2024/10/21
自営業の閉店手順とは?税務・契約・退去工事など知っておきたいポイントまとめ
自営業を開始する際にも閉店する際にも、様々な手続きを実施する必要があります。今回は、自営業者が閉店し、そのまま廃業する際に必要な手続きに関して紹介していきます。
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目次
閉店する時に必要な申請(廃業手続き)
閉店する場合には、税務署に申請を実施しなければならないものがいくつかあります。ここで紹介するものは、あくまでも税務署に提出が必要なものになりますので、注意してください。
個人事業の開業・廃業等届出書
自営業を廃業する場合に最も重要なのが「個人事業の開業・廃業等届出書」を所轄の税務署と都道府県税事務所それぞれに提出することです。
税務署に対しては、廃業の事実が発生した日から1ヶ月以内に提出する必要があり、事業所得を得る方だけでなく、不動産所得や山林所得を得る自営業者も廃業届提出の対象となります。
一方で、都道府県税事務所に対しては、各都道府県ごとに廃業届の正式名称や使用する様式、提出期限が異なりますので、詳しくは事業所の所在する都道府県窓口に確認し、必要な書類を期限までに提出する必要があります。
青色申告の取りやめ届出書
青色申告をしている自営業者の方は、「青色申告の取りやめ届出書」を所轄税務署に提出する必要があります。この届出書の提出期限は、自営業を廃業する年の翌年3月15日までとなりますが、後回しにせず、他の書類と同じタイミングで提出するようにしましょう。
届出書の中の青色申告書を取りやめようとする理由を書く欄には、「廃業のため」と記載することになります。
給与支払事務所等の廃止届出書
従業員を雇用し、給与を支払っている自営業者の場合は、廃業時に「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」を所轄の税務署に提出しなければなりません。
こちらも「個人事業の開業・廃業等届出書」と同様に、自営業を廃業してから1ヶ月以内が提出期限となっていますので、「個人事業の開業・廃業等届出書」と同時に提出するようにしましょう。
消費税の事業廃止届出書
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消費税を支払っている自営業者の場合は、廃業後すみやかに「事業廃止届出書」を所轄の税務署に提出します。
消費税の届出については、「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を提出すれば、他の不適用届や事業廃止届出書の提出があったものとみなされるなど特殊な取り扱いがありますので、どの届出書を出せばよいか迷った場合には、所轄の税務署に問い合わせるのが良いでしょう。
事業廃止届出書には明確な提出期限が設定されていないため、他の書類(個人事業の開業・廃業等届出書など)と一緒に提出することをおすすめします。
なお、事業を廃止した場合には所得税同様、廃止日の属する期間の消費税の申告が必要となります。
所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請書
予定納税をしている自営業者でありながら廃業となり、予定納税額が多すぎることが予想される場合には、「所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請書」を所轄の税務署に提出することで、予定納税額の減額を求めることができます。
提出期間は以下の2種類があります。
・第1期分および第2期分の減額申請 → その年の7/1~7/15までに提出
・第2期分のみの減額申請 → その年の11/1~11/15までに提出
確定申告(税務手続き)
自営業を廃業する際でも、税金が生じる場合には国民健康保険料の算定で不利にならないためにも通常通り確定申告が必要となります。なお、赤字であれば原則税金が生じないため、確定申告は不要となります。
自営業廃業後の経費
自営業を廃業した日から確定申告日まで期間が空く場合には、事務所の光熱費や廃棄処理費用、原状回復工事費用など、自営業の廃業後に生じる経費は多いです。
所得税法では、自営業を廃業した後に生じた費用を、その年度の確定申告で経費計上できるとされていますが、税務署の判断次第では、全ての費用を経費として処理できない場合もあります。
個人事業税の取り扱い
自営業者に対しては、所得税のほかに個人事業税も発生します。通常であれば、ある年度に生じた個人事業税は翌年度に支払いますが、廃業するケースでは廃業日から1か月以内に「個人事業税申告書」を提出・納税しなければなりません。
自営業の廃業時に事業税申告を忘れてしまった際には、概算した事業税を確定申告時の必要経費に算入可能ですが、事業税を経費に算入し忘れた際には、後から「更正の請求」と呼ばれる手続きを実施することになります。手続きが面倒になる為、自営業を廃業する際には、事業税に関する手続きを忘れずに実施するようにしてください。
契約・退去手続き
自営業の方の店は賃貸借物件であることが多く、店舗がある建物自体の所有者は、自営業者とは別の個人や法人などになります。そのため、利用期間が終了する時には、店舗の明け渡しを実施する必要があります。ここで必要となる契約解除の通知と原状回復工事に関して説明します。
契約解除の通知
賃貸借物件を利用していた場合には、閉店に際して契約解除の通知を実施する必要があります。契約解除の通知に関しては、賃貸借契約書の中に、通知期間と通知方法が記載されていますのでその方法に則って通知を行います。
通知期間については一般的には半年前までに設定されていることが多く、通知方法については、契約書に通知書が添付されていますので、それを指定の宛先に送信することになります。
この通知を正しく行っていないと、不要な賃料が発生したり、場合によっては損害賠償請求をされる可能性がありますので、スケジュール感はきちんと確認しておきましょう。
原状回復工事
閉店が決まったら、店舗の契約期間満了までに原状回復工事(ほとんどの場合スケルトン工事)を実施しなければなりません。原状回復工事に関しても、賃貸借契約書の中に記載されています(場合によっては特例の中に記載されている場合もある)。
原状回復工事に関しては、賃貸借契約書の中で、原状回復工事の指定業者に関する規定がある場合を除き、見積もり依頼や業者の選定、発注、仕上がりの確認などすべてを、自営業者側で実施しなければなりません。
契約期間満了までに工事を完了させ、明け渡しを実施することができない場合には、超過した月分の賃料や損害賠償金の支払いを求められることになりますので、工事スケジュールは余裕を持って組み、工事に遅延が発生しても対応できるようにしておきましょう。
閉店手順まとめ
今回は、閉店するときの手順を紹介しました。閉店に関する税務的手続きや退去に関する処理、退去に伴う工事の依頼などやらなければならないことが多いため、チェックリストを作成するなどして抜け漏れのないように、対応するようにしましょう。
また、今回紹介したものについては、税務署に提出する書類であり、保健所や警察署など他の機関に提出しなければならない書類もありますので、事前にきちんと確認するようにしてください。
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