2:事故や災害で太陽光パネルが破損したとき
事故や災害により、太陽光パネルが落下し破損しているような場合には、太陽光発電設備の所有者が排出者となり、自身の責任で処分しなければなりません。
完全に屋根から落下してしまった太陽光パネルは、法律上は産業廃棄物ではなく一般廃棄物扱いになるため、各自治体によって取り扱いが異なります。
先に紹介したように、有害物質が含まれていることもありますので、専門の業者に回収を依頼するよう指示があることがほとんどです。
また、太陽光パネルは落下して故障しているように見えても、実は電気が通っていることがあり、場合によっては感電や怪我の危険性がありますので、専門の業者に依頼することをおすすめします。
パターン3:家の建て替えや解体工事に伴って撤去するとき
家の建て替えや解体工事の際に、設備を撤去する場合には、通常であれば解体工事業者が撤去作業を実施することになるため、解体工事と合わせて太陽光発電設備の撤去を依頼することになります。
この時の排出者は、解体業者となり、解体業者は別の処分業者に処分を依頼することになります。
太陽光発電設備の撤去費用
太陽光発電設備を撤去する際の費用は、主に作業費、人件費、足場代、運搬・処分費用で構成されます。
作業費・人件費はおおよそ10万円ほどで、足場代は1㎡あたり700円~1000円ほど、処分費用は、種類によって異なりますが、重さ18㎏以下の単結晶ソーラーパネルの場合1枚当たり1200円程度で、運搬費用は排出された場所から処分場までの距離によって変動します。
これらの費用をすべて考慮すると、30〜50万円程度になることが考えられます。さらに、太陽光パネルの撤去後、屋根の修復などを実施する場合には別途費用が数万円〜発生することになり、最終的には100万円程度の費用が掛かることも考えられます。
太陽光発電設備の処分方法
太陽光発電用の設備は産業廃棄物として処分しなければならないものもありますので、処分の際には注意が必要です。
先に紹介した設備のうち、太陽光パネル(太陽電池モジュール)は鉛、セレン、カドミウムといった有害物質を含んでいることがあるため、「金属くず」、「ガラス・コンクリート・陶磁器くず」、「廃プラスチック類」の混合物に該当し、産業廃棄物として適切に処分する必要があります。
先に紹介した設備のうち、太陽光パネル以外の架台、パワーコンディショナー、接続箱、変電設備などは、粗大ごみとして処分することになります。
これとは別に、各種設備を買取している業者も存在します。太陽光パネルに関しては、未使用、中古、故障品に至るまで買取を行っている業者もあります。
太陽光パネルのほか、架台やパワーコンディショナー、接続用のケーブルに至るまで買取を行ってもらえる可能性がありますので、一度調べて問い合わせを実施してみるのがいいかもしれません。
まとめ
今回は、太陽光発電用の設備の撤去とその費用について紹介してきました。設置するところまではしっかり考えている方が多いでしょうが、その後の撤去のことまで設置の段階で考えていらっしゃる方はあまり多くないのではないでしょうか。
撤去のほうにもそれなりに費用が掛かることになりますので、設置の時に撤去のことまで考えるようにしてください。
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