2021/10/25
【オフィスの原状回復】借主側の負担となる主な事例と工事費用の目安を解説します。
賃貸物件を退去するときに必要な原状回復ですが、住居とオフィスでは条件が異なるのはご存じですか?意外に知らない方も多く、オフィスや事務所の退去時にはトラブルに発展することも多々あります。
気持ちよく退去するためには、原状回復がどこまで借主の負担になるのか知っておくことが大切です。この記事では原状回復と、借主側の負担となる事例や工事費用の目安を紹介します。事前に知識を蓄え、トラブルにならないよう心がけてください。
オフィスの原状回復は特に行程が多い作業です。オフィスの原状回復で必要な工事、手続き、行政処理はこちらの記事でまとめていますので、ぜひ合わせてご参考ください。
目次
原状回復とは
原状回復とは、賃貸物件を入居した状態にすべて戻し、明け渡すことを指します。細かい内容は、オーナーや管理会社によって異なります。ポイントは「入居時に設置したものはすべて撤去、かつ使用したものは新しくする」ということです。
原状回復の範囲は
- 経年劣化
- 通常消耗
- 特別消耗
の3パターンにわかれます。
範囲 | 概要 | 例 |
経年劣化 | 自然に設備が劣化、もしくは損傷すること | 壁や床などの色あせ、日焼け |
通常消耗 | 日常的に使用していて付いた傷や汚れのこと | カーペットの凹みや機器の設置跡 |
特別消耗 | 借主の使い方によって起こる傷や汚れのこと | 結露によるカビ、喫煙による壁の変色 |
特別消耗は借主の故意によるもののため、必ず請求されるものです。経年劣化や通常消耗も基本的には借主の負担対象ですが、契約内容により請求の有無は異なります。
オフィスの原状回復はどこまで負担する?借主側の負担となる事例
オフィスの原状回復が住居と違う点は、経年劣化や通常消耗も借主側の負担になるという点です。ただしトラブルも多い原状回復では、2020年4月、改正民法により新たな点か明記。ここでは「通常の使用で劣化した部分に対しては、賃貸人に原状回復義務はない」と記されています。
借主側が負担する主な事例
一般的には、以下のような事例は借主側が負担するようになっています。
- 持ち込んだ家具や設備、備品や照明などの撤去
- パーテーションの撤去
- 入居時に設置した配線(電気や電話など)の撤去
- カーペットを取り付けた場合の撤去
- 壁や床に装飾や加工を施したものを元に戻す
- 室内(壁、天井、床)のクリーニング
- 看板の撤去
経年劣化による壁の色あせや日焼けも、基本的には借主側の負担になる場合がほとんどです。しかし借主側の負担になる範囲は、賃貸借契約書に沿って決められます。上記以外にも、負担するものがないか、事前に確認しておく必要があるでしょう。
経年劣化に関してはこちらの記事で詳しくまとめています。こちらも合わせてご参照ください。
オフィスの原状回復の工事費用の目安
オフィスの原状回復は、立地やビルの規模によって工事費用は変わります。
一般的な目安はこちらになります。
- 小~中規模オフィス:坪単価2~7万円程度
- 大規模オフィス:坪単価5~12万円程度
ただしグレードの高いオフィスビルになると、坪単価は20万円以上するところもあります。他にもビルの築年数によって費用が変わりますので、入居時は立地やビルの規模、築年数も考慮して契約する方が賢明です。
また、原状回復の工事は、オーナーや管理会社が指定する業者に依頼するのが一般的。ビルの規模が大きくなれば、請け負う業者もそれなりに大手になる可能性があるため、必然的に割高になってしまいます。
オフィスの原状回復の負担を少しでも減らすポイント
オフィスの契約は原状回復費用が高いため、少しでも借主側の負担を減らしたいと思うものです。ビルの規模や立地によって費用を抑えることが難しい部分もありますが、契約時の確認で負担を減らせる可能性があります。以下の2つは入居前にしっかりチェックをしておきましょう。
賃貸借契約書を事前に確認
先ほども説明したように、オフィスの原状回復は住居とは条件が違うため、賃貸借契約書のチェックが欠かせません。原状回復の範囲はオーナーや管理会社によって異なりますが、すべての内容は賃貸借契約書に記載されています。
借主側がどこまで負担しなければいけないのか、契約前に一つずつ確認してみてください。中には本来、借主側が負担しなくてもいい項目まで記載されていることもあります。その場合は、納得いくまで話し合いが必要です。
指定業者以外に工事依頼できるか確認
ほとんどの物件は、原状回復の工事はオーナーや管理会社の指定されたところを利用します。オーナーや管理会社との関係性や物件を知り尽くしていることなど、貸主側は安心して依頼できますが、借主側は少しでも安く抑えたいと思うもの。
この場合、ダメもとで他の業者に工事依頼しても良いか確認してみるのもいいでしょう。同じ工事内容でも費用が少しでも安くなれば、借主側もうれしいですよね。
原状回復に関する節約術は、こちらのカテゴリページで詳しく解説しています。ぜひこちらも合わせてご参照ください
まとめ
オフィスの原状回復は借主側の負担も大きいため、工事費用も高くついてしまいます。しかし物件によって工事範囲は違うので、賃貸借契約書を確認しどこまで負担しなければいけないのか把握しておきましょう。
また実際に原状回復工事をするときは見積もりから始まりますが、見積もりにも不要な工事が含まれていないかチェックすることが大切です。なるべく負担を軽くするためにも、賃貸借契約書の確認や指定業者に関する相談をしてみてください。
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