2022/06/22
【5分でわかる】アスベストの種類と主な使用箇所|アスベスト除去業者が解説します
「建物の解体の際によく耳にするアスベストってなんなんだろう?」
「アスベストは有害って聞くけど、いろいろな種類があるのかな?」
このように、アスベストについてよく耳にするけど、詳しくは知らないという方は、多いのではないでしょうか。この記事では、アスベストの特徴と種類を詳しく解説していきます。
アスベストは身体に悪い物質だというのは、多くの方がご存じでしょう。建物の解体の際に近寄らないようにと、警告があることも多いです。アスベストといってもさまざまな種類があり、種類によって有害性が変わってきます。
この記事ではアスベストの種類を解説します。
また、令和4年4月1日のアスベスト関連法令の改正実施内容に関しましては、こちらのページで詳しく解説しています。解体業者の現場目線で変更点を解説していますので、ぜひご参照ください。
目次
令和4年のアスベスト改正実施はYouTube動画でも解説しています!
アスベスト関連法令の改正実施の解説はウラシコのYouTubeチャネル【ウラシコチャンネル】でも解説しています。解体業者の目線で現場がどのように変わるのかわかりやすく説明していますので、ぜひこちらもご参照ください!
建物でよく聞くアスベストとは?
アスベストは、天然の繊維状けい酸塩鉱物です。別名で「せきめん」や「いしわた」などと呼ばれています。昭和50年まで保温断熱の目的で、ビルなどの建物の内装にアスベストを吹き付ける作業が一般的におこなわれていました。昭和50年以降も他の用途で使用されていましたが、現在は原則として使用と製造が禁止されています。
アスベスト繊維を大量に吸い込んでしまうと、繊維が肺に残り、じん肺や悪性中皮腫、肺がんなどを引き起こしてしまう可能性があるとされています。人体に影響を及ぼす可能性のある素材であると、覚えておくといいでしょう。
アスベストの特徴とは?
アスベストは繊維状であることから、引っ張りの耐久性に優れており、絶縁性(電気を通しにくい)、耐熱性、絶縁性、耐腐食性(細菌・湿気に強い)、耐摩耗性(摩擦や摩耗に強い)、耐薬品性、親和性(他の物質と密着性に優れている)などに優れた特徴を持っています。
また、安価というのも大きなポイントです。ビルなどの建物の内装の素材としては、とても効果的な効力を持っていることになります。しかし、アスベストの繊維はとても細かいため、空気中に浮遊しやすく吸入されやすいです。
アスベストの種類とは?
アスベストの種類は大きな分類として、「蛇紋(じゃもんせき)石族」と「角閃(かくせんせき)石族」に分けられます。その中を細分化して主に以下6つに分類されるのが一般的です。
- クリソタイル(白石綿)→蛇紋石族
- クロシドライト(青石綿)→角閃石族
- アモサイト(茶石綿)→角閃石族
- アンソフィライト石綿→角閃石族
- トレモライト石綿→角閃石族
- アクチノライト石綿→角閃石族
上記6つの種類を理解しておくことで、知っておくべきアスベストの知識を網羅できるでしょう。
クリソタイル(白石綿)
世界で使用されているアスベストの9割以上を占めるのが、クリソタイル(白石綿)です。カナダで生産されている石綿で、蛇紋岩を構成する主要な鉱物の一つとなっています。
耐熱性は約500℃まで安定しており、抗張力が石綿の種類の中で最も優れているとされています。しかし、耐薬品性ではどの石綿よりも劣るのが特徴です。
クロシドライト(青石綿)
アスベストの中でも毒性がとても高いのがクロシドライト(青石綿)です。主に建物の内装の吹き付けやセメント高圧管などに使用されていました。青色が特徴的な石綿でもあります。
アモサイト(茶石綿)
桃色をしているのが特徴の石綿で、吹き付け石綿として使用されていました。主に建物の断熱保温材に使用されるのがアモサイト(茶石綿)です。
アンソフィライト石綿
耐薬品性で最も優れているのがアンソフィライト石綿です。熊本県にある鉱山で採取されていましたが、2004年以降は生産・使用が禁止されています。
トレモライト石綿
タルクや蛭石などの不純物として含まれる石綿で、日本ではあまり出回っていない石綿です。2004年以降は生産・使用が禁止されています。
アクチノライト石綿
アクチノライトは、トレモライト石綿と同様にタルクや蛭石などの不純物として含まれる石綿です。こちらも日本ではあまり出回っていない石綿になります。2004年以降は生産・使用が禁止されています。
アスベストはこれまで紹介してきた6つの種類が現在確認されている全てになります。今後も新しいアスベストが発見される可能性があるでしょう。
アンソフィライト石綿とトレモライト石綿、アクチノライト石綿は2004年以降に使用が禁止されているため、クリソタイルとクロシドライト、アモサイトが日本では主に使用されています。
アスベストが使用されている可能性が高い箇所
アスベストは、昭和50年まで保温断熱の目的でビルなどの内装(断熱材や石膏ボード、壁、屋根、天井)に使用されていました。
昭和50年にアスベストの使用が原則禁止となりましたが、昭和50年以降も断熱材や保温材、防音材、ストレート材などで少量の使用されていました。建物の他にも自動車の摩擦材などに使用されています。
アスベストの規制について
アスベストを0.1%以上含む建材は、労働安全衛生法施行令によって、2006年9月から製造や使用などが原則禁止になっています。
また、2021年4月1日から、大気汚染防止法の一部が改正され、建物などの解体や改造、補修工事によってアスベストの飛散防止が今まで以上に徹底されるようになりました。
アスベストが含まれている建材を隔離等なしで除去・撤去作業を行なった場合は、直接罰が適用されるようになっています。直接罰は、3ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金です。
まとめ
この記事では、アスベストの特徴と種類を詳しく解説してきました。この記事の重要ポイントは以下です。
- アスベストは、天然の繊維状けい酸塩鉱物で、別名「せきめん」や「いしわた」と呼ばれている
- アスベストは、引っ張りの耐久性に優れており、絶縁性(電気を通しにくい)、耐熱性、絶縁性、耐腐食性(細菌・湿気に強い)、耐摩耗性(摩擦や摩耗に強い)、耐薬品性、親和性(他の物質と密着性に優れている)などに優れた特徴を持っている
- アスベストの繊維はとても細かいため、空気中に浮遊しやすい
- アスベストの種類は大きな分類として、「蛇紋石族」と「角閃石族」に分けられる
- クリソタイル(白石綿)は、世界で使用されているアスベストの9割以上を占める
- アンソフィライト石綿とトレモライト石綿、アクチノライト石綿は2004年以降に使用が禁止されている
- クリソタイルとクロシドライト、アモサイトが日本では主に使用されている
- アスベストは、保温断熱の目的でビルなどの内装(断熱材や石膏ボード、壁、屋根、天井)に使用されています
- アスベストを0.1%以上含む建材は、2006年9月から製造や使用などが原則禁止
- 2021年4月1日から、大気汚染防止法の一部が改正されて、アスベストの飛散防止が今まで以上に徹底されている
アスベストは、人体に悪影響をもたらす有害な物質であります。しかし、アスベストは、建物の内装に使用するのに適した特徴を持っているのも事実です。
アスベストの知識を持っておくことで、事前に危険を回避できるなど、役に立つことがあるでしょう。上記のポイントを参考にして、アスベストの知識を深めてみてください。
アスベストに関する記事はこちらのカテゴリーでまとめています。令和4年度の改正法令を反映した記事を公開していますので、ぜひ合わせてご確認ください。
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