2024/07/17
リフォーム工事前にアスベスト調査が必要になった!アスベスト調査義務化に関わるリフォーム工事の注意点について解説します
2021年4月1日に施行された大気汚染防止法の改正により、リフォーム工事前のアスベスト調査が義務付けられました。
結論から述べると、一定の条件を満たしたリフォーム工事について、アスベスト調査を行わないで着工した場合、法律違反となるほか、工事関係者や近隣住民に重大な健康被害をおよぼす恐れがあります。
とはいえ、実際にどんな流れでどんな調査を行えばよいのか、どんなポイントを押さえて進めるとよいのかなど、よく知らないこともあるのではないでしょうか?
今回は、リフォーム工事前のアスベスト調査義務化について、知っておくべきポイントや注意点などを詳しく解説します。正しい知識を持っていないために、うっかり法律違反にならないためにも、ぜひ最後まで読んでみてください。
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目次
アスベスト調査とは?
アスベスト調査とは、建物にアスベスト(石綿)が使用されているかどうか、分析・調査することです。アスベストは、人の体内に入ると、長い年月を経て肺がん・じん肺・中皮腫など、致死率が高い重大な病気を引き起こす原因になります。
中でも、1960~70年代に建てられた建物は、アスベストが使用されている可能性が高いため、注意が必要です。
リフォーム工事により、建物を解体・改修する際に、アスベストを含む粉じんが飛散すると、工事関係者だけでなく、近隣住民にまで大きな影響を及ぼします。そのため、リフォーム工事前にアスベスト調査を行い、アスベストの含有の有無を確認してから着工する必要があるのです。
リフォーム工事前にアスベスト調査義務化となるケースは?
2021年4月1日に施行された大気汚染防止法の改正により、以下のような内容の工事を行う場合に、アスベスト調査義務化となります。
- 建物の解体工事で、解体部分の延べ床面積が80㎡以上
- 建物の改修工事で、 請負金額が税込み100万円以上
- 特定の工作物の解体もしくは改修工事で、請負金額が税込み100万円以上
- 総トン数が20トン以上の船舶(鋼製)の解体もしくは改修工事
上記の内容に当てはまるリフォーム工事では、必ず事前にアスベスト調査を行ってください。なお、以下のような内容については、リフォーム工事前のアスベスト調査は不要です。
- 床面積が80㎡未満
- 請負金額が100万円未満
「みなし判定」「分析調査」のいずれかを選択可能
アスベスト調査義務化が当てはまるリフォーム工事では、「みなし判定」を選択することが可能です。みなし判定を選択した場合、リフォーム工事を行う建物もしくは場所に、アスベストが含まれていることを前提に、規定の除去作業や処理を行います。
また、従来どおり「分析調査」を行うことも可能です。分析調査では、最初に、建物の書面調査・図面調査・現地調査から、アスベストが含まれている可能性が高い部分を特定します。
次に、直接サンプルを採取した上で、偏光顕微鏡やX線回折装置などの専門機器を使用して測定するのです。
「みなし判定」「分析調査」のいずれにも、メリット・デメリットがあるため、どちらの方法がよりメリットが大きいかよく考えて選択する必要があります。
アスベストの「みなし判定」のメリット・デメリット
アスベストの「みなし判定」のメリット・デメリットについて、具体的に見ていきましょう。
「みなし判定」のメリット
「みなし判定」のメリットは、分析調査の手間を省略できる点です。分析調査は、建物の書面調査・図面調査・現地調査の後、アスベストが含まれている可能性が高い部分を特定し、サンプリング調査まで行います。
分析調査を省略できれば、工期を短縮でき、調査にかかる労力も大幅に減らすことが可能です。
古い建物などで、明らかにアスベストが含まれていると容易に判断できる場合は、リフォーム工事でのアスベスト調査は、「みなし判定」のメリットを大きく感じることでしょう。
「みなし判定」のデメリット
築年数が新しい建物などは、アスベストを含んでいない可能性が高いといえます。こうした建物のリフォーム工事では、「みなし判定」のメリットを実感できません。
実際にはアスベストを含まない建物であっても、アスベストを含んでいると仮定して、規定の除去作業や処理を行うことになるからです。
「分析調査」を行う時間や労力を節約できても、アスベストの除去作業や処理をすることになるのでは、メリットが打ち消されてしまいます。
実際に、アスベスト除去に関する費用が想定よりかさんでしまうケースもあるでしょう。また、「みなし判定」を選択しても、事前調査結果の報告義務は残ります。
アスベストの「分析調査」のメリット・デメリット
アスベストの「分析調査」のメリット・デメリットについては、以下のとおりです。
「分析調査」のメリット
アスベストの「分析調査」のメリットは、アスベストを含む場所とアスベストの種類を正確に把握した上で、着工できる点です。建物によっては、アスベストを含む部分と含まない部分が混在していることがあります。
そのため、主な場所ごとにサンプリングして「分析調査」を行うことで、アスベストの含有量や種類まで、正確に把握できるのです。
また、アスベストが含まれていないと判明したら、アスベスト対策を行う必要がないことから、無駄な費用をかけずに済みます。
「分析調査」のデメリット
アスベストの「分析調査」のデメリットは、とにかく手間と時間がかかることです。アスベストの「分析調査」は工程が多く、完了するまでに数日程度は必要になります。したがって、工期がその分遅れてしまいがちです。
アスベストの含有場所と種類を見極めることが重要なのは事実ですが、工期が短く、特定の日までにリフォーム工事を終える必要がある場合などは、ハラハラしてしまうことでしょう。さらに、「分析調査」を行う場合も、従来どおり事前調査結果の報告義務が残ります。
「事前調査結果の報告」が必要不可欠
リフォーム工事前のアスベスト調査では、「みなし判定」「分析調査」のいずれを選択した場合も、「事前調査結果の報告」が必要不可欠です。
せっかく大気汚染防止法に沿って適切にアスベスト調査を行っても、「事前調査結果の報告」を忘れては元も子もありません。うっかり怠ると、6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金が科されることがあります。
また、2023年10月以降、リフォーム工事前のアスベスト調査は、厚生労働大臣指定の講習を受けた専門家が行うことが義務付けられているので、注意が必要です。
まとめ
リフォーム工事前のアスベスト調査については、「みなし判定」と「分析調査」のいずれかを選択可能です。築年数なども含め、建物の状況によって、どちらを選ぶべきか慎重に検討して判断することをおすすめします。
なお、リフォーム工事前のアスベスト調査については、信頼できる業者に相談して進めると間違いがありません。プロならではの専門知識と経験により、的確にアドバイスしてもらいましょう。
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