2022/10/13
アスベスト診断士とは?解体工事業者は取得必須?資格と役割をわかりやすく解説します。
「アスベスト診断士」という言葉を聞いたことがありますでしょうか。解体工事等の前に行う事前調査を行うものが保有していたほうがいいとされる資格の1つで、一般社団法人 JATI協会が認定している資格です。今回は、「アスベスト診断士」について詳しく説明していきます。
また、令和4年4月1日のアスベスト関連法令の改正実施内容に関しましては、こちらのページで詳しく解説しています。解体業者の現場目線で変更点を解説していますので、ぜひご参照ください。
目次
アスベストの資格に関する情報はYouTube動画でも解説しています!
アスベスト関連法令の改正実施の解説はウラシコのYouTubeチャネル【ウラシコチャンネル】でも解説しています。解体業者の目線で現場がどのように変わるのかわかりやすく説明していますので、ぜひこちらもご参照ください!
アスベスト診断士
概要
アスベスト診断士とは、石綿(アスベスト)に関する幅広い基礎知識を持ち、建築物等に使用されている石綿の調査や安全な取扱いに関してアドバイスを行うことができる人材のことです。
アスベストの使用場所のチェック、使用されているアスベストの処理の要否と処理方法の判断、アスベスト除去工事が適正かどうかの確認が主な仕事になります。
一般社団法人 JATI協会が開催する講習会と試験に合格すると資格を得ることができます。
講習は3日間かけて行われ、石綿に関する基礎知識から、事前調査の方法や注意点、建設リサイクル法など関係法令まで幅広い内容の講習が行われます。資格の有効期限は2年間で、更新のためには半日の講習を受ける必要があります。
受講資格
アスベスト診断士になるためには、JATI協会が開催するアスベスト診断士養成研修会を受講する必要があります。この研修会に参加するには、以下に挙げる条件のいずれかを満たす必要があります。
・石綿作業主任者技能講習修了者又は特定化学物質等作業主任者技能講習修了者(平成18年3月まで)
・第1種の作業環境測定士
・一級建築士及び二級建築士の免許登録者
・一級施工管理技士(建築施工管理)の資格を有する者
・労働衛生コンサルタントの資格を有する者
・アスベストを含むものの除去に関し、3年以上の実務経験をもつ者
・アスベスト有無の事前調査に関し、1年以上の実務経験をもつ者
※資格・:免許については資格証明の写し、実務経験に関しては職場上司などの業務経験証明が必要です。
※2020年時点での資格ですので変更されている可能性もあります。
出典:アスベスト診断士養成研修会について(JATI協会HP)
大気汚染防止法改正の影響
大気汚染防止法改正で、2023年10月1日以降は事前調査を行うことができるのは「建築物石綿含有建材調査者」か「令和5年9月30日以前に(一社)日本アスベスト調査診断協会に登録され、事前調査を行う時点においても引き続き登録されている者」に限定されることになりました。
そのため、JATI協会のアスベスト診断士の資格だけでは、事前調査を行うことができなくなります。しかし、アスベスト調査診断協会に入会・登録すると、「日本アスベスト調査診断協会に登録され、事前調査を行う時点においても引き続き登録されている者」となり、2023年10月以降も引き続きアスベストの事前調査を行うことができるようになります。
日本アスベスト調査診断協会への登録に関しては次の章で詳しく説明します。
一般社団法人日本アスベスト調査診断協会(NADA)
概要
日本アスベスト調査診断協会とは、アスベスト診断士の資格を有している者のうち、SRD手法(総合的調査診断法)の講習会を受講し、確認テストに合格した者のみ登録が認められる専門家集団です。事前調査の方法として、SRD手法(総合的調査診断法)という手法を採用しており、より信頼性の高い(見落としのない)調査を行っています。
日本アスベスト調査診断協会登録者(NADA登録者)
NADA登録者には、その経験に応じて現地調査員、主任調査員、協会審査員の3つのランクに分けられます。
現地調査員は、協会が実施する講習を受け確認テストに合格したばかりの新人登録員のことで、SRD手法を用いた事前調査を行う研修生のようなものです。一人で調査を行うことはなく、現場で主任調査員の補佐を行うことがメインの仕事です。
主任調査員は、現地調査員として3回以上の現場調査を経験した者で、1人で調査を行っても問題ないと判断された者です。メインで調査診断と報告業務を行う主戦力で、必要に応じて現場調査員に指示を出し、調査を進めていくことになります。
協会審査員とは、主任調査員として3回以上現場調査を経験した者で、主任調査員の仕事をチェックできる力量があると判断された者です。調査診断の流れの確認、主任調査員から提出された調査資料の審査が主な役割です。
SRD手法
SRD手法とは、主任調査員が行った書面調査の結果を協会審査員がチェックし、現地調査では主任調査員と現地調査員が行った結果を協会審査員がその場で再チェックするという調査の方法です。
調査後に作成される調査診断報告書に関しても協会審査員によるチェックがありますので、調査の精度が高いだけでなく、抜け漏れを防止し工事を行う作業員の健康を守ることにもつながっています。
おわりに
今回は、事前調査を行う際に保有していることが望ましい資格としての「アスベスト診断士」と大気汚染防止法の改正で有資格者による事前調査が義務付けられた後でも、アスベスト診断士の資格で事前調査を行うための方法を紹介してきました。
2023年以降も事前調査に携わる予定の方は、講習会の回数は限りがありますので、できる限り早く講習を受けるようにしてみてください。
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