2022/07/21
【アスベスト調査に関する資格4選】どの資格が必要?取得方法は?解体工事業者目線で解説します。
令和4年4月1日以降から、都道府県等に調査報告が義務付けられた「アスベスト」。
アスベストの有無に関わらず、建築物の解体・改修・補強工事において、アスベストが含まれているか否かの調査報告を遅延なく行う必要があります。
本記事は、アスベスト調査に必要な資格と取得方法について解説します。これからアスベスト調査資格の取得を考えたい方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
また、令和4年4月1日のアスベスト関連法令の改正実施内容に関しましては、こちらのページで詳しく解説しています。解体業者の現場目線で変更点を解説していますので、ぜひご参照ください。
目次
アスベストの資格に関する情報はYouTube動画でも解説しています!
アスベスト関連法令の改正実施の解説はウラシコのYouTubeチャネル【ウラシコチャンネル】でも解説しています。解体業者の目線で現場がどのように変わるのかわかりやすく説明していますので、ぜひこちらもご参照ください!
アスベスト調査には資格が必須
アスベストの調査報告が義務付けられていますが、調査するためには資格が必要とされています。アスベストは取り扱いを誤ると、アスベストの吸い込みによる肺がんや肺水腫などの症状が発症します。
また、適正な調査方法を学んでおかければされ基準を満たした調査内容が報告ができないため、アスベスト調査の資格は必須です。もちろん場所によっては、高所の調査を行う場合や地下などで行う場合に必要な資格を取得する必要があるでしょう。
そもそもアスベストとは?
アスベストとは、別名「石綿」とも呼ばれ、「耐久性」「耐熱性」「耐薬品性」「防音性」など、優れた性質を持っている繊維状の鉱物です。幅広い用途で使われており、主に建築物の天井裏や屋根材として多く使われていました。
しかし、1970年頃に世界的にアスベストの使用が問題視され、日本でも1975年に吹付アスベスト使用禁止が発表されました。その後も段階的にアスベストの使用が禁止され、現在では完全に使用禁止になっており工事の際の調査報告が義務化されています。
そのため、建築物の解体・改修・補強工事を行う際は、必ずアスベスト調査を行いましょう。また、建築物の大きさによっては、事前調査報告義務に該当しない場合があるため、下記のリンクから確認しておきましょう。
アスベスト調査に関する資格4選
ここでは、アスベスト調査等に必要な資格と取得方法について解説していきます。
- 石綿作業主任者
- アスベスト診断士
- 建築物石綿含有建材調査者
- 作業環境測定士
アスベスト調査をするには、上記の4つを取得するとアスベスト調査の業務に従事できます。それぞれ詳しく見ていきましょう。
石綿作業主任者
石綿作業主任者は、建築物の解体や改修工事現場などで石綿作業主任になれるアスベスト専門の資格です。労働安全衛生法に定められた国家資格であり、石綿取り扱い作業を行う事業では、石綿作業主任者を選任する義務があります。従事できる仕事内容の一部としては、以下となります。
- 粉じんの吸引を防止するための作業指示
- 吸排気措置などの予防装置の点検
- 保護具の確認
- 退避指示を行う
石綿作業主任者の取得方法
石綿作業主任者の取得には、2日間の講習と修了考査を受講すると取得できます。講習内容としては、以下の通りです。
- 健康障害及びその予防措置に関する知識
- 作業環境の改善方法に関する知識
- 保護具に関する知識
- 関係法令
受験資格については、現在は特にありません。しかし、18歳未満は石綿作業主任者に選任できないことから、18歳以上とする場合もあるため注意しましょう。講習開催場所については、厚生労働省のHPで公表されているため、下記のリンクよりご参照ください。
参照:厚生労働省|講習会情報
アスベスト診断士
アスベスト診断士は、既存の建築物のアスベスト調査や取り扱いのアドバイスができる資格です。「石綿の有無の調査の基本がわかる者」や「石綿処理工事の監査ができる者」などの養成を目的として発足しました。主な仕事内容としては、以下の通りです。
- アスベストの使用場所の調査
- 処理の要否と処理方法の判断
- アスベストを含む建物の解体工事が適正判断
アスベスト診断士の取得方法
アスベスト診断士の取得方法は、同協会が実施する3日間の研修会と試験に合格すると取得できます。講習内容は以下の通りです。
- 基礎編
- 調査・診断編
- 石綿処理編
また、受講資格者に該当しなければ、受講できません。以下のいずれかに該当する必要があります。
- 石綿作業主任者技能講習修了者又は特定化学物質等作業主任者技能講習修了者(平成18年3月まで)
- 第1種の作業環境測定士
- 建築士法に基づく、一級建築士及び二級建築士の免許登録者
- 建設業法に基づく、一級施工管理技士(建築施工管理)の資格を有する者
- 労働安全衛生法に基づく、労働衛生コンサルタントの資格を有する者
- アスベストを含むものの除去に関し、3年以上の実務経験をもつ者
- アスベスト有無の事前調査に関し、1年以上の実務経験をもつ者
アスベスト診断士の講習開催場所については、下記のリンクよりご参照ください。
建築物石綿含有建材調査者
建築物石綿含有建材調査者は、建築物の解体や改修を行う際にアスベストの有無を調査する資格です。「一般」「一戸建て」「特定」という3つの種類があり、それぞれで従事できる建築物が異なります。
一戸建ては、戸建て住宅の調査の専門の資格であり、一般と特定は、一戸建ても含めた、全ての建築物、構造物を調査できます。また、令和5年10月1日より、建築物石綿含有建材調査者が調査にあたることが義務付けられたため、取得は必須となります。
建築物石綿含有建材調査者の取得方法
建築物石綿含有建材調査者の取得方法は、講習機関が提供している建築物石綿含有建材調査者講習と修了考査を受講する必要があります。主な講習内容は、以下の通りです。
- 建築物石綿含有建材調査に関する基礎知識
- 石綿含有建材の建築図面調査
- 現場調査の実際の留意点
- 建築物石綿含有建材調査報告書の作成
- 成形板等の調査
また、アスベスト診断士と同様に受講資格者でなければ受講できません。受講資格や受講場所については、下記のリンクよりご参照ください。
作業環境測定士
作業環境測定士は、アスベストが飛散する可能性がある場所で、濃度やサンプリングの解析ができる資格です。労働安全衛生法に定められた国家資格で、第一種と第二種の2種類があります。
- 第一種作業環境測定士:デザイン・サンプリング、分析(解析を含む)のすべて
- 第二種作業環境測定士:デザイン・サンプリング、簡易測定器による分析業務のみ
第二種作業環境測定士は従事できる業務が定められているため、取得前に必要な作業内容を確認しておきましょう。。
作業環境測定士の取得方法
作業環境測定士の取得方法は、資格試験に合格して、指定された登録講習を受講しなければ取得できません。試験内容としては、5つの選択肢から正解を選ぶマークシート形式となっており、60%以上の点数で合格となります。
合格後は、「日本作業環境測定協会」や「関西労働衛生技術センター」などで登録講習を受けましょう。また、詳しい受験資格については、下記のリンクよりご参照ください。
専門の資格を取得してアスベスト調査に携わろう
アスベストへの危険性への注目は、徐々に高まってきており、アスベスト調査の資格を取得しなければ、作業に従事できません。本記事では、アスベスト調査に必要な資格と取得方法について解説しました。アスベスト調査を行う上では必ず資格は必要となるため、計画を立てて早めに取得するようにしましょう。
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